サ高住の運営スタイルが変わる!? 有料老人ホーム標準指導指針の改正による影響とは


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サ高住の取り扱い見直しについての経緯

改定前の有料老人ホーム標準指導指針では、「サービス付き高齢者向け住宅」は有料老人ホームに該当しても適用対象外となっておりました。そもそも、サ高住の前身は「高齢者専用賃貸住宅」と呼ばれるものであり、これは国土交通省が管轄をしておりました。

 

ただ、この高専賃制度が出来た時は登録基準が非常に緩く、高齢者が専用に入居できる住宅であればOKという代物でした。なまじ高専賃という名前があるので、この名前だけが一人歩きしてしまい、建物の内容自体は問われず玉石混合といった状態になりました。

 

このような事態になって平成21年5月20日に高齢者すまい法の改正がされ、国土交通大臣と厚生労働大臣が共同で基本方針を策定することとなりました。この改定を受け1年後の平成22年に高円賃に登録基準が設けられることとなりました。※高円賃とは高齢者円滑入居賃貸住宅と呼ばれるもので高専賃のさらに前身となるもの。以前は高齢者に賃貸させることを拒む物件が多くあり、高齢者でも円滑に入居できる賃貸物件が少なかったため積極的に高齢者を受け入れるできる物件を高円賃として登録し閲覧できる仕組みとなっていた。

 

しかし、基準は設けられたものの一般の人への浸透はおろか、当時業界で働いていた人もこの制度内容についての理解がおぼつかない状態でした。また、そんななかで今のサービス付き高齢者向け住宅の交付金事業が始まるのですが、その際の応募名が「生活支援サービス付高齢者専用賃貸住宅部門」というもの。

こんなややこしい状態を一新するために「高齢者の居住の安定確保に関する法令」等の一部改正(平成23年10月20日)が行われ、高円賃・高専賃・高優賃を廃止して『サービス付き高齢者向け住宅』に一本化されたという経緯があります。サ高住は国土交通省と厚生労働省の共管制度となっておりましたが、当時の私の感覚ではどちらかといえば主体は国土交通省側が持っていたように思います。

 

そして、サ高住と高専賃での違いは多数あるのですがその中での大きな違いは行政による指導監督ありというところです。ただ、主体となっている国土交通省側は建築の内容はわかれどサービスの内容についての是非がわからないという状態で結局は有料老人ホームを管轄している部署にサービス内容を確認してもらうということになります。

 

しかし、サ高住と有料老人ホームでは似たような内容をやっているにも関わらず行政指導としてはいった場合にはルールが異なるため指導する側としてもややこしいということで、統一したガイドラインを作ってもらいたいということで今回の改定に至ります。

 

次のページは・・ サービス付き高齢者向け住宅の取扱いの見直し

サービス付き高齢者向け住宅の取扱いの見直し

サ高住運営事業者さんが気をつける3つのポイント

サ高住を運営している約95%の事業者さんが食事の提供をしており、今回の改定では食事の提供等をしているサ高住は有料老人ホームとして取り扱われることとなりました。これによってサ高住を運営している事業者の95%が今回の標準指導指針の対象となります。

 

今回の改定に伴い、サ高住を運営している事業者に適用される規定は、下記図を参照して頂ければと思いますがそのなかでも特に気をつけないといけないのは次の3つになります。(1)職員の配置、(2)運営懇談会の設置、(3)重要事項の説明。この3つの中でも特に内容をよく確認しておかなければならないのは(1)職員の配置についてです。

次のページは・・ サ高住の職員配置について

サ高住の職員配置について

サ高住の職員配置について明記されたものでいうと、下記の図のようになっており、ケアの専門家が少なくとも日中建物に常駐し、と書かれております。ここで言う日中とは9時?17時を指します。ということで、今までのサ高住の職員配置に関していえばこの日中の時間さえ常駐していれば問題なかったことになります。夜間等は緊急通報装置等で呼び出しが出来れば登録基準を満たしていたことになります。

しかし、今回の改定によってこの職員配置の基準が大幅に変更されています。例えば日本で一番サ高住が多い大阪府の改定された有料老人ホーム標準指導指針をみると職員の配置については、「入居者の実態に即し、夜間の介護及び緊急時に対応できる職員体制及び勤務ローテーションとし、昼夜を問わず1名以上の職員が常駐していること。ただし夜間においては宿直体制を否定するものではない。」と明記されております。

 

これにより今まで夜間等は緊急通報装置で対応していたという事業者さんは運営スタイルを見直す必要性が出て来ます。無論、即適用という話ではなく経過措置期間としてある程度の猶予はあると思います。しかし、これは経営を考えるうえでも大きなポイントとなります。

 

ちなみに厚生労働省が出している標準指導指針には「入居者の実態に即し、夜間の介護、緊急時に対応できる数の職員を配置すること」とされており必ずしも常駐を義務付けるものとなっているわけではありません。管轄によって見解が違うということです。

 

また、管理者の設置も必要となってきます。ただし大阪府においては管理者の見解は常駐している必要はなく週に1度程度の者でもよいとのこと。

参考図 大阪府 有料老人ホーム標準指導指針 新旧対照表 左が旧 右が新

(2)運営懇談会の設置については、年に2回程度、利用者や家族、自治体、有識者などを集めて経営状態の報告や運営に対する意見交換などを行う懇談会を行う必要が出て来ます。

 

(3)重要事項の説明については、もともと運営事業者さんと利用者さんと直接契約が多く、その場合においては借家借地法の観点でみても重要事項の説明は必要なく、また通常の賃貸マンションのような不動産仲介を入れることがないため重要事項説明の必要がなかったため重要事項説明書を作成していない事業者さんも多かったと思うが、有料老人ホームの観点においては不動産のそれとはことなり、職員の配置内容や資格の明記まで行って重要事項説明をしている通例があるため今回はそちらに従う形となる。ということで事業者さんとしては契約時に新たに重要事項の説明が必要となり、その内容は行政が指定するものをきちんと説明しないといけなくなる。

 

前回の結びでも詳細内容に関しては事業を行っている各管轄の標準指導指針内容をご確認してくださいと書きましたが、職員の配置に関してはどのような規程になっており、行政監督庁がどのような見解をもっているかをきちんと直接聞いて確認しておくことをお勧め致します。

 



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