平成26年度介護給付費実態調査の概況について


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受給者の状況

平成26年度の年間実受給者数 (※)は 588万 3,000人 (対前年度比 22万2,500人(3.9%)の増加)となっています。この数値は平成26年4月から翌年3月の1年間において、一度でも介護予防サービス又は介護サービスを受給した者の数であり、同一人が2回以上受給した場合は1人として計上されています。

 

平成23年度の年間実受給者数が517万3800人、平成24年度が543万600人、平成25年度が566万500人と過去3年間を遡ってみても、毎年20万以上の増加となっており、今後も団塊の世代などの受給者数が見込まれるため同数以上の増加となると予想されます。

 

また、8月12日に発表された介護保険事業状況報告の概要において5月末時点では、 要介護(支援)認定者数は、 608万9000人で、うち男性 が187万9000人、女性 が421万1000人となっています。男性よりも女性の認定者数が倍以上いるというのはやはり寿命の関係だと推測できますね。

 

要介護度における状態区分については、状態区分の変化のない「維持」の割合が要介護5を除きおおむね70%前後となっています。重度化については要支援1が31.9%、要支援2が21.3%、要介護1が26.5%、要介護2が20.6%、要介護3が19.6%、要介護4が14.3%となっており、当たり前の話ですが重度になればなるほど重度化の率は減っていっていますね。

 

軽度化は要介護1から要支援への軽度化率が5.3%低いですが、他の要介護度は大体1割という結果になっております。今回の27年度改定においてはリハの役割がクローズアップされておりますので、来年の結果で軽度化の変化割合が増えていれば効果ありといったところになるのでしょうね。

サービス種類別にみた受給者数

サービス種類別にみた受給者数を見てみると、居宅サービスの総数は359万8300人(対前年度比14万800人)となっています。詳細を見ていくと訪問介護は 142万300人(増加数2万8400人)、通所介護は 184万4500人(増加数9万7000人)訪問看護は 52万7900人(増加数3万4800人)、福祉用具は 203万9000人(増加数 11万3000人)訪問リハは12万1200人(増加数4600人)、通所リハは59万100人(増加数1万500人)、訪問入浴は13万9500人(増加数▲5600人)、特定施設入居者生活介護(短期利用以外)は22万900人(増加数1万3300人)となっています。

 

ほとんどの事業が伸びている中で訪問入浴だけがマイナスとなっておりますが要因として考えられるのは通所介護(デイサービス)や通所リハ(デイリハ)、サ高住などの代替えできる設備が充足してきているからだと考えられます。

 

居宅サービスにおいては国の大方針である「地域包括ケアシステム」の考え方である「施設から地域へ」の流れで今後も需要の伸びは見込まれます。ただし、気を付けなければいけないのはやはり国の政策です。

 

福祉用具は軽度者から重度者まで要介護度に関係なく幅広い層からの使用が見込めるので今後も増加数が一番多く見込まれると思いますが、財務省が出している資料において軽度者に対するその他の給付の見直しで福祉用具については原則自己負担とすべきと示唆されておりますのでこのことを念頭に置いて事業展開をしておかなければ改定されたときに取り返しのつかないことになるかもしれません。

地域密着型サービスの総数は50万9700人(対前年度比4万1100人)となっております。主要なもので言えば、定期巡回・随時対応型訪問介護看護は1万5300人(増加数5600人)、小規模多機能は  11万1400人(増加数9000人)、グループホームは 22万9000人(増加数9400人)、地域密着型特養は5万3800人(増加数 1万6400人)、認知症対応デイは8万7600人(増加数▲700人)となっています。

 

施設サービスは120万9500人(対前年度比1万9100人)となっております。特養は(61万9600人)(増加数1万6900人)、老健は53万9300人(増加数9200人)、療養は10万4700人(増加数▲6800人)となっています。

 

地域密着型サービスや施設サービスに関しては、許認可と設置数の関係もあり居宅サービスに比べれば増加数は少なくなると思います。特に施設事業においては新規開設がなければ大幅な増加はなく、入れ替わりといった形になると思います。

 

そんな中で注目すべきは、定期巡回・随時対応型訪問介護看護と小規模多機能です。定期巡回に関しては、施設事業ではないので行う事業者さんが増えれば、今後必ず増加はしていきます。利用者さんにとってサービスの内容は良いので。ポイントは行う事業者さんがどれだけいるかということだと思います。

小規模多機能は定員数が25名から29名に引き上げられたことを考えれば来年度の増加は今年の数を上回るものになるのではないかと思われます。

 

療養については今後も特養への変換などで人数を減らすと思われます。

 

サービス種類別にみた受給者1人当たり費用額

平成27 年4月審査分の受給者1 人当たり費用額は157,800円となっており、平成26 年4月審査分と比較すると600円増加しています。

サービス種類別にみた受給者1人当たり費用額をみると、介護予防サービスでは41,000円、介護サービスでは191,300円となっています。

表7を見ていただければわかるように、介護サービスの1人あたりの平均費用額は191,300円となっていますが、居宅サービスは特定施設を除けば、平均単価は100,000円を切る形となっており、地域密着型サービスと施設サービスが大幅に引き上げているとわかります。

 

だから国の大方針として、地域包括ケアシステムの施設から地域への考え方があり、それは給付の抑制が目的でもあるからです。

余談になりますが、今回の改定はどの事業においてもマイナス改定となっておりますが、例えば同じマイナス改定率5%だったとしても、平均単価の高い事業ほど売上のマイナス幅が大きくなる形となるのです。

 

平成27年度の介護給付費実態調査の概況においてはサービス種類別にみた受給者1 人当たり費用額は当然のことながら下がっていると予想できますね。

 

最後に、1年のデータを通して介護業界全体の傾向を掴むことは非常に大切です。無論、知識として知っておくことは大切ですが、何よりも傾向を掴みどのように自社の経営に活かすが重要だと思います。資料には今回掲載できなかった内容がまだたくさんありますので是非一度お目通しください。

 



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