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「認知症施策推進大綱」とは?

投稿日: 【カテゴリー:介護保険・政府

こちらでは引き続き2019年6月20日に開催された「第78回社会保障審議会介護保険部会」における「認知症施策の総合的な推進について」の議論についてお伝えします。

【目次】

1.認知症施策推進大綱とは?

認知症に係る問題・課題について政府が一体となって総合的な対策を推進するために認知症施策推進関係閣僚会議が設置されました。
認知症施策推進のための有識者会議、認知症施策推進関係閣僚会議幹事会、関係者からの意見聴取などを経て、2019年6月18日に「認知症施策推進大綱」が取りまとめられました。
これまで、認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)が設けられていたが、今回取りまとめられた「認知症施策推進大綱」では、新オレンジプランでの戦略を基礎として、認知症の人ができる限り地域のよい環境で自分らしく暮らし続けることができる社会の実現を目指し、認知症に対する施策を着実に実施することを目的としています。

2.認知症施策推進大綱の基本的な考え方

認知症施策推進大綱では、認知症は誰でも発症する可能性があり、身近なことであり、認知症の発生を遅らせ、認知症になっても希望を持って日常生活を過ごせる社会を目指し、「共生」と「予防」を両輪として施策を推進するとされています。
「共生」とは、認知症の人が、尊厳と希望を持って認知症とともに生きる、また、認知症があってもなくても同じ社会でともに生きることであり、 「予防」とは、認知症にならないという意味ではなく、認知症になるのを遅らせる、認知症になっても進行を緩やかにするという意味で使用されています。
この認知症施策推進大綱の基本的な考え方では、以下の5つの柱に沿って施策を推進されます。

  • 1)普及啓発・本人発信支援
  • 2)予防
  • 3)医療・ケア・介護サービス・介護者への支援
  • 4)認知症バリアフリーの推進・若年性認知症の人への支援・社会参加支援
  • 5)研究開発・産業促進・国際展開

3.認知症施策推進大綱の具体的な施策

設定された5つの柱に沿って、具体的な取組やKPIが定められています。

1)普及啓発・本人発信支援

  • 認知症サポーターの養成の推進
  • 認知症に関する総合相談窓口等を地域ごとに整備
  • ピアサポーターなどの取組を通じて認知症の人本人からの発信支援

2)予防

  • 通いの場の拡充や通いの場での専門職による健康相談などの推進
  • 介護保険総合データベースの活用やCHASEの構築によるエビデンスの収集を推進
  • 民間の商品やサービスの評価・認証の仕組みの検討

3)医療・ケア・介護サービス・介護者への支援

  • 地域包括支援センター、かかりつけ医、認知症サポート医、認知症初期集中支援チーム、認知症疾患医療センターの連携や設置による早期発見、早期対応、医療体制の整備
  • 認知症対応力向上研修、認知症サポート医養成研修の実施による医療従事者等の認知症対応力向上
  • 市町村による介護保険事業計画の適切な策定
  • 介護現場の業務改善の普及・展開
  • BPSDに関するガイドラインや治療指針を作成・周知
  • 認知症の人の 日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドラインの活用
  • 介護離職ゼロに向けた職場環境の整備

4)認知症バリアフリーの推進・若年性認知症の人への支援・社会参加支援

  • バリアフリーのまちづくり、移動手段・交通安全・住居の確保などを推進
  • 市町村によるバックアップ体制を強化して、成年後見制度の利用促進
  • 社会参加活動や社会貢献活動を後押しし、社会参加支援を推進

5)研究開発・産業促進・国際展開

  • 認知症の予防、診断、治療、ケア等のための研究の推進
  • 認知症の研究基盤の構築
  • 官民連携で介護サービス等の国際展開を推進

4.まとめ

このように、認知症の施策についての方向性を示す「認知症施策推進大綱」が定められ、速やかに実行に移すとされています。
「第78回社会保障審議会介護保険部会」においては、事業所団体、専門職団体、経済団体等の有識者から、現在の取組状況や今後の具体的な方策についての意見が出ていました。またKPIの設定根拠についての質問やKPIを達成するために必要となる仕組みや制度改定についても議論されています。
弊社では、今後公表される横展開を図るための好事例等についても随時お伝えしていきますので、ご期待ください。
最後までお読みいただきありがとうございました。

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