平成25年の監査事例から読み解く 実地指導と監査のポイントについて


投稿日: 更新日:

指定取消・停止 過去最多216件

平成25年度における介護事業者の指定取消・効力停止処分となった事業者数は216件。これは介護保険が始まって以来の過去最多の数であり、指定取消が107件、効力停止処分が111件となっています。

指定取消件数をサービス種別ごとにみると、訪問介護事業(予防含む)が44件で最多となっており、全体の約4割を占めます。次いで、居宅介護支援事業所とデイサービス(予防含む)がそれぞれ18件で続く形となっています。

 

過去13年間における指定取消件数(1129件)をサービス種別ごとにみると、訪問介護事業が487件と圧倒的な数を占めており、次いで居宅介護支援事業所の223件、デイサービスの150件となっており、4番目に多いグループホームにおいては48件と数に差があることがわかります。

取消事由と訪問介護の取消が多い理由

取消事由の年次推移をご覧いただくと「介護給付費の請求に関して不正があった」という理由が介護保険制度の開始当初から常に高位についていることがわかると思います。訪問介護事業において圧倒的に取消が多い理由がこれであり、他のサービスと比べると、訪問介護は意図的であるかそうでないかに関わらず架空請求がしやすいため自ずと取消も多くなっています。

平成25年度における実施指導の実態

平成25年度介護サービスの種類別にみた指導の実施件数において、訪問介護事業では指導に入った後に改善報告を求められた事業所は全体の6割にものぼっており、きちんと出来ていたところが4割しかないことがわかります。

 

また、指導の実施率を見てみると、指定居宅サービス、居宅介護支援における実施率は16%となっており、これは年で計算すると6年~7年にかけて一度実施指導が来ている形となっています。

 

多くの介護事業者さんは、実施指導に関しては良く3年に1度の目安で来るという話を聞いていると思うがそれはその通りで、都道府県や政令市、中核市などが出している指導監査要綱には概ね3年を目安にと記載している所もあります。

だが、実態はというと先に記したように6年~7年に1度のペースになっています。これは事業所の大幅な増加や行政側のマンパワー不足による結果だと思われます。指導する側の行政においても3年に一度法改正され、そのたびに解釈を覚えなおして指導に回るということは大変なことだと思われます。

ちなみに実地指導から監査に移行した割合は、訪問介護事業が8.3%。デイサービス7.0%。居宅介護支援8.0%。となっており、どの事業においても1割に満たない割合となっています。

 

実地指導と監査の違い

多くの介護事業者さんは『実地指導』の通知が来ると監査が来ると言って誤解をしてしまいますが、通常の『実地指導』とはサービスの質の確保や向上を図るものであり、行政と対話をしていけるものです。

一方、『監査』とは指定基準違反や不正請求などの疑いをもたれているもので、事業者の対応としては違反や不正をしていないことを証明していくものとなります。

 

そのため、常日頃からきちんと書類の整理を行っていれば『実地指導』が来たからといって、『監査』に切り替わることはほとんどないと言っていいものです。

 

通常の『実地指導』の流れは、指導日の2~3週間前に郵送にて書面が届き、あらかじめ行政側が準備しておいてもらいたい書類や帳票のリストが記載されております。

 

それとは別に電話等で急遽、『実地指導』が入ることを告げられることがあります。これは利用者さんやそのご家族さんなどからの苦情等によって、サービスの質や不正等が疑われているパターンです。

 

この場合、きちんとサービスを行っている証明ができればなんら問題ありませんがそうでない場合はジタバタせずに事実を認めていくことが大切です。

 

過去の事例になりますが、訪問介護事業で介護給付費約2万7千円を不正受給したとして指定取消をされた事業者さんがあります。その際の記事には、不正が発覚したのは外部からの情報提供によるもの。当局が監査に入り、次々と不正事実が明らかとなっていった。

ずさんな管理体制のまま給付申請を行っていたとされ、監査の際の虚偽記録の提出や答弁が悪質と判断された。と書かれておりました。

 

金額ではなく、内容やその対応に比重が置かれることがよくわかる例だと思います。

 

最後に『実地指導』における対策として経営者さん、管理者さんの務めとしてはきちんと書類が作成できているのかをチェックすることが大切になります。その際には、ケアマネさんやサ責さん、管理者さんの「(書類が)出来ています」や「あります」という言葉を信用するのではなく、出来ている成果物を必ず確認することが大切になります。

 

また、各行政においては「介護保険施設等指導監査要綱」といった形で実地指導等における手順や内容を記載している書類がありますので一度、お目通ししておくことをお勧め致します。

 

-

執筆者:

関連記事

no image

「フレイル」を介護の現場に広げよう

全国の介護予防の現場で、フレイル(虚弱)という考え方が急速に広がりつつある。これまでは介護予防といっても内容は千差万別で、介護予防による改善度を測るモノがなかったが「フレイル」の登場により、わかりやす …

no image

地域包括ケア時代に、医療と介護は何を求められるか?―3.「持続可能性」

在宅医療をけん引する悠翔会の理事長であり医師の佐々木淳さんが主催する在宅医療カレッジ。医療や介護など、多職種がともに学び、よりよい在宅医療を目指す定期研修会だ。その特別企画として12月10日に開催され …

no image

報酬改定後、迫る最初の給付費入金!資金不足時にすぐ効く知識!

  目次1 報酬改定のインパクト2 資金繰り4つの方法 報酬改定のインパクト 今月末は、報酬改定後、初の国保連からの給付費入金となります。都道府県によっては、5月請求(4月サービス提供分)の …

no image

介護現場で起きる事故について考えるVol.1

  目次1 具体的に把握されている医療事故2 発生件数が最も多い服薬介助への対応3 24時間いつ起こるかわからない転倒・転落事故4 摂食中の誤嚥・窒息に関する事故 具体的に把握されている医療 …

no image

平成26年度 高齢者虐待防止法等の対応状況に関する調査結果について

今回は平成28年2月5日に厚生労働省老健局高齢者支援課 認知症・虐待防止対策推進室が発表している平成26年度 高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律に基づく対応状況等に関する調査結 …