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【取材レポ】次期介護保険改正の論点総まとめ 政府へ提出する内容は?


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12月27日に厚生労働省が開催した社会保障審議会・介護保険部会では、2021年度の介護保険制度改正に向けた見直し案が大筋で合意を得ました。これを元に、年明けから制度改正の具体的な検討が始まります。

見直し案の冒頭では「2025年、その先の2040年を見据えて持続可能な制度の構築・介護現場の革新の視点から、見直しを進めることが必要」とまとめられ、本文では様々な論点が提示されています。その中でも、介護事業所の運営や利用者負担に関わる部分を中心に、具体的な内容を確認していきましょう。

制度改正案として提出される項目

●総合事業のサービス提供対象
要支援状態の利用者が要介護状態に移行しても、総合事業サービスを継続的に利用できるよう、サービス提供対象が弾力化されます。

「通い慣れた環境で地域のつながりを継続することが、自立支援や重度化防止に有効ではないか」という観点から調整が進められます。介護保険サービスと並行して、これまで利用していた総合事業サービスを継続して利用できるようにする方針です。

●総合事業のサービス価格上限
国が一律で定める総合事業のサービス価格の上限を、市町村単位で設定できるよう調整が図られます。

これにより、市町村が自ら行う総合事業をより柔軟に運用し、創意工夫が発揮できるようになる見通しです。上限価格に関する一定の基準は別途示されます。

●補足給付
低所得者が介護施設を利用する際の居住費・食費補助の内、食費の自己負担を引き上げる方向で調整が図られます。

年金収入や資産基準による区分が細分化され、一定以上の区分に該当する利用者は自己負担額が増える調整内容となりました。年金等収入が120万円超155万円以下の利用者は、食費の自己負担額(日額)が650円から1,300円にアップする見込みです。
関連記事:「補足給付」見直し案で負担段階に新区分 食費負担の上限アップも

●高額介護サービス費
利用者の自己負担の月額上限を、所得に応じて引き上げる方向で調整が図られます。

「現役並み所得相当」の上限額を現状の月額4万4,000円から収入段階に応じて引き上げ、年収770万円以上の場合は9万3,000円、年収1,160万円以上の場合は14万100円と、医療保険の自己負担限度額と同水準となる見込みです。
関連記事:高額介護サービス費の見直し案 医療保険と足並み揃え上限アップへ

●文書量削減
介護分野の文書の簡素化、標準化、ICT化の活用を進め、現場の事務作業量を削減します。早期に実現が可能な取組は2019年度内からスタートしていきます。
関連記事:介護文書の負担軽減策が決定。10の具体策が年度内にスタート

●一般介護予防事業等
通いの場を中心とした介護予防・地域づくりの取組をより推進する方針です。保険者へのインセンティブ交付金も200億円から400億円へと予算額倍増を目指し、介護予防の取組を進める自治体をより高く評価します。
関連記事:「通いの場」定義を拡充 一般介護予防事業等の推進策

提出が見送られた項目

●被保険者範囲・受給者範囲
第2号被保険者の対象年齢を引き下げるなど、被保険者・受給者範囲の拡大は引き続きの検討事項となりました。

「若年層や子育て世代の負担増の納得感や、受益と負担の関係性の薄さから理解が得られにくい」「給付や利用負担の在り方の見直しが先決」など、対象となる範囲の大きさから影響を懸念する意見が反映された形です。
関連記事:第2号被保険者の対象年齢引き下げには反対意見多数

● 軽度者への生活援助サービス等に関する給付の在り方
要介護1・2の利用者の生活援助サービスを総合事業に移行する案は、引き続きの検討事項となりました。

「市町村で総合事業の住民主体のサービス提供体制に差があり、効果的・公立的な取組が期待できない」「要介護1・2の利用者には認知症の人も多く、自治体の対応体制も不十分」など、慎重な対応を求める意見が反映された形です。

● 「現役並み所得」「一定以上所得」の判断基準
所得等に応じた、自己負担割合が2割または3割となる対象の拡大は、利用者への影響や医療保険制度との関係から引き続きの検討事項となりました。

「介護サービス利用者の生活、介護が立ち行かなくなる」「サービス利用者の生活実態や影響を踏まえて慎重に検討すべき」といった反対意見があがりました。
関連記事:利用者の「応能負担」 介護保険改正の議論のポイントは?

●ケアマネジメントに関する給付の在り方
ケアプラン作成などケアマネジメントの有料化に関しては、質の高いケアマネジメント実現の観点から引き続きの検討事項となりました。

「介護サービス利用の抑制につながる」「利用者の意向を反映すべきという圧力が高まり、過剰なサービスの提供など、ケアプランの質の低下につながる」「セルフケアプランが増加し、自立につながらないケアプランになる」など、慎重な意見が多くあがりました。
関連記事:ケアマネジメント有料化の議論は平行線 社保審・論点を整理

●多床室の室料負担
対象施設(介護老人保健施設・介護医療院・介護療養型医療施設)の多床室の自己負担については、引き続きの検討事項となりました。

「介護老人保健施設や介護医療院は、生活の場だけでなく医療サービスや在宅支援も提供する施設」として、見直しに慎重な意見があがり、また、介護療養医療施設から介護医療院への移行推進にブレーキをかけるという意見もあります。

●現金給付
現金給付の制度化は介護保険制度の創設時から繰り返されてきた議論ですが、今回の改正でも引き続きの検討事項となりました。

「介護者の介護負担そのものが軽減されるわけでなく、介護離職が増加する可能性もある」との意見もあり、介護離職ゼロの実現に向けた取組や介護者である家族支援を進めることが重要と示されています。

厚生労働省から本日示された介護保険制度の見直し案は、介護保険部会の意見として正式に採用されることとなりました。これを元に法案の国会提出に向けた具体的な作業、介護保険事業計画の策定支援が始まっていきます。引き続き、次期介護保険制度改正に向けた最新動向をお伝えしていきますので、今後の動向をチェックしておきましょう。

取材 :(株)エス・エム・エス 取材チーム

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