どうする!?現場の人手不足問題2 ~外国人の活用を考える~


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外国人労働者

前号では、外国人雇用のルートとして留学生、EPAと技能実習制度を紹介しました。後二者についてより詳しくみていきましょう。

技能実習制度は、EPAに比べ間口が格段に広いという意味でEPAは「エリート」、技能実習制度は「玉石混交」と書きましたが、EPAを現場に導入している法人はまだ200にも満たない状態です。

本号では、実際にEPA制度を活用している社会福祉法人について、筆者がヒアリングした結果をお伝えします。

EPAは「使えない」?

EPAについて「4年間施設で働くが、介福(介護福祉士)の試験に落ちると強制帰国。そのハードルが高すぎると指摘されており、このルートで派遣される絶対数は少ない」と書きましたが、これは現場において真実であり、そのせいで利用が少ないのでしょうか。

筆者は最近、EPAを活用し5名のベトナム人職員を特養に受け入れた社会福祉法人から詳しく経験談を聞く機会があり、大きく認識を改めました。
結論から言うと、社会福祉法人であればEPAを使わない手はない、と言えます。

EPAは、適正な受入れを実施するため、受入れ調整機関として国の直轄機関である国際厚生事業団しか認められていません。
従って、技能実習のように「怪しいブローカー」が入り込む余地は(建前上は)ないことになります。

EPAの候補となる人材は、現地で看護師等の国家資格を取得し、日本語能力もN3、N2といった高い能力を備えています。
その法人の施設長も、彼女らのレベルは折り紙付きであったと話していました。

なお、受け入れに際しその施設で心掛けていることは、「初めは衣類畳みやご利用者へのお茶入れなど簡単な作業に慣れてもらい、徐々に高度な業務を任せるようにする」、「申し送りや研修の際、特に難しい用語は避ける」、「ベトナムの若者といえど、日本人と生活習慣や感覚はさほど変わらず、暇なときはスマホをいじっている。Wi-Fiが使えるかを特に気にするので、寮にはWi-Fiを完備した」などでした。

一方、技能実習は、特に資格が無くともエントリーでき、日本語能力も入国時にはN4で足りるという緩やかな要件です。入国段階で、渡航費や教育費等の名目で借金を背負わされている実習生も多いことでしょう。
また、実習開始から1年後にN3を取得しなければ、強制帰国となってしまいます。

このように技能実習制度は、EPAに比べ間口が格段に広いといえます。その分個々の能力にもばらつきがあり、日本語を十分使いこなせない懸念が高いと言えるでしょう。

試験に受かれば永住してくれる?

なぜEPAは医療法人や社福の間で広まらないのでしょうか。「4年後に介福の試験に落ちると強制帰国」と書きましたが、どうも真の原因はこれではないようです。

なぜなら、もし外国人介護士が見事試験にパスしたとしても、その後彼ら(実態としては女性が圧倒的に多いので「彼女ら」といえるでしょう)が未来永劫日本に居続けてくれる保障はどこにもない、といえるからです。

ベトナム人職員を5名受け入れた前述の施設から、筆者がヒアリングして一番驚き、かつ納得したのがこの点なのですが、施設長によれば「EPA経由で来る東南アジアの女性たちは入国時には皆22、23歳で、4年も経てば現地での適齢期は過ぎてしまっている。
そうなる前に母国の家族に呼び戻されるなどして、現地で結婚するのではないか」とのことでした。

なるほど、確かにその通りだ。これまで働いてもらう側の都合で考えていたが、働く側の思いからすれば、特に日本に思い入れがあり、定住を望んで来る人ばかりとは限らない。
むしろ「一定期間集中的にお金を稼いで、きりの良いところで帰国したい」と思っている人の方が多いのではないか……。

そうであるならば、今までの思い込みは「思い上がり」でしかなかったと言えるかもしれません。

ただでさえ、日本の経済競争力は人口急減と共に下降を余儀なくされ、一方で成長株の東南アジア諸国は日に日に勢いを増しています。
今は経済的な面で十分魅力的に映るかもしれませんが、それこそ技能実習制度が定着し日本の介護、ひいては日本の介護運営法人が海外に進出するようになれば、逆に日本人の介護職がより良い待遇を求め海外の介護施設に転職する流れが加速していくでしょう。

そんな中、日本の施設がすべきことは、「ともかくも来てくれるのであれば有難い。1年でも2年でもいいので手を貸してほしい」という認識に切り替え、実際に外国人人材導入に着手することではないでしょうか。
その施設長は、他施設がEPAをやらないのは「単なる食わず嫌いではないか」とも言っておられましたが筆者も同感です。

ご利用者の生活を守るためにも、勇気をもって今できることから始めることが大切であると考えます。
まずは現地を視察してみてはいかがでしょうか。きっと何かしらの展望が開けてくるはずです。

人材不足解消のためにあらゆる手を尽くす

その法人はEPAだけでなく、技能実習制度も平行して行い、更には留学生も積極的に受け入れているとのことでした。お話の中で特に印象的だった施設長の言葉が、「今後5~6年で、職員の2割が外国人になるだろう。」というものでした。

ちょうど今、都心のコンビニがそのような状況となっていますが、AI技術が進化するにつれ、コンビニや飲食店では人は不要となっていくことでしょう。

するとその余剰人員は、最終的には介護に流れていくことが予測されます。
「外国人に介護が務まるのか」との偏見を捨て、何とかして実現させる方向で検討する姿勢が今、求められているといえるでしょう。



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