高齢期における「豊かな食事」「美味しい食事」とは何か?-わんまいるの想い

投稿日: 更新日:

 

「初物を食べると長生きをする」と祖母は教えてくれた

一般家庭へ美味しくて健康な「食」をお届けして27年、大阪市西淀川区に本社がある、わんまいる創業者の堀田茂54歳です。

 

僕は幼いころ両親が離婚し、祖父、祖母に育てられました。祖父は僕が高校2年生のときに他界、その後急速に衰えていく祖母と二人暮らしになりました。当時はコンビニもなく、公設市場が歩いて20分ほどの所にあり、乳母車を押しながら祖母は買物に出ていました。しかし、それも限界が見えてきていました。僕は高校1年から酒屋のバイトを行い、卒業後そのまま就職。得意先の食堂やお好み焼き屋、中華料理屋さんに頼んで作ってもらった料理を自宅に持って帰り、おばあちゃんのもとへ。祖母の喜んで食べている笑顔が、いまだに忘れられません・・・。

 

カレイの煮付け、秋刀魚の塩焼き、鰆の西京焼き、餃子や八宝菜や肉団子の甘酢あんかけ、天ぷらや豆腐ハンバーグなども大好物で、特に季節の旬の食材をつかった料理を好み、「初物を食べると長生きすると昔から言われているから茂(僕の名前)も旬のものを食べるようにしなあかんで!」と口癖のように言っていました。

 

旬の食材には通常の3倍以上の栄養価が含まれている

旬の食材には、ふだんと比べ栄養価が3倍以上も含まれていると言われています。たとえば秋が旬の北海道で獲れる秋鮭は、脂も乗って美味しいうえに、抗酸化作用で免疫力を高める成分、アスタキサンチンが豊富に含まれていますので体にも良い。秋から冬にかけて大阪の泉州地域で採れる小松菜には、カルシウムがほうれん草の5倍、ビタミンも豊富に含まれています。朝晩の気温がグッと下がって気温の差が生じる秋。この季節に旬を迎える食材は、きのこや秋刀魚なども含め、抗酸化作用で免疫力を上げるものが多く、しかも大量に採れるので値段もリーズナブル。

 

旬の食材から、季節を感じることもでき、健康にも良くて、しかも美味しいから、文句なしですね。

 

しかしいくらリーズナブルとは言え、土地や人件費の安い海外で科学肥料を大量に使って大量生産された野菜に比べると、値段は高いです。大手スーパーや量販店、入札価格競争の激しい宅配弁当や給食業界では、長年にわたってそういった安い野菜を使ってコストを下げているのが現状です。

 

いつも思うのですが、経営者が、自分自身で自社の弁当やお惣菜を買って食べているのか? と疑いたくなるようなモノが多い、そう感じるのは僕だけでしょうか? 自分の子どもや親に食べさせられるのか? 30度を超える真夏日にも腐らない弁当、翌日になっても腐らないおにぎり、一週間経ってもカビが生えないパン、水分でベチャついていない野菜サンドイッチ等・・・・・。

 

蔵元回りで学んだ商品づくりへのこだわり

僕は、自分で商売を始めてすぐに、全国の地酒の蔵元を回りました、何百年の間、その地域で飲み継がれている酒蔵にも出会いました、皆さんすごくこだわって仕込んで造っておられます。お米にこだわり、精米にこだわり、温度管理にこだわり、11月中旬からこしきを上げ、3月中旬にこしきをしまうまでの約4ヵ月間は蔵に泊り込みの杜氏さん。特に1月から2月にかけて造る大吟醸造りでは、2時間交替に寝ずの温度管理をなさっている蔵人も多く存在します。

 

そんななかでも世界的に有名になった蔵元さんなどは、社長である経営者自らが蔵に泊まりこんで命がけで酒造りをされています。そんな努力があってこそ、多くの人を魅了するお酒が出来上がるのです。杜氏だけに任せて有名になった酒蔵なんて聴いたことも見たこともありません。

 

弊社では、25年間にわたって売れ続けている、今や世界的にも有名な、通常入手困難と言われる蔵元何社ともお付き合いいただいています。なかには、有名ホテルさんからの注文を断ってまでも、弊社に収めてくれている蔵元さんもいらっしゃいます。こういった、こだわりの日本酒づくりの蔵元さんに出会ったことで、僕は商品づくりにいっそう魅力を覚えたのです。

 

地域特産の食材をいかし、名物として売り出す

また、酒処は米処。こだわりの農家さんたちとも出会いました。そしてお米の栽培にも携わり、平成23年には島根県出雲市斐川町農協50周年記念式典において、最も貢献した小売業として特別賞をいただきました。平成22年には農林水産省のフードアクションニッポン農・工・商連携部門で優秀賞にも選ばれました。島根県はじめ多くの自治体と提携して全国を回り、地域の名産品を発掘、開発してきました。

 

島根和牛を使った駅弁「泳ぎ牛弁当」、隠岐の島の白いかシュウマイ、鳥取県産のらくだ種を使った「砂丘らっきょ」、和歌山県南部の完熟南高梅の傷つき捨てられていた梅干を「つぶれ梅」と命名して単品年商3億円までに、産業廃棄物の梅酢を使った健康ドリンク梅酢バーモント、清酒に初めて金箔を入れた「金箔酒」、大吟醸酒を造る酒蔵で甘酒を開発、「酒蔵の甘酒」として大評判になるなど、多くの地域名産品を開発してきました。先日も静岡県焼津市に出向き、お茶の葉を入れてマグロを炊いた「焼津煮」や干し柿に静岡県特産煎茶をまぶした「煎茶干柿」を開発してきました。

 

このような地域特産の食材を活かした名物を開発するのが得意で、僕は大好きです。廉価な輸入品が蔓延するなかで、自給率向上や日本の伝統を守るためにも、日本人が日本のモノを食べるという当たり前のことが必要だという時代になってきたと思っています。

 

多くのお客様からカタログを見ているだけで、昔旅行に行ったことを思い出す、とか、生まれ故郷で昔よく食べたので懐かしい、など多くの嬉しい便りが寄せられます。

米にこだわる堀田氏

買い物が困難な高齢者向けのグルメカタログづくり

弊社では足腰が弱ってなかなか外へ出られなくなった高齢者の皆さまに、21年間、自宅に居ながらにして暮らしのテーマや季節や地域を味わってもらえるグルメカタログを、年間52週ごとに作り発行してきました、そんな中で、今から6年前、島根和牛を使った地域名産品として、「肉じゃが」を開発して販売したところ、多くのお客様から「こんなお惣菜を待っていた!」「私たちは足腰が悪いからタクシーで買物に出かけているのよ!」「人に頼んで買ってきてもらっているのよ!」「材料から買っても余らして捨てるほうが多いくらい!」「毎日同じ料理ばかり食べているのよ!」・・・など、多くの声が寄せられました。
このたった一つの肉じゃがに対して!
ふだん何気なく暮している現役世代の僕ですが、自ら命を絶ったおばあちゃんの気持ちが、ようやくわかってきました。

 

僕のおばあちゃんは、足手まといを気にして、食事の世話など僕に迷惑をかけるのが嫌だったのでしょう・・・。

 

「チルドは腐るから冷凍にしてほしい。買い置きできていつでも食べられるようにしてほしいから」と多くのお客様から言われて、さっそく冷凍惣菜の開発に踏み切りました。ところがふつうにつくって真空パックして冷凍しても、解凍すると美味しくありません。近くにある厨房設備日本最大手の福島工業さんのテストキッチンを借りて試験的に作るのですが、思うように出来上がりません!・・・そんなときです。「君たち何を作っているのですか?」と声をかけてくれたのが、元帝国ホテル総料理長石川シェフでした。1980年に新阪急ホテル総料理長時代、フランスから真空調理法クックフローズン製法を日本に持ち込んだ第一人者です。弊社のコンセプトを説明すると、「よっしゃ、俺が教えたる!」。
それから毎日、石川シェフの調理指導が始まりました。

 

真空調理法を駆使したメニュー開発に奔走

連携先の船井総研さんから惣菜製造を委託できる仕出し弁当会社を紹介してもらい、一緒に惣菜加工場を施工。本格的な真空調理場を開発、必死に美味しい料理を作りお客様へご案内しました。

 

真空調理クックフローズン製法は真空圧力で味を染込ませるので砂糖、塩、醤油など調味料が通常の3分の1以下で済みます。また、袋で加熱するので味が外へ逃げず美味しいのです。そのことを説明すると、多くのお客様から「私たち血圧や血糖値をすごく気にしていたので助かるわ!」「できたら栄養バランスも気になるし、献立を考えなくてもよいようにヨシケイさんやタイヘイさんみたいに献立メニューをセットにして届けてくれたら助かるわ!」と言われました。

 

そこで、知り合いの大阪医療専門学校の講師の湯川管理栄養士に献立作りをお願いしてみました。

 

するとその管理栄養士から、「旬の食材は栄養価が高く、通常時に比べ3倍以上も違うから旬の食材を取り入れましょう!」と言われたのです。それで、季節に合わせた旬の食材を使うことに・・・。ところが国産の旬の食材はすごく仕入れが高い!「これあかんわ!」・・そう思っていた矢先、捨てる神あれば拾う神ありとはこのことです。防災誘導アプリを広めたいと相談に来られた泉佐野市の現職市議会副議長の向江議員と出会いました。

 

この方のお父さんは関西空港を立ち上げた元市長で、大阪泉佐野市は水茄子や玉ねぎなど野菜が有名! 地元の若手生産者グループ4H倶楽部を紹介いただき、さっそく計画栽培の話を提案しました。これまで酒造り・米作りで培ってきた契約計画生産の考え方を伝えて意気投合。自分たちが丹精込めて作った野菜がどんな料理に使われ、誰が食べてくれているのかがわかる流通の仕組みに賛同し、協力してくれることが決まりました。こうやって、大阪泉佐野周辺で採れる旬の野菜を使ったメニューの開発が始まったのです。

 

魚介類は、大阪中央卸売市場近畿圏水産事業共同組合会長の㈱三恒三上社長に協力を求め、弊社とこれまで付き合いのある島根県などの地方自治体にも協力を求めて、季節の魚介類をリーズナブルな価格でご提供いただけるようになりました。

 

おかずセットの製造は大阪の各地域の商店街に惣菜専門店を展開する仕出し料理お惣菜70年の歴史を持つ、大阪西区の㈱服部恒さんに委託しました。調理指導には、どっちの料理ショー100回出演75勝の実績を残される元サンフランシスコ日本国領事館公邸料理人、近藤一樹先生にお願いしています。

4Hクラブ

社長自らが試食して納得したものしかメニューに上らない

おかずセットは、僕自身が試食して納得したもの以外、いっさい採用していません。僕も週5日間、晩御飯のおかずとして旬の夕食おかずセット『健幸ディナー』を自宅で食べています。栄養価が高くて、栄養バランスを考え、旬の食材を使い、創作料理を考え、楽しみにしてもらえるメニューを日々作って提供しています。

 

食べた人の生活や暮らしを豊かにしたい、自分でカタログを選ぶ楽しみ、自分で注文した商品が届く楽しみ、そして食べる楽しみを味わっていただきたい。

 

わんまいるでは、日々のおかず以外にも全国各地域のお菓子やスィーツ、果汁や野菜ジュースまで美味しさを徹底追及しています。同じ商品をまとめて注文しなくてすむようにロットをなくし、一品からご注文をお受けしています。

試食では何度もダメだしを行う

-

執筆者:

関連記事

no image

石井英寿さん(宅老所・デイサービス/いしいさん家 代表)お年寄りも子どもも、いろんな人が、みんな一緒に「ありのまま」でいられる居場所vol.2

事業を拡大するよりも、自分の目の届く範囲でしっかり運営したい、とあるときから石井さんは考えるようになった。失敗や挫折、葛藤に悶々としながらも、「こうあるべきだ」という介護ではなく、さまざまなバランスを …

no image

起業のために必要な10のポイント―5.保険

だれだって、事故は起こしたくない。事業を担う経営者であればなおのこと、リスクは回避したい。でも、どんなに気をつけていても、事故は起こってしまうこともある。特に賠償責任は必ず入らなければならない保険だ。 …

no image

ICT(タブレット)や介護ロボットが、介護経営の課題解決になるvol.1

介護経営における課題の中で業務効率化と離職率防止は大きなテーマだ。利用者サービスの質は担保されたままでスタッフの負担が軽減されるようなことがあれば、経営者としてはすぐにでも手を打ちたいところだろう。今 …

no image

大きく変わる「社会のしくみ」と「社会保障制度」 vol.4

目次1 地域住民の安心・安全な医療・介護サービスの提供のために。勇気ある連携・協働・統合を!2 改善策について 地域住民の安心・安全な医療・介護サービスの提供のために。勇気ある連携・協働・統合を! 医 …

no image

介護現場で起きる事故について考えるVol.1

  目次1 具体的に把握されている医療事故2 発生件数が最も多い服薬介助への対応3 24時間いつ起こるかわからない転倒・転落事故4 摂食中の誤嚥・窒息に関する事故 具体的に把握されている医療 …