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【取材レポ】第84回社会保障審議会・介護保険部会の注目論点まとめ

投稿日:2019年10月31日 更新日: 【カテゴリー:介護保険・政府

厚生労働省は10月28日に、第84回 社会保障審議会介護保険部会を開催しました。議題となったのは、「制度の持続可能性の確保」、「科学的介護の推進、介護関連DB等の更なる利活用等」、「介護サービス基盤と高齢者向け住まい」の3点。それぞれに複数の論点が示され、議論は多岐に渡りました。その中でも、介護事業所の経営や運営に関わる論点をピックアップしてご紹介します。

【目次】

  1. ケアプランの有料化と生活援助サービスの移行
  2. 介護DB・VISIT・CHASEの連結と活用促進
  3. 高齢者向け住まいと総量規制

ケアプランの有料化と生活援助サービスの移行

「介護サービスの入口となるケアマネジメントへの自己負担の導入は、介護保険制度の基盤を揺るがす」といった、ケアプラン有料化への反対意見が多くあがりました。

一方、一部の委員からはこれまで以上に強く、自己負担の徴収を求める声があがりました。「介護保険制度はスタートから20年が経ち、制度の持続性を考えることが必要、一定の利用者負担を導入するのはやむを得ない」という考えや、「何割負担という方法ではなく、月額1000円などの定額制が望ましいのでは」といった、具体的な金額感についての意見もあがりました。

要介護度1・2の軽度者への生活援助サービスを地域支援事業に移行するという論点についても、賛否両論が集まりました。反対意見としては、「要介護度1・2の段階で専門職が適切な援助を行うことで、重度化防止・自立支援につながる」といった生活援助サービスの重要性を示す意見や、「市町村によって総合事業の実施状況に大きな差があり、提供体制が整っているとはいえない段階で、時期尚早である」といったサービスの提供体制に関する意見があがりました。

一方、賛成意見としては、「人材や財源に限りがあるなかで、制度を必要とする重度者への専門的なサービスに集中すべき」といった発言がありました。

いずれの論点についても、厚生労働省は年内に一定の結論を出すべく調整を進めていますが、議論は平行線をたどっています。

介護DB・VISIT・CHASEの連結と活用促進

厚生労働省から、介護保険総合データベース(介護 DB)、通所・訪問リハビリテーションの質の評価データ収集等事業(VISIT)、高齢者の状態・ケアの内容等のデータを収集するシステム (CHASE)といった、介護関連のデータベースを連結して、一体的なデータ活用を促すという提案がありました。当面はデータの充実を図るために、制度的な支援により協力事業所・施設を増やすという方針です。

これに伴い、2018年の介護報酬改定で新設された、リハビリマネジメント加算(Ⅳ)のような、データ提出による加算が新設されることが予想されます。

委員からは、個人情報保護の観点で慎重な運用を求める声があがりましたが、データベースの連結・活用に対しての期待は大きく、賛成意見が多くあがりました。

高齢者向け住まいと総量規制

サービス付き高齢者向け住宅と有料老人ホームは、都道府県が登録・届け出を管理するため、市町村の関与が薄いという課題があげられました。有料老人ホームについては、届出の情報を市町村に通知する規定がなく、市町村と情報共有をしていない都道府県が約4割も存在しています。この状況に対して、保険者である市町村が地域の現状を把握できるように整備していく方針が示され、委員からも賛成意見があがりました。

これは、高齢者向けの住まいについて、総量規制していこうという意図ではないと厚生労働省は明言しています。市町村が地域に必要な施設を整備するにあたって、過剰に特養などを整備しないための現状把握であるといえます。また、利用者が高齢者向け住まいの情報を受け取りやすくするという目的もあります。地域の高齢者数の推移がある程度予測される中、高齢者向け住まいを有効活用し、それを補足するサービス基盤の整備が進むのではないでしょうか。

取材:(株)エス・エム・エス 取材チーム

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