東京商工リサーチが取りまとめたデータによると、企業間競争激化や人手不足などのあおりを受けた介護事業者の倒産件数は、2000年に介護保険制度が始まって以来今年1月から8月までの間に過去最多ペースを記録しているという。

これまでの介護事業者の倒産件数としては昨年・一昨年の54件が記録されているが、今年はすでにその件数を上回っており、4月から施行の介護報酬改定の内容や、高い専門性と介護知識が求められる事業特色が、ノウハウの少ない事業所の経営に直接影響を与えてきたという見方もできそうだ。
東京商工リサーチの調べに寄るところでも、倒産に追い込まれているのは経験の乏しいいわゆる零細企業で、倒産企業の約半数は、事業を立ち上げてから5年以内の新規事業者の経営によるものだった。
一方で厚生労働省が公表したデータによると、介護関連施設・事業所の総数自体は伸びを示し続けており、今年4月から6月までの間に1万7306件の新施設・事業所が全国に開設されている。
厚労省では各々の事業所の経営状況を詳しく把握していきながら、全体的な制度設計を進める審議会などを通じて現場の動向を見極めていきたい考えを示している。
また介護事業所の倒産が増加している背景には、昨今の景気回復によって他業種へ人材が流出しているためだという、社会的要因を挙げる意見も存在しているようだ。
(画像は東京商工リサーチHPより)
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