どうする!?現場の人手不足問題 ~外国人の活用を考える~


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外国人

ここ数年、どの施設へ行っても「現場の人が足りない。これでは施設を回せない」という悲鳴に近い悩みの声が聞かれます。実際に、特養の一部のフロアを閉鎖せざるを得ない施設も存在します。
都心は人が集まるものの、その分、異業種との競争も激しく人件費は高く、なかなか人が定着しない。一方で地方になればなるほど、町全体の人口は減り、新卒採用など夢のまた夢……離職率を下げられないことから止むを得ず派遣に頼り、結果として膨張した人件費が経営を大いに圧迫しているという法人も多く見られます。

そのような逼迫した状況下で、ベトナムやインドネシアといった東南アジアの国々の若者に来てもらうという選択肢を取る施設も徐々に増えつつあります。今回は介護現場でのいわゆる外国人雇用についてみていきましょう。

現在、外国人が日本の介護現場で働くルートには、大別して以下の3種類があります。

  1. 留学生制度
    受入れ先の国に制限はなく、誰でも日本に行ける。

    留学生として入国し、日本の学校に通いながら介護福祉士(介福)の取得を目指す。

    取得後は更新すれば何年でも居られるが、留学中の学費負担、バイトをしながらの生活はきつく、脱落者も多い。

  2. EPA(Economic Partnership Agreement 経済連携協定の略)
    2008年~ インドネシア、フィリピン、ベトナムが対象。医療法人、社会福祉法人向け。

    現地の介護・看護学校卒であることが要件。N3程度の日本語力で入国し、施設で働くが4年以内に介福の試験に落ちると帰国しなければならない。

    そのハードルは高いが、総じて能力は高い。その数は累積で2,106名(2015年度)。

  3. 技能実習制度
    中国、タイ、ベトナムなど15か国が対象。

    現地である程度介護について教育を受けていることが要件だが、N4があれば入国でき、看護資格も不要。株式会社など法人形態に関係なく利用できる。

    10年ほど前から、建設や製造業で始まった。昨年末時点で日本に来ている技能実習生は中国、ベトナム人を中心に22万人を超えている。

    入国の時点で、EPAより高い日本語能力が求められる。原則3年しか滞在できない点がネック(最長5年に延長可)。

EPAと技能実習制度の違い

筆者の理解に基づき大まかなイメージ(飽くまで筆者の経験を元にした印象なので、正確なものである保障はありません)を表現すると、EPAは「エリート」、技能実習制度は「玉石混交」であるといえます。

EPAとは、平たくいえば「日本と相手国の経済上の連携を強化する」目的を掲げ、国の主導の下、特例的に運営される制度です。

適正な受入れを実施するため、受入れ調整機関としては国の直轄機関である国際厚生事業団しか認められていません。

EPAの候補となる人材は、現地で看護師等の国家資格を取得し、日本語能力もN3(日常的な場面で使われる日本語をある程度理解することができる)、N2(日常的な場面で使われる日本語の理解に加え、より幅広い場面で使われる日本語をある程度理解することができる)といった高い能力を備えています。

つまり、国家間の公的な制度の課す高い要件をクリアした、現地ではエリートである人がEPAとして介護の現場で働いてくれるのです。

一方で技能実習は、特に資格が無くともエントリーでき、また日本語能力も入国時にはN4(基本的な日本語を理解することができる)で足りるという緩やかな要件です。

ただし実習開始後1年後にN3を取得しなければ、強制帰国となってしまいます。

なお技能実習の制度としての目的は、日本で培われた技能、技術又は知識の開発途上地域等への移転を図り、当該開発途上地域等の経済発展に寄与することにあるとされています。

このように技能実習制度は、EPAに比べ間口が格段に広いといえます。

その分個々人の能力にもばらつきがあり、日本語を十分使いこなせない懸念が高いと言えるでしょう。

一方でEPAのルートで派遣される絶対数はまだまだ少ないといえ、制度開始から現在まで、全国的にも実に200未満の法人しかまだこの制度を活用できていません。

なぜ似たような制度が3つもあるのか?

筆者の理解では、要するに留学とEPAという既存の方法では、介護現場に定着するまで時間がかかり過ぎ、結果としてあまり広まらなかったので、介護需要のピーク(いわゆる2025年問題)に対処するため技能実習生という「助っ人」を求めたのだということです。

しかし、だからといってEPAが「使えない」制度であるということにはなりません。

圧倒的に人が足りない現場からすれば、どの制度でも人が来てくれることに変わりはないため、使える制度は何でも使いたいという状況であろうと思います。

前述のとおりEPAは医療法人か社会福祉法人しか利用できないのですが、逆にいえばこの二つの形態の法人にとっては大きなアドバンテージといえます。

更に言えば、この制度を活用できている法人は全国でまだ200にも満たないという現状があります。特に人手不足が深刻な特養を抱える社会福祉法人は、この制度を利用しない手は無いと言えるでしょう。

次号では更に詳しくEPAと技能実習制度について解説します。



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