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【取材レポ】ケアマネジメント有料化の議論は平行線 社保審・論点を整理


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2021年度の介護保険制度改正に向けて、ケアマネジメントに対する利用者負担が論点のひとつになっています。12月5日の社会保障審議会・介護保険部会では、日本介護支援専門員協会の濵田委員から、地域社会の中でケアマネジャーが果たしている役割について語られました。議論のポイントをチェックしておきましょう。

ケアマネジメント有料化の背景

ケアプラン作成などのケアマネジメントは、他の介護保険サービスと違い、給付100%なので、利用者負担がありません。介護保険サービスの「入口」となるケアマネジメントを無料にすることで、サービスを必要としている人に積極的な利用を促すという、制度創設時からの考えによるものです。

しかし、制度創設10年となる2010年に、利用者負担の導入について初めて言及があり、賛否両論が寄せられる中、長く議論が続いています。

●主な賛成意見
▼サービスの利用は定着しつつあり、他の介護サービスと同様に一定の利用者負担を導入すべき
▼利用者からケアマネジャー業務の質に対するチェックが働くことで、ケアマネジメントの質の向上につながる
▼施設給付ではケアマネジメントサービスが含まれているため、均衡をとるべき
▼負担能力のある人には負担してもらうべき

●主な反対意見
▼利用者負担の導入はサービス利用の抑制につながり、必要な人にサービスが行き届かない危険性がある
▼利用者の意向を反映すべきという圧力が高まり、過剰なサービスの提供など、ケアプランの質の低下につながる
▼セルフケアプランが増加し、自立につながらないケアプランになる

●ケアマネジメントの費用額・利用者数

資料:令和元年12月5日第87回介護保険部会「論点ごとの議論の状況(参考資料)」より

利用者一人あたりのケアマネジメントの利用料は年間15万円程度。もし1割負担が導入された場合、年間1万5000円程度の負担となります。利用者の負担感について、実態調査など検証が足りないという意見もあります。

高度化するケアマネジャーの役割

利用者負担の導入については、賛成意見・反対意見のどちらにおいても、「ケアマネジメントの質」がポイントとなっています。いま、ケアマネジャーには、どのような役割が期待されているのでしょうか。

日本介護支援専門員協会の濵田委員からは、「医療との連携」「インフォーマルサービスの活用」「保険者の補完機能」「家族介護者の補完機能」について、発言がありました。

●医療との連携とインフォーマルサービスの活用
医療との連携としては主に、①入院時の利用者情報の共有、②退院後、在宅生活への移行時の連携、③ターミナル期の利用者が必要な居宅サービスを利用するための調整、があげられます。

②の在宅生活への移行に関しては、保険外サービスなどのインフォーマルサービスを活用することも有効です。濱田委員は、インフォーマルサービスの活用で医療負担が軽減されると発言しています。ケアマネジャーは、地域のインフォーマルサービスを把握し、在宅生活の支援に最適なケアプランを作成する必要があります。

●保険者の補完機能
保険者の給付費を適正化するためのケアプランチェックで、ケアマネジャーが活躍しているという現状も共有されました。過不足ないサービスを提供するために、保険者の補完的機能も担っているといいます。

●家族介護者の補完機能
利用者とその家族の高齢化が進んでいて、100歳を70歳が介護するという現実もすでに発生しているといいます。濱田委員は、高齢の場合、要介護度が同じだとしても「IADL(手段的日常生活動作)※」はかなり低下しているという現状を指摘。そのような状況でも安心して生活できるように、家族介護者の補完的な機能をケアマネジャーが担っているといいます。

※IADL(手段的日常生活動作)…買い物、調理、お金の管理など、社会生活に欠かせない手段のこと

このように、ケアマネジャーに求められる役割が高度化・多様化する中で、利用者負担の導入が、ケアマネジメントの質にどのように影響するのか、慎重な検討が求められています。

議論の動向

日本経済団体連合会の井上委員からは、厚生労働省の資料に対して「ケアマネジメントの利用者負担を“検討すべき”ではなく、“導入すべき”とした方がいい」といった意見がありました。このように、利用者負担の導入を強く求める声もあがっています。

一方で、日本労働組合総連合会の伊藤委員からは、「介護離職を防ぐことが求められる中で、ケアマネジメントの有料化を本当に進めていいのか」といった、利用者家族への影響を懸念する意見もあがりました。介護保険部会の議論では、賛成意見・反対意見ともに譲らず、といった状況です。

介護保険部会は年内の取りまとめに向けて議論が進んでいます。長く議論が続いているケアマネジメントの利用者負担について、一定の結論が出されるのか、注目が集まります。

取材 :(株)エス・エム・エス 取材チーム

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