情報の管理、どこまで徹底?最近の現場事情から

投稿日:2017年8月2日 更新日:

 高度情報化時代。一人が一台携帯電話を持つようになり、今はスマホが当たり前になりました。連絡や情報検索は便利になりましたが、簡単に他人同士が繋がり、SNSで不特定多数に拡散できるようになると、その分個人情報漏えいやトラブルの危険性も高まります。介護現場における最近の諸事情を見てみましょう。

ご利用者も携帯を持つ時代に

 世の流れからすれば当然の話ですが、高齢のご利用者もスマホを持つことが多くなりました。デイサービス等にも携帯されますが、事業所としてこれを許可していいかという問題があります。

 スマホの様な貴重品は、床に落として割ったり、トイレに水没させるようなことがあれば修理代も高額になってしまいます。万が一にもそのような事故が起きたとき、責任を負うのは事業所でしょうか、当該ご利用者でしょうか。

 貴重品全般にいえることですが、デイサービス等でご利用者が私物を紛失した場合、ご利用者の「自己責任」とするか、事業所側の「保護責任」とするかという二通りの方向性が考えられます。

 高齢のご利用者は子供ではないので、基本的にはその意思を尊重し、したいようにして頂く。一方で、認知症である等周囲の保護が不可欠な場合は、適宜見守りや、預かるといった積極的な支援をすることになる。要するにそのご利用者が、自立なのか介助を必要とするのかで何かあったときの責任の所在も違ってくるのですが、現場ではその辺の見極めが難しく、毎回悩みの種ですね。

 もっとも、携帯電話に限っては、何かあってもご利用者本人の責任であり、「自己責任」とするスタンスで良いでしょう。何故なら、そもそも携帯電話を使いこなせる人は正常な判断能力があり、自己管理できるからこそ日頃携帯しているといえるからです。

 もし、携帯を手放せない私たちが将来デイサービスに行くことになったら、おそらく携帯がないと不安になってしまうでしょう。それと同じことであって、過度にリスクを恐れて「あれもだめ、これもだめ」と禁止するのは行き過ぎな様な気がします。

 勿論、そもそもデイに持ち込む必要の無い高価な宝石類や高額な現金、その他いわゆる「貴重品」については持ち込み禁止とした方が無難ですが、こと生活に欠かせないツールとなった携帯・スマホに関しては、要支援等まだまだアクティブなご利用者から取り上げることはできないといえるでしょう。

近い将来、デイに集まったお年寄りも皆スマホの画面ばかり見て好き勝手に時間を過ごすという光景が当たり前になるかもしれません。

携帯持ち込みOK、その先のルール?

 その上で、これからのデイサービスでどのようなトラブルが起こるかというと、例えばご利用者間の番号の交換があります。最近受けた相談で、「ご利用者同士で仲良くなり番号を教えあったはいいものの、それ以来一方ご利用者の方に早朝から電話がかけられ困っている、どうしたら良いか……という苦情を受けた」というものがありました。

 高齢者特有の問題という訳でもないのですが、このような連絡先の交換から、人間関係のトラブルに発展することは十分あり得ます。その他、ご利用者と職員間の番号やラインの交換等。難しいところですが、少なくとも職員との間ではお客様とサービス提供者の関係ですから、どんなに打ち解けていたとしてもプライベートまで不用意に密接に関わることは、避けた方が無難といえるでしょう。

職員間の携帯使用上のルール

 仕事中はマイ携帯をマナーモードなりオフにしておくことは当然ですが、思わぬ所に落とし穴があります。それは、職員が休日のときにも気軽に電話やライン等で「あの件はどうでしたっけ?」等と質問してしまうことです。

 訪ねる方としては便利ですが、受ける側はせっかくの休日なのに仕事モードに引き戻されてしまい、いい迷惑ですね。これが高じると、「休日にも拘らず労働させられていた」と主張され、その分の賃金を請求されたり労働基準監督署の指導を受けることになりかねません。いつでも繋がっているからこそ、その利用には節度が必要です。

BYODが禁止に!

 そして実は、今年の5月30日以降、「介護事業所を含む医療機関の現場において、職員の保有する携帯等の端末を仕事で使用すること(Bring Your Own Device。BYODと略)は原則として行うべきではない」とされました。これは同日に厚生労働省から発出された「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」(第5版)に記載されています。

 そうなると、例えばご利用者の情報や訪問スケジュール等を職員間で共有するため、気軽にラインを使うといったことができなくなってしまいます。「ラインやSNSは誤送信や乗っ取りのリスクもあるため、できれば使ってほしくはないが、便利で効率的なのでやむを得ない……」と、これまで片目をつぶって容認してきた事業主の方も多いのではないでしょうか。

 筆者も非現実的と思いますが、何にせよこのガイドラインによれば、これからは従業員一人ひとりに会社名義の携帯やタブレットを支給し、それを用いること、とされたのです。元よりガイドラインには法的な拘束力は無いのですが、万が一情報が漏えいした場合、これからはガイドライン違反を追及されることになります。

 個人情報保護法自体も最近改正され、同時期に施行されました。以降は全事業所が情報管理の責任を負うこととされたため、そのハードルが上がったことは間違いありません。目めまぐるしく移り変わる社会の在り方に沿って、既存の社内規定やご利用者に守って頂くべきルールを、小まめに見直していきたいものです。

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