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【取材レポ】利用者の「応能負担」 介護保険改正の議論のポイントは?


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12月5日の社会保障審議会・介護保険部会では、委員の発言の中で「応能負担」という言葉が多く聞かれました。介護サービスを利用する際の利用料について、能力に合わせた負担の見直しが議論されています。

「応益負担」と「応能負担」

●応益負担
所得に関係なく、定額の負担を求めること。受けたサービスに対して、低所得者でも高所得者でも平等に負担を求めるため、相対的にみて低所得者の負担が重くなる。例:消費税

●応能負担
所得に応じて負担を求めること。高所得者に多くの負担を求めるため、社会的には合意が得やすい。例:所得税

現在の介護保険の利用料は、応益負担と応能負担を組み合わせています。例えばデイサービスの利用料の場合、サービス利用料の1割と食事代は定額負担(応益負担)、サービス利用料が2割もしくは3割になるかどうかは所得に応じて決まります(応能負担)。
この応能負担の範囲を見直すか否かの議論が進んでいます。

利用者負担の議論のポイント

●「現役並み所得」「一定以上所得」の判断基準
利用者の負担割合は原則1割でしたが、2015年の改正で一定以上の所得者の負担割合を2割に変更し、2018年の改正で2割負担者のうち特に所得の高い層の負担割合を3割としました。所得の区分は下記の通り。
▼年金収入等が280万円未満…1割負担
▼年金収入等が280万円以上(夫婦世帯の場合346万円以上)…2割負担
▼年金収入等が340万円以上(夫婦世帯の場合463万円以上)…3割負担

これに対して、2割負担の対象者の拡大や、原則2割負担にすべきといった意見があがっています。一方、負担増による利用者の生活実態を調査して、慎重に検討すべきといった反対意見も多くあがっています。

●高額介護サービス費の上限
介護保険制度では、所得に応じて利用者の自己負担額に上限を設けて、負担を軽減する仕組みがあります。月額の上限は下記の通り。
▼生活保護受給者  …1万5000円
▼住民税非課税世帯 …2万4600円
▼上記以外     …4万4400円

上限が4万4400円の対象者に対して、医療保険制度の高額療養費の上限額に合わせる形で、応能負担が検討されています。提案されている月額の上限額は下記の通り。
▼年収約383万円~約770万円  …4万4400円
▼年収約770万円~約1160万円  …9万3000円
▼年収約1160万円以上      …14万100円

資料:令和元年12月5日社保審 介護保険部会「論点ごとの議論の状況」より

負担能力のある人は負担するべきといった見直しに賛成の意見がある一方、利用者家族も含めて本当に生活に困る人がいないか調査すべき、といった慎重な検討を求める意見もあがっています。

関連記事:【取材レポ】医療の窓口負担が原則2割へ 介護保険の自己負担割合はどうなる?

背景に現役世代の「応能負担」の限界

健康保険組合連合会の松本参考人から、第2号被保険者(40~64歳)の介護保険料の状況について報告がありました。
▼2019年度の健康保健組合の介護納付金は9000億円を超え、「総報酬割※」導入前の2016年度と比べると約1700億円増加
▼2019年度に初めて、一人当たりの年間介護保険料が10万円を超えた
▼2021年度に総報酬割が全面導入となれば、さらなる負担増が予測される

※総報酬割の導入…現役世代が負担する介護給付費の財源の28%分を、加入者で等分していた「加入者割」から、所得に応じて負担(応能負担)する「総報酬割」に変更。2017年8月導入

資料:平成29年11月10日社保審 介護保険部会「改正介護保険法の施行について」より

現役世代の減少と高齢者の増加で、第2号被保険者の負担はますます大きくなることが予測されますが、現役世代の応能負担にも限界があります。団塊の世代が75歳以上になる2025年が迫り、給付と負担のバランスの議論は待ったなしの状況です。
年内の取りまとめに向けて議論が進みます。動向をチェックしておきましょう。

取材 :(株)エス・エム・エス 取材チーム

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