介護現場の節度を求めたい―――本人、家族が望む介護との隔たり


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20年余りの介護体験から見て

前段で少々回りくどい言い方をしたのは、最近、自らの介護体験からそれを感じさせられたことがあったからである。

 

妻が長野の両親の遠距離介護を始めて、もう20年を超えた。その間介護保険ができ、事業所、ケアマネ、ヘルパーの方々には随分世話になり続けた。おかげで、義父は100歳を超え、今なお高齢者専用賃貸住宅でそれなりに生活し続けられている。

 

義父は、妻(私にとって義母)が15年前に亡くなってからもほぼ10年間、市内の中心部に近い一軒家で一人暮らしを続けた。長女である妻が東京からの遠距離介護で毎月通ったせいもあるが、親類や知人、隣近所の見守り、さらに介護保険で認定された要支援1~2によるサービスによって、ヘルパーによる食事や掃除、買い物などの生活援助サービスに支えられたからである。それには心から感謝したい。

 

義父は足腰がやや衰え、5年前肺炎を患ったのを機に、現在の高齢者住宅に移った。昨年は腸閉塞、今年3月には冠動脈弁狭窄症を患い入院、退院後は要支援2から要介護3に引き上げられ、ほぼ毎日、トイレ介助などの身体介護の訪問介護が入っているのに加え、週3回のデイサービス、洗濯や掃除などの生活援助をしてくれるヘルパーさんが週2回来てくれるようになり、なんとか安心して生活を続けられる。

 

その中でつい最近こんな話があった。

今も東京から片道4時間かけて私が運転し、毎月妻と訪れるが、7月末に訪れた際、買い物を頼んでいたヘルパーさんから「これからはできません」と断られた、と義父は言う。

義父によると、それまでは掃除や洗濯に毎週1回来てくれる信頼するヘルパーさんに、食事の副食物やキャラメルなどの嗜好品の買い物を頼み、快く応じてくれていた。ところがつい最近、そのヘルパーさんは「事業所からそうした買い物は今後やってはならない」と厳しく言い渡され、そのヘルパーさんに買い物を頼めなくなったのだという。

 

理由はいわれなかったというが、心配性の義父は「困った」と当然不満そうだった。

義父にはくわしくは説明しなかったが、これまでヘルパーさんがしてくれていたサービスは制度上、認められたサービス時間外としてボランティアとしてやってくれていたサービスで、ヘルパーさんの所属する事業所がそうした行為を知った以上、規制するのはやむを得ない。しかも、在宅で一人暮らしなら利用者にとっては本当に困るが、現在いる高齢者住宅で、有料での買い物サービスを頼むこともできる。

 

今回の件は、利用者によっては「冷たい」と受け取られかねないものだが、やむを得ない措置だろう。

 

ケアマネの過剰な「利用者本位」

もう一つの事例は事業所、というより事業所に勤務するケアマネジャーの問題として、首を傾げたくなる事例として紹介したい。

 

昨年まで義父のケアプランを担当していただいた方は、面倒見の良いケアマネさんではあったが、親切過ぎた面があった。

 

高齢者にありがちなことだが、義父も医療への依存度が強い。複数のかかりつけ医の受診は2年前に一人の「かかりつけ医」に絞り込んでもらったが、それ以降も腹痛や頭痛の症状があると、すぐ検査をしてもらいたがる。血液検査やレントゲン検査ならまだしも、CTやMRIといった高度な、したがって高額な検査をすると満足する。そのケアマネには義父がとかく検査をしたがる癖が強いことを妻は説明していたが、訴えを聞いたそのケアマネさんはそれを積極的に受け入れ、病院に受診の手配をすぐしてくれる。それが一度にとどまらなかったことを知った。

利用者の訴えをそのまま聞き入れることが、「利用者本位」と信じているようだった。

家族の一人としては、本人の訴えをできるだけ受け止めてもらいたいとは思うが、時には利用者には厳しいことであってもきちんと対処する。介護保険をコーディネートする専門職として役割ではないだろうか。

 

医療よりも介護のケアを

義父に限らず、日本の高齢者の医療依存度は先進国の中で突出して高い。

厚生労働省の統計によると、生まれてから死ぬまで一人が平均して使う医療費平均2500万円のうち、年齢的に見るとその半分を70歳以上で使う。要はそれだけの医療費が本当に必要なのかどうか。

ヨーロッパは高齢者ケアの中心は介護であり、医療は日本に比べると財政的な比重も、出番も少ない。制度的な違いもあるが、高齢者のQOL(生活の質)を重視すると、医療よりも介護中心のケアにならざるを得ない。

 

そのコンセンサスを、日本の社会はケアマネはもちろん専門職も、そして利用者、私たち家族も持つべきだと考える。

 



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