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【取材レポ】在宅医療・介護連携における市町村の課題は


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10月9日に行われた第83回社会保障審議会介護保険部会では、地域支援事業の推進に関して幅広いテーマが取り上げられ、在宅医療・介護連携推進事業における市町村の課題が明らかとなりました。

在宅医療・介護連携推進事業について

市町村は、高齢者が住み慣れた地域で暮らし続けられるよう、医療機関と介護事業所が連携・協働して、包括的かつ継続的な在宅医療・介護を提供することを進めています。包括的支援事業の拡充に合わせ、平成27年度改正で制度化された在宅医療・介護連携推進事業により、現在はすべての市町村で下記8項目の事業が実施されています。
1.地域の医療・介護の資源の把握
2.在宅医療・介護連携の課題の抽出と対応策の検討
3.切れ目のない在宅医療と在宅介護の提供体制の構築推進
4.医療・介護関係者の情報共有の支援
5.在宅医療・介護連携に関する相談支援
6.医療・介護関係者の研修
7.地域住民への普及啓発
8.在宅医療・介護連携に関する関係市区町村の連携
これらの実施を通じ、地域包括ケアにおける在宅医療・介護の連携推進を図っていく狙いです。具体的な取組事例も合わせて紹介されており、在宅ケア体制整備のモデル事業を行っていた福井県では、全市町に医療と介護の連携強化を図るコーディーネーター(保健師または看護師)を配置し、地域の実情に応じた在宅ケアの体制整備や、在宅ケア体制の各市町支援を行っています。

市町村が抱える課題

在宅医療・介護連携推進事業の進捗状況には地域差があり、市町村は「地域の医療・介護資源の不足」「事業実施のためのノウハウの不足」「行政と関係機関(医師会、医療機関等)との協力関係の構築」「指標設定等の事業評価のしにくさ」「将来的な在宅医療・介護連携推進事業のあるべき姿をイメージできていないこと」などを課題としています。
各取組の進捗を例に挙げると、「3.切れ目のない在宅医療と在宅介護の提供体制の構築推進」の中で“地域における在宅医療資源および提供体制の把握”は90%の市町村が実施していますが、“具体的な体制の整備に向けた調整や施策運用時のルール策定”まで実施出来ている市町村は34%に留まっている状況です。
これらの課題に対し、市町村から国・都道府県に対する支援の要望も示されており、国に対しては予算の確保や事業評価のための指標設定など、事業推進の枠組みづくりへの期待が大きく、都道府県に対しては事業実施のためのノウハウや医師会等関係団体との調整、行政と関係機関(医師会、医療機関等)との協力関係の構築といった円滑な事業運営の支援が望まれています。

これまでの介護報酬の改定で、医療との連携を評価する加算が設けられるなど、医療との連携が進められていますが、それを後押しする市町村の取り組みに差があることが示されました。今後、国・都道府県による市町村への支援が具体的に議論されますので、引き続き注目していきたい内容です。

取材:(株)エス・エム・エス 取材チーム

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