大きく変わる「社会のしくみ」と「社会保障制度」 vol.6

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「誰かがやる経営」から「わたしがやる経営」へ
制度優先主義の時代が長く、地域ニーズを無視した経営体質に傾きがちな状況が続いていました。制度依存体質により生じる経営感覚のせいで、他人(国の制度)任せとなっている経営者が多いのが現状です。これからは他産業と同じく競争の原理が働くため、「誰かがやる経営」から「わたしがやる経営」へと、大きな意識変革が求められます。
現状と課題
1. 現状
・理事長が院長を兼任しているため、病院中心の経営体質に陥り、介護事業を把握していない。
・理事会承認後の理事長執行段階において、決定機関が明確に示されていないため、経営陣(理事長・常勤理事等)によって、新規事業等が決められている法人が多い。
・組織図(指揮命令系統)が不明確で、部長・課長・管理者等は名ばかり(役割と権限がない)のケースも多い
・経営幹部が直接現場に指示してしまうので、中間管理職が育たない。
・箱物に高額な投資をするが、人材育成には投資しない。
2. 課題
・医療(高度急性期医療を除く)中心・主体の考え方からどう脱却するか。(医療と介護の一体化)
・制度優先主義から経営理念中心に!
・制度優先主義から地域ニーズ優先に!
・「経営理念」と「組織体制(指揮命令)」に対する意識の高揚
対応策
1. 経営陣の意識改革について
■理事長は、自らを経営者であると意識する。
理事長は医療・介護・住まい系全てを把握すべきである。
■独断から合議制へ変える。
決定機関を明確にし、エリア(地域単位)長による合議制にすべきである。
・「経営理念」の再構築。明確にして現場地域に示す。
・経営陣は事業全体(医療・介護・住まい系・生活支援系)を把握し、権限をエリア長に移譲する(地域包括ケアシステムは市区町村・日常生活圏域単位で地域ケア会議が積極的に行われるための対応である)。
・経営陣自ら「地域に出て・地域を知り・暮らしを支える」地域・現場目線で経営を考える訓練を行う。
・暮らしを支える医療・介護・福祉事業を展開する。そして各制度を有効活用する。地域懇談会に理事長自ら出席して、地域との関係性を重視する。
2. 組織再編
■組織の見直し!組織での決定機関を設置する。
理事会決議後の執行機関においては、職務基準・職務権限を明確にし、エリア単位で権限を移譲する。
■地域包括ケアシステムに向けた部署、「地域包括ケア推進室(部・担当)」を設置する。
・組織図(指揮命令系統)をエリア単位にし、各現場に周知する。各エリア単位で課題と対策を瞬時に対応できるようにする。月の初旬に前月の運営状況を把握して対策を指示。
・地域の事業者・地域住民等との連携のために、地域包括ケア推進室(部)を設置して、積極的な地域連携・協働
・統合に向け、2015年度中に体制を整え実施する。
・法人職務基準書・職務権限書を見直し。現場に示す。
・事業所単位の役割分担表を作成する。
・全ての職員に役割を持たせ「権限と責任」を自覚させる。
これらのことを踏まえたうえで、次回は、「規模拡大より機能強化」「コンパクトなまちづくりへ」「人財育成と質の確保」についての対応策を具体的に考えてみたいと思います。
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執筆者:竹重俊文