【取材レポ】収支差率は14サービス種別でマイナス 介護事業経営概況調査の結果を公表


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12月27日の介護給付費分科会では、2019年5月に実施された介護事業経営概況調査の結果が報告されました。来年度の「実態調査」に向けたプレ調査に当たるものの、介護報酬改定に向けて重要な参考データとなります。各介護サービスの収支差率や、収入に対する給与費の割合など、調査結果を確認しておきましょう。

介護事業経営概況調査の結果

収支差率は、介護サービスの収益から費用を引いたものを、収益で割った数字です。2017年度の調査と比較すると、全22サービスのうち、14のサービスで収支差率が悪化しており、全体で平均して0.8%のマイナスとなりました。

各サービス種別の収支差率は下記の通りです。

各介護サービスの収支差率

資料:第174回介護給付費分科会「資料1 令和元年度介護事業経営概況調査結果の概要(案)」より

厚生労働省は、収益は増加しているものの、給与費や運営上の経費などのコストが上昇し、収支差率が悪化していると説明しています。

各サービス種別の、収入に対する給与費の割合は下記の通りです。2017年度の調査と比較すると、全22サービスのうち14のサービスで、給与費の割合が高まっています。

給与費割合

資料:第174回介護給付費分科会「資料1 令和元年度介護事業経営概況調査結果の概要(案)」より

委員からは、前回の調査に続き今回も収支差率がマイナスとなった、居宅介護支援の経営状況について、不安の声があがりました。2015年度の決算では-1.8%だったものが、今回の調査では-0.1%となり、徐々に良化しているものの、収支差率がマイナスなのは全サービスの中で居宅介護支援のみとなっています。

その要因として、収益に対する給与費の割合が83.4%と、全サービス種別の中で最も高くなっていることが考えられます。ケアマネジャーの処遇改善を進める上では、処遇改善加算を導入しなくては実施が難しい状況といった意見があがりました。

●各サービス種別の調査の詳細はこちら
「資料2 令和元年度介護事業経営概況調査結果(案)」

2020年5月の介護事業経営実態調査の追加項目

2019年度の決算額を調査する介護事業経営実態調査は、2020年の5月に予定されています。調査項目について一部追加される項目があり、介護給付費分科会で了承を得ました。追加される項目は下記の2つです。

●建物の償却方法等に関する項目(施設サービスのみ)
「建築年月」、「保有形態(自己所有/貸借・無償貸与)」が追加されます。介護保険施設の居住費の構成要素となっている減価償却費を把握することが目的です。

●介護人材に関する項目
「勤続年数10年以上の介護福祉士の人数」が追加されます。経験・技能のある介護職員が多い事業所・職場環境が良い事業所を把握することが目的です。

介護事業経営概況調査・実態調査とは

国が介護事業者の経営状況を把握するために行う調査で、介護保険制度改正、介護報酬改定のための資料になります。調査項目は、サービス提供の状況、居室・設備等の状況、職員配置と給与、収入と収益、支出と費用の状況等です。

概況調査は、介護報酬改定後1年目の調査で、改定後の全体的な傾向を把握するためのもの。実態調査は、介護報酬改定後2年目の調査で、サービスごとの直近の収支差を把握するためのものです。

・前回の概況調査…2016年5月に実施(2014~2015年度の決算額を調査)
・前回の実態調査…2017年5月に実施(2016年度の決算額を調査)

・今回の概況調査…2019年5月に実施(2017~2018年度の決算額を調査)
・今回の実態調査…2020年5月に実施予定(2019年度の決算額を調査)

介護事業経営実態調査については、2020年5月に実施し、10月に結果を公表する予定です。介護報酬改定に影響するデータなので、引き続きチェックしておきましょう。

取材 :(株)エス・エム・エス 取材チーム

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