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【取材レポ】介護の文書削減に具体策。簡素化・標準化の対象は?

投稿日:2019年10月24日 更新日: 【カテゴリー:介護保険・政府

10月16日に行われた「第4回 介護分野の文書に係る負担軽減に関する専門委員会」で、厚生労働省は具体的な対応の方向性を示し、委員からおおむね了承を得ました。負担軽減策の主なテーマは「簡素化」「標準化」「ICT等の活用」で、中間取りまとめの後、「簡素化」から順に実行していく予定です。押印が必要な文書の削減や、勤務表の様式統一など、事業所の事務負担に影響するものが多く含まれますので、具体策の内容を詳しくチェックしておきましょう。

【目次】

  1. 簡素化・標準化の具体策
  2. ICT等の活用の具体策

簡素化・標準化の具体策

■押印
自治体から押印を求められることで、紙面でのやりとりが必要となっている現状に対して、押印の必要な書類を「指定(更新)申請書」、「誓約書(申請者が欠格要件に該当しないことを誓約する文書)」、「介護給付費算定に係る体制等に関する届出書」の3点に絞ります。押印を求めるのは正本1部に限り、添付書類などへの押印も原則不要となります。
また、押印した文書をPDF化し、メールで送付することも可能とされます。

■原本証明
添付書類への原本証明は原則不要として、自治体に広く周知されます。現状として、全体の75.7%の自治体が原本証明を求めておらず、事務処理上、不要としても支障がないと判断しています。

■自治体への提出方法
「更新申請」や「変更届」については、窓口への持参は不要で、原則、郵送やメールによる提出となります。「新規指定申請」については、多くの事業者が持参して、対面で相談しているという実態もあり、引き続き検討が必要とされました。
委員からは、すでに複数の事業所を運営する事業者については、新規指定申請時も持参は不要にすべき、という意見があった一方、相談の場として、持参の窓口も残してほしいという意見もありました。
自治体のヒアリングによると、窓口への持参を必須とする理由としては「修正などのやり取りがスムーズであるため」という意見が多く、次いで「対面での指導の場と位置付けている」という理由があがっています。

■勤務表の様式
8自治体に対して、提出を求める勤務表の様式を確認したところ、すべての自治体が国の参考様式に改変を加えていることがわかりました。このことから厚生労働省は、自治体から改変の理由などを確認して、参考様式を見直し、全国共通の様式を作成します。

■人員配置の添付書類
自治体へのアンケートによると、資格証を添付書類として求める自治体が多いことがわかりました。自治体によっては、人員配置基準に関係しない職種についても資格証を求めているといいます。そこで、求めるべき添付資料の範囲を明確化し、自治体に周知する予定です。
神奈川県の海藤参考人からは、資格の登録番号を記入するなど別の方法で、資格証の添付を省略することも可能では、という意見がありました。

■平面図、設備、備品等
指定基準を確認する際に、平面図・設備・備品等の一覧表に加え、施設内の写真についても提出を求めている自治体があるといいます。これに対し、写真を求めるべき場合やその範囲を検討していきます。

■処遇改善加算/特定処遇改善加算
都道府県への調査によると、半数程度が国の参考様式を改変して使用しており、自治体によって求められる添付書類も異なっている状況がみられました。そこで、勤務表と同様に参考様式を見直し、添付書類の在り方も検討していきます。

■実地指導時の文書の重複・再提出
すでに5月に通知している、実地指導の標準化・効率化等の運用指針では、重複防止、再提出不要の徹底が示されています。運用指針の見直しのタイミングで、改めて自治体への周知を徹底していきます。

■指定申請時の提出文書
平成30年度の改正で、指定申請時に提出不要とされた文書(「申請者又は開設者の定款、寄附行為等」、「事業所の管理者の経歴」、「役員の氏名、生年月日及び住所」、「当該申請に係る事業に係る資産の状況」)について、市町村にも徹底されるように、強力に周知するとされました。不要とされた文書の一部は、老人福祉法施行規則により提出を求められる場合があるので、こちらの改正も検討していきます。

■実地指導の標準化・効率化等の運用指針
5月に通知された実地指導の標準化・効率化等の運用指針の周知について、委員から懸念の声があがっていました。これに対して、国が自治体向けの研修を行い、指導担当者の実践を促すという方策が示されました。

■その他
上記の簡素化・標準化への取り組みは、今年度中にも通知を出していく予定です。来年度も含めて中期的に取り組む項目としては、変更届の重複提出等の課題や、介護医療院への移行時にかかる文書の簡素化、実地指導の頻度等の検討、総合事業の様式の整備、効果的な周知の方法(ガイドライン等)などがあげられています。

ICT等の活用の具体策

■申請様式のダウンロード
いくつかの質問に答えると手続きに必要な書類がわかり、様式を一括ダウンロードできるという神戸市のWebサイトなどが例として共有され、少なくともホームページ上で、Excel等の編集可能なファイル形式の様式を掲載するよう、各指定権者に周知することになりました。厚生労働省がホームページに掲載している参考様式についても改めて周知されます。

■実地指導時のペーパーレス化
ICT化を活用し、ペーパーレスで書類を管理している事業所に対しては、実地指導時にPC画面等で書類を確認するなど、事業所に合わせた実地指導の方法を検討するよう、周知されます。
これに対して委員からは、複数台のPCがない事業所では、画面上での確認にすることで、むしろ業務が停滞してしまうという事例もあることが共有されました。事業所に合わせた柔軟な方法が期待されます。

■その他
SOMPOケアの代表である遠藤委員からは、全国共通のウェブ入力・電子申請のシステムについて、簡素化や標準化よりも先行して取り組むべきという意見もありました。
厚生労働省は既存のシステムの把握からスタートするとして、明確なスケジュール感などは明言を避けています。ICT化が急務であるという意見については複数の委員から賛成意見があがり、中間取りまとめでどのように示されるのか、注目したいポイントです。

11月の第5回では中間取りまとめが示され、短期的な取り組みについては年度内の通知に向けて進みます。事業所の運営に直接的に関わる内容ですので、引き続き議論の動向をチェックしておきましょう。

取材:(株)エス・エム・エス 取材チーム

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