対話の手法と運営上の心配り


投稿日: 更新日:

介護ラボしゅうの対話手法

以前のコラムで書いた通り、介護ラボしゅうを始めた頃は、場所は会議室、テーブルレイアウトもロの字型、進行も係がただ話を振っていくという、他の参加者との距離感も取りにくく話も盛り上がらないような状態でした。進行をしている自分がどんどん辛くなっていく様な状況だったのです。

 

そこで参加した勉強会やワークショップで行われていた「対話の手法」を導入してみることにしました。利用してみると、参加者の方も参加しやすくなった様子で話も盛り上がり、アンケート結果でも満足度を上げることができました。

 

介護ラボしゅうでは、これから紹介する2つの対話の手法を利用しています。ただし両方とも介護ラボしゅうならではの流れにアレンジしていますので、あくまで手法のエッセンスを利用していると考えてください。本来の使用方法とは異なる部分があるかと思いますのでご了承くださいね。

 

KJ法のエッセンスを利用したワークショップの作り方

KJ法とは、ブレーンストーミングなどで得られた発想を整序し、問題解決に結びつけていくための方法をいいます。KJ法という呼び名は、これを考案した文化人類学者、川喜田二郎氏のアルファベット頭文字から取られているようです。

 

テーマに沿って個人ワークでポストイットに考えや思いを書き出し、次に各人が書き出したポストイットを持ち合いグループワークで共有、意見・考えをグルーピングして、共通項や関係性を見つけていくという手法です。

 

ワークを進めていくには、ちょっとしたルールがあります。

下記のルールを参加者に守っていただくことで、発言しやすく、居心地の良い空間を作ることができます。

 

■「批判しない」

他人の意見を批判しない。批判により良いアイデアや意見が出にくくなります

■「自由奔放」

こんなこと言ったら笑われるのでは、などと考えず、思いついた考えをどんどん出す

■「質より量」

出来るだけ多くのアイデアを出す

■「連想と結合」

他人の意見を聞いてそれに触発され、連想を働かせる。また他人の意見に自分のアイデアを加えて新しい意見を述べる

※KJ法を使ったワークショップ

KJ法のエッセンスを利用したワークショップの作り方2

次にワークショップの流れと時間配分をご紹介します。

 

1.開会(5分)

・開催のあいさつ

・本日のテーマ、流れの説明

 

2.自己紹介(5分)

・グループ内で自己紹介

 

3.個人ワーク(10分)

・ポストイットに想いや意見を箇条書きで書き出してもらいましょう

 

4.グループワーク(1)(5分)

・模造紙にポストイットを張りましょう

 

5.グループワーク(2)(15分)

・ポストイットのグルーピングをしましょう

①t同じものを重ねる

②t似たものを近くに置く

※どこにも当てはまらないものがあっても問題なし

③t大きく2つに分ける

④tさらにグループごとに括る

 

6.グループワーク(3)(10分)

・グループに名前をつけてみましょう

 

7.グループワーク(4)(20分)

・グループごとにどんな関係があるか線でつないでみましょう

 

3.発表(15分)

・グループ結果発表

・まとめ

 

8.閉会(5分)

・閉会のあいさつ

・アンケート記入

・次回のご案内

 

用意するものは、模造紙、ポストイット、マジックやボールペン(多くの色を用意することがオススメ)です。

 

この手法は少人数でも開催できますので、人数が少ないうちはこちらを使うとワークショップが開催しやすいかと思います。

書き出すことで自分の想い・考えが整理されます。また、書き出すということが自分の意見を述べることとは違って、人前で話すことが苦手な方であっても参加しやすいのがいいところだと私は感じています。

 

ワールドカフェのエッセンスを利用したワークショップ

ワールド・カフェとは、「知識や知恵は、機能的な会議室の中で生まれるのではなく、人々がオープンに会話を行い、自由にネットワークを築くことのできる『カフェ』のような空間でこそ創発される」という考え方に基づいた話し合いの手法をいいます。

 

まず、いくつかのテーブル(グループ)ごとに与えられたテーマについて議論します。次にテーブルホスト以外が、他のテーブルへ移動し、移動後テーブルホストから前の議論の内容を共有、さらに議論を深めます。この移動と共有を何度か繰り返した後に、各テーブルホストがまとめの発表を全員にするという手法です。

※ワールド・カフェを使ったワークショップ

ワールドカフェのルールは下記のようになっています。

 

■「対話を楽しむ」

結論を無理にまとめる必要はありません。その場に出てくる話と、参加者との対話を楽しみましょう。

■「リラックス」

正解はありません。間違いもありません。一人ひとりの発言が誰かの気づきや新たな視点の発見につながります。リラックスして話しましょう。

■「よく聴く」

話すばかりではなく他の人の話によく耳を傾けましょう。

■「とにかく書く!描く!」

キーワードを書いたり絵を描いたりしながら、対話を残していきましょう。線でつないで関係を示すとGood!

■「テーマを忘れず、つなげていく」

テーマについて話をするように心がけましょう。そして意見をつないだり重ねたりします。

■「質問して広げる」

わからないことや理解できないことは質問してみましょう。質問することで理解が深まり、対話が広がります。

■「批判しない」

相手を批判しない。他の人の自由な意見や考えを受け入れてみましょう。

■「トーキングオブジェ(TO)を回そう!」

TOを持っている人が話せます。TOを回して会話を繋いでいきましょう。

 

ワールドカフェのエッセンスを利用したワークショップ2

続いて、ワークショップの流れ(時間配分)です。

開催のあいさつと本日の説明

 

1.開会(5分)

・開催のあいさつ

・本日のテーマ、の流れ説明

 

2.ラウンド(1)(20分)

・自己紹介 全員で2分

・テーマについて対話開始

・振り返り3分

 

3.ラウンド(2)(15分)

・各テーブルに1名が残り(ホスト)他のメンバーは別のテーブルへ移動し新しいグループを作る

・自己紹介 全員で2分

・ホストは自分のテーブルで話された内容を新メンバーに共有

・そのテーブルのアウトプットを深めたり発展させたりしながらテーマについて対話を進める。

 

4.ラウンド(3)(15分)

・ラウンド(2)と同様

 

5.振り返り(15分)

・ラウンド(2)で集まったグループに戻りましょう

・始める前と今と印象に残ったことをグループで話しましょう

 

6.発表(15分)

・振り返りで上がってきたものを発表して共有しましょう

 

7.閉会(5分)

・閉会のあいさつ

・アンケート記入

・次回の案内

 

用意するものは、模造紙、マジックやボールペン(多くの色を用意することがオススメ)、トーキングオブジェ(小さなおもちゃやボールなど)です。

 

ワールドカフェのエッセンスを利用したワークショップ3

ワールドカフェは参加者がある程度の人数がいないと利用できませんが、多くの方と話せるのでよりたくさんの意見を聞ける機会になります。また、テーブルを移動するといった動きがあるので全体的に盛り上がることができます。

 

二つの対話の手法は、たくさんの考えを視覚でも捉えることができるため、考えや思いの違う部分、もしくは同じ部分を理解しやすくなります。両手法の基本的な運営方法や考え方はインターネットで検索できますし、導入している他の会に参加して体感してみることで、楽しさや手段を学ぶことができるかと思います。

 

何よりも大切なのは、参加している人が「楽しい」と思ってもらえるような時間を作ることです。ルールを参加者にきちんと提示することで、場がフラットで何でも発言することが許されていることを感じてもらえるのではないかと思います。

ワクワクできる場作りを目指して、ぜひ様々な手法を試してみてくださいね。

 

次回は介護ラボしゅうという場をどのように広げていったのか、告知方法などをご紹介したいと思います。

※介護ラボしゅうのWebサイトはこちら



実地指導の準備はお済みですか?
実地指導に向けて対策しておくべきポイントについて、わかりやすくまとまっているPDF資料を、ぜひご活用ください。

-

執筆者:

関連記事

no image

1年間が経って、27年度改定が与えた影響を考察!!

目次1 倒産件数が過去最多2 27年度改定のポイント3 医療・介護の統合へ4 まとめと今後の方向性 倒産件数が過去最多 東京商工リサーチによると2015年(1-12月)の「老人福祉・介護事業」の倒産は …

no image

株式会社アイビー(東京都葛飾区)Vol.2 旅行や結婚式の付き添いもやります!お年寄りや障害をもつ人たちが“生きがい”をもてるキッカケをつくる!

株式会社アイビーの最大の特徴は、介護保険制度や障害者総合支援法では対応が難しいサービスを、「生きがい支援事業」として、自由契約で展開していること。生きる喜びや意欲をもってもらえるよう、真壁さんたちは、 …

no image

人材確保のための実践的アドバイス―その10 「若者雇用促進法」など、国が力を入れている若者向けの就職支援にも注目したい

少子高齢化に伴い、若者が生き生きと働ける雇用環境をつくりだすことが、国にも求められている。そのなかのひとつが、「若者雇用促進法」だ。段階的に施行されているこの法律のなかで、「若者の雇用管理の状況が優良 …

no image

NPO法人シニアライフセラピー研究所 Vol.1 ボランティアを積極的に育成し、“おたがいさま”の風土をつくる

神奈川県藤沢市鵠沼地区に9年前、小さなNPO法人が産声を上げた。職員は立ち上げた鈴木しげさんただ一人。地域のニーズに応えていくうちに、気がつけば事業数は今や65にも及ぶ。シニアの人生(シニアライフ)を …

no image

職場でのコミュニケーション―管理者・経営者の立場から―

介護職の離職の原因のひとつに挙げられるのが、職場での人間関係だとよくいわれます。職員間のコミュニケーションがうまくいかないと、よい職場環境は生まれません。管理者・経営者の立場から、具体的にどういうこと …