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【取材レポ】主任ケアマネ義務化の先送りが確定 経過措置の内容は?


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12月12日の社会保障審議会・介護給付費分科会で、居宅介護支援事業所の管理者を主任ケアマネジャーに限定する管理者要件の義務化を、先送りすることが確定しました。さらなる経過措置の具体策については、前回の議論で2つの検討事項を残していました。どのような内容で決定したのか、確認しておきましょう。

経過措置の具体策

● 経過措置の年数
2021年4月以降も、それまでの管理者が継続して従事する限り、主任ケアマネジャーの要件が、最大6年間延長される。(2021年度以降の新任管理者は除く)

● 地域特性による例外
「特別地域居宅介護支援加算」を取得、または、「中山間地域等における小規模事業所加算」を取得している事業所については、管理者を主任ケアマネジャーに限定しない。

※「特別地域居宅介護支援加算」…離島やへき地など国が定める地域の事業所が算定できる
※「中山間地域等における小規模事業所加算」…中山間地域に所在する小規模事業所が算定できる

● 不測の事態への対応
2021年4月以降に、急な退職や病気による休職など、事前に予測できない事態によって、主任ケアマネジャーが不在となった場合、要件の適用を1年間猶予する。
利用者保護のために必要と認められる場合には、保険者の判断により、1年間の猶予期間を延長することができる。

以上の内容で了承されました。年明けの諮問・答申を経て、省令改正へと進みます。今年度内の改正となるかどうかは未定です。

前回の議論からの変更点は、「不測の事態への対応」について、【保険者の判断により1年間の猶予期間を延長できる】という文言が追加された部分のみです。その他の内容は、当初の提案通りの内容で決定となりました。

管理者要件の先送りの理由

2019年7月時点で、管理者が主任ケアマネジャーでない居宅介護支援事業所が、全体の約4割を占めることがわかりました。その中で、業務経験が4年未満のため「主任介護支援専門員研修」の受講資格がない管理者は約1割、2021年3月までに研修を修了できる見込みがない・わからないと回答した事業所は約2割となっています。

主任ケアマネジャーを管理者要件にすると、多くの事業所がケアマネジメントを提供できないことになり、利用者に大きな影響がでてしまいます。そのため、今回の経過措置が決定しました。
関連記事:主任ケアマネジャー義務化の背景

議論のポイント

● 地域特性による例外
中山間地域や離島等においては、人材確保が特に難しいことを理由に、管理者を主任ケアマネジャーに限定しないという例外措置となりました。前回の議論では、「質の高いケアマネジメントにつながる管理者要件なので、地域によって例外を作ることは、利用者にとって平等でない」といった意見がありましたが、経過措置の内容に変更はありませんでした。

これに対して委員からは、「中山間地域や離島等の事業所でも、受講要件を満たしたケアマネジャーに対して、速やかに研修を受けられる体制を整えるべき」といった意見があがりました。研修を受講できない理由を明らかにし、地域に関係なく受講できる環境を整備することが求められています。

厚生労働省は、「特定地域のケアマネジメントの質が下がってもいいという訳ではない」と前置きした上で、現実問題として難しい地域に対しての措置であることを強調しました。研修の開催を支援する基金の活用や、受講要件の実態を確認して、研修体制の整備を進めていきます。

● 不測の事態への対応
前回の議論で、「猶予期間が1年間では短い」という指摘がありました。そのため、今回決定した具体策では、「利用者保護のために必要と認められる場合には、保険者の判断により、1年間の猶予期間を延長することができる」という内容が追加されました。利用者保護のために必要な場合の例としては、「当該地域に他に居宅介護支援事業所がない場合」があげられています。

これに対して委員からは、「保険者の判断に地域差がでないように整備すべき」「無期限に延長するようなことがないように」といった意見があがりました。地域によるローカルルールが発生しないように、明確な基準を周知していく必要があります。

利用者への影響が懸念されていた、居宅介護支援事業所の管理者要件の厳格化について、経過措置の延長が確定となりました。今後は、研修体制の整備や地域差の是正が進んでいきます。

取材 :(株)エス・エム・エス 取材チーム

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