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【レポート】第79回 社会保障審議会介護保険部会

投稿日: 【カテゴリー:介護保険・政府

2019年7月26日、厚生労働省において「第79回社会保障審議会介護保険部会」が開催されました。
2021年の介護保険制度改正に向け、過去に開催された部会でも介護の人材不足については共通認識となっており、今回は介護人材の確保について議論が行われました。


【目次】

  1. 介護人材確保の取り組み
  2. 「介護現場の革新」について
  3. まとめ

介護人材確保の取り組み

介護業界では慢性的な人手不足に加え、介護ニーズの高まりによる更なる人材確保の必要性、離職や処遇面への対応、介護職への一方的なマイナスイメージが課題となっており、
これらに対応するため、主に以下4つの取り組みが行われてきました。

①介護職員の処遇改善

介護職員の処遇を改善させるため、様々な加算制度が取り入れられてきました。2019年10月からは、ベテラン介護福祉士の賃金水準を他産業と同一以上に引き上げるための「介護職員等特定処遇改善加算」が始まります。
議論の中では加算の算定についての質問や(厚生労働省からはQ&Aによる指針を提示済み)、他業種からの人材確保を促進するためには、ベテラン介護福祉士だけでなく未経験の入職者の賃金もアップさせる施策も必要ではないかという意見も見られました。

②多様な人材の確保、育成

介護分野を目指す若者への就労支援や、アクティブシニアなど未経験者への研修を行い、受講者と事業所のマッチングを促進するなど、人材の確保についても取り組みが進んでいます。
海外からの就労支援については、事業規模に関わらず外国人材の受け入れが行いやすくなるよう、準公的なマッチングの必要性について意見が上がりました。他、介護有資格者の再就職を促進する準備貸付金については、厚生労働省の事務局からも「広く周知が必要」との認識が示されました。

③離職防止、定着促進、生産性向上

介護ロボット、ICTの活用推進や事業所内保育所の設置・運営支援、代替職員の確保支援など、今の介護現場を少しでも働きやすい環境にするため様々な対策が取られています。
離職の原因や事業規模ごとの離職率、離職までの勤続年数といった様々な統計データを元に、委員からは具体的な意見が多く上がりました。

  • 多様な人材の確保で夜勤を減らせる環境にすると「結婚・出産・妊娠」による離職を防げるのではないか
  • 人間関係が理由の離職では、事業所内で悩みを相談しづらい場合もある。外部サービスによる相談支援のサービス活用を検討してはどうか
  • 事業を大規模化することで人材の流動性を確保したり、協業・協働化による効率化が図れるのでは

といった意見の他、

  • 介護ロボットやICTについて、共同研修が有効だとは思うが、事業所ごとに業務のやり方が異なると難しくなるため業務の標準化が必要
  • 特定処遇加算等を取得するための事務負担を考え、費用対効果で加算を取らない事業所もある。事務作業の簡素化など工夫が求められる

など、事業所の負担を軽減して生産性向上につなげる必要性についても意見が上がっています。

④介護職の魅力向上

介護に興味を持つ若者より、その保護者や教員が介護に対してネガティブなイメージを持っていると資料で示され、介護の仕事を理解促進してもらうことに加え、今後は子育て層やアクティブシニア層に介護職の魅力を発信していく対策が取られる予定です。

「介護現場の革新」について

厚生労働省と関係団体は「介護現場の革新」として、介護現場の業務効率化や、進路選択への働きかけについて全国7地域でパイロット事業を行っています。
その中で、三重県では元気高齢者に「介護助手」の役割を担ってもらう取り組みを進めています。介護職員の生産性向上に加え、高齢者の介護予防、自立支援においても効果的な事例と言えますが、このような取り組みや、医療・保育など他分野で行われている人材確保・生産性向上の取り組みをどのように介護業界にも広めていくか、今後具体的な方策が議論されそうです。

まとめ

今働いている介護職員が長く安心して働き続けられる環境は、これから働く人にとっても魅力ある環境といえます。事業所の規模や年代・属性による離職理由がより詳細に分析されることで、皆さまの事業所でも効果的な人材確保の対策が立てやすくなることかと思います。
2021年の介護保険法改正に向けて、本レポートでは介護保険部会の進捗を引き続きお届けしていきます。皆さまの事業所運営における情報収集の参考としていただければ幸いです。

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