介護現場におけるマネジメント力とケアマインド

投稿日:

介護職は裏方のスペシャリスト。控えめで受け身な人が多く、それがまた長所でもある。だからリーダーシップを発揮するにはハードルが高い。リーダーの条件であるマネジメント力とケアマインドを両立させるにはどうしたらよいか? を考える。

マネジメント

介護職は控えめで受け身の人が多い

介護職は支える、寄り添うのが本分の仕事ですし、裏方のスペシャリスト、とも言える仕事ですよね。
ですからそのような仕事に従事したいと思う人はもともと控えめで受け身の人が多いのではないでしょうか?
主体的に企画運営やリーダーシップを発揮してほしいと期待することは、ハードルがかなり高いように感じています。

現場のリーダーの課題とされている、マネジメントとケアマインドの両立は、簡単そうでなかなか難しい問題ですよね。

介護未経験でマネジメント力のあるリーダーもいれば、現場上がりの、これまでマネジメント経験のないリーダーもいるでしょう。マネジメント力やケアマインド、どちらもバランスよく身につけていく必要があると思いますし、その過程で、葛藤や失敗を繰り返しながらも、どれだけ信頼を損なわずに同じ方向を向いて一緒に働いていける仲間をつくれるかが問われているのかもしれません。

1~2年目から自分で取り組んだ仕事を「見える化」し、頭でよく考える習慣を

ではどのようにして、現場で経験を積みながらマネジメントのスキルを身につけていけばよいのでしょうか?
私はやはりひと通り現場の仕事を覚えた1年目から2年目ぐらいから、少しずつ自分のこれまで取り組んできた仕事を「見える化」し、自分の頭で考えることを促す問いかけが必要ではないかと考えます。

今まで取り組んできたケアは、どんな意味があるのか? またご本人本位のケアを実現できていないとすれば、何が問題なのか? など問いかけていくことです。
必要な場所に必要な人員が充てられているのか? 業務プログラムの見直しや、チーム間のコミュニケーションや共有をスピーディーにもれなくする工夫など、今まで何となく問題だと感じてきたことを、具体的に考え、提案ができるところまで持っていける力を磨いていく必要があるのではないでしょうか?

原因は一つではないはずです。いくつかの課題が重なり合って、今の現状をつくっている、という客観的な観点を持ちつつ、管理者の視点で考えることができる力が求められていると思います。ただ、その段階までもっていくには、こちらからヒントを与えたり、自分なりの解がでるまで待つ姿勢であったり、とても時間がかかることだと思います。でも、その姿勢がなければ、人が育つ環境にはならないのではないでしょうか?

ケアプランをつくることで、マネジメント感覚と専門性を同時に磨く

ケアプラン作成の一連の流れは、学びにあふれていますよね。これを介護人材の育成にあてないのはもったいないと感じています。
アセスメントで広い視点から利用者の全体像を把握する専門職としてのスキルを身につけることができ、ケアプラン作成と、人材定着を考える視点では、短期・長期的な目線を身につけることや目標の設定と管理など、マネジメント感覚を磨くことができます。ケアプランをケアマネのものだけではなく、介護職の育成として活用できれば、専門性とマネジメントの両立ができる介護職を増やしていくことにもつながるように思います。しかも作成に関わる中で、利用者本位、自立支援にまつわる成功事例を一つでもつくることができれば、大きな自信につながり、モチベーションも上げることができるのではないかと感じています。

今、どんな現場でも人材不足に苦しんでいます。
欠員や過労による休職など、おもいがけないトラブルなどで、これまでやろうとしていた計画が予定どおりに進まなくなり、断念せざるを得なくなる。そんな経験はどこにでもあることですよね。ただ、そのときの状況や体制を引きずり続けるのは、マイナスの要素しか生み出さないように思います。

大小の波があっても、大切な価値観を思い出し、理念に立ち返ることができるしなやかな軸を持つことが求められますし、人を育て次につなげていく、という火を灯し続ける姿勢を忘れずに持ち続けられるかどうかが、法人としての存続にも大きく関わってくるところではないか? と感じています。

-

執筆者:

関連記事

no image

人材確保のための実践的アドバイス―その16 部下の「やる気スイッチ」……2つの重要な動機付け対策

一つめのカギは「承認」 「み・ほ・こ・さん」を使って職員を褒めよう  今回の紹介したい働きがい(動機づけ)対策は2つあります。  まず一つめは「承認」です。「承認」とは、コーチングの際などの「褒める」 …

no image

平成29年度予算編成から見る次期介護保険改定について

財政健全化に向けた基本的考え方 財政運営に当たっては、2020年度(平成32年度)のプライマリーバランス黒字化を実現し、その後債務残高対GDP比を中期的に着実に引き下げることが求められています。しかし …

no image

認知症JR賠償請求最高裁判決が問う超高齢社会の『介護』のかたち

介護家族の賠償責任を求めた1審・2審の高裁判決。だが、見守りながら介護する家族の労苦はやった者でしかわからない いうまでもないが、日本の社会は今、人類が経験したことがない高齢社会の最中にある。経験した …

no image

小川孝之さん(イオンリテール株式会社 イオンスマイル事業部 事業部長) 高齢化するお客さまに対してできるサービスをVol.2

「イオンスマイル」は、小売り大手のイオンが手がけるリハビリ特化型のデイサービスで、グループのイオンリテール株式会社が運営している。2013年9月、東京都江戸川区の葛西店で始めたが、当時は、「小売業が介 …

no image

大きく変わる「社会のしくみ」と「社会保障制度」 vol.4

地域住民の安心・安全な医療・介護サービスの提供のために。勇気ある連携・協働・統合を! 医療・介護の業界は、法人や事業所の独自の経営方針で、それぞれの事業を進めてきました。その結果、地域によっては病院・ …