株式会社アイビー(東京都葛飾区)Vol.3 10年後にはカフェをやっているかも!?介護業界の枠にとらわれず、自由な発想で自分たちにしかできないサービスをつくっていきたい!


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アイビーの行っている「生きがい支援事業」は、利用者の願いを叶えることで、本人の生きる喜びや意欲を引き出し支えると同時に、サービスを提供するスタッフたちにも、仕事のやりがいと楽しさを実感させている。今後この事業の利用対象を、一般にもさらに広げていきたいという真鍋さん。介護業界という枠にとどまらず、あらゆる可能性に道を開きながら「自分たちがやりたいことを形にしていく」こととは?

ひとつのケースを一人の介護職で対応する“担当制”をとらない。それは利用者だけでなく、介護スタッフへの配慮でもある

前回までに紹介したアイビーの生きがい支援事業は、利用者の生活の質を高め、喜びと深みのある人生を引き出す役目を担っているといえる。一方で、そのような利用者をサポートしていく介護スタッフにとっても、自らの仕事にルーティンワークではない、楽しみとやりがいを創りだすことにもなっている。

 

「介護職は低賃金で重労働。そのため燃え尽きて離職していく人も多い、というのが一般的な共通認識かもしれません。こうした現象があることは私も否定しませんが、制度の枠にとらわれたままだから、事業を展開するうえでの発想が行き詰まると思います。訪問介護に携わるスタッフにしても、同じ作業を繰り返すだけの毎日だと精神的にも疲弊しがち。それが原因で離職したのでは、せっかくのスキルと経験がもったいない。その点、わが社の生きがい支援事業は、介護スタッフの介護技術のほかに、特技や創造性を発揮できる場としても機能していると思います」(真鍋さん)

 

同社では生きがい支援事業だけでなく、訪問介護事業においても、あえて“担当制”を設けていない。ひとつのケースを一人で抱えるのではなく、社長の真鍋さんを含めたスタッフ全員でアイディアを持ち寄り、それぞれの成長を支えあいながら利用者に関わっていくのだ。

 

「こうしたシステムを採用したのは、スタッフのためだけではありません。利用者さんにとっても、いろんな介護スタッフとふれあうことで、社会における多様なコミュニケーション力が育まれていくと考えたからです。特に知的障害をもつ若い利用者さんの場合、ご両親は自らの死後に施設暮らしとなるお子さんの行く末を案じておられるもの。今のうちから一人でも外出できたり、働きに行くことができるよう長期的な社会経験をさせてやりたい、と思うのが親心というものでしょう。そういったときに、複数のスタッフが関わりながら、楽しめるプランを一緒に考えサポートしていくサービスは非常に効果的だと思います」(真鍋さん)

※生きがい支援事業の写真を手に、事業所の今、将来と話は広がる

 

一朝一夕では変わらない法律や制度。まずは自分たちに今できること・やりたいことを失敗を恐れず行動に移したい

「わが社のネーミングは、アイビーというツタ植物の名前からとりました。観葉植物として人気があるアイビーは、乾燥や湿気にも強く、環境に適応しながらどんどん育っていきます。こんなふうにうちも時代の変化とともに自由自在に在り方を変え、生き残っていける会社にしていきたい」と真鍋さん。

 

そういう意味では、介護報酬改定や制度改正などで、介護職や訪問介護分野に良かれ悪しかれ変化があったとしても、一喜一憂することはないという。介護業界と要介護者の生活をより良くしていくためにも、時代の流れに合う形に介護保険制度などを改正していくことは大切である。

 

が、それは政治家や行政を含めた国家プロジェクトであり一朝一夕には変わらない。「ならば思うように評価されない報酬改定について嘆くのでなく、一事業者としてより良い事業を提供して利益も上げていくために今できること・やりたいアクションを起こしていったほうが話は早いし、生産性も高い」と、真鍋さんは考える。

 

「世の中を見渡すと、いわゆる“成功している人”は、リスクに怯むことなく『コレだ!』『やりたい!』と思ったことを行動に移しています。私自身、やりたいことがあるのに、失敗を恐れてやらずに後悔したくないタイプ。

経営者としてスタッフの生活を守る責任がありますが、簡単に守りに入りたくもないんです。介護業界という枠にとどまらず、未知の可能性にも大きく開いていたい。もしかすると10年後にはいろんな人が集えるカフェをやっているかもしれません(笑)。

それくらい自由な発想で、保守的な傾向の強い介護業界で自分たちにしかできないサービスをつくり提供していきたいと考えています」(真鍋さん)

※事業所ではたくさんのアイビーが育てられている

 

自分で仕事をつくり出したい、という思いで入社。先輩たちに相談しやすい、風通しのいい会社の雰囲気もありがたい!

独自の発想力と行動力で、生きがい支援事業を軌道に乗せてきた真鍋さんたち。彼らの在り方に共感して、アイビーに入社してくる社員もいる。

入社2年目の佐藤洋一さん(23歳)は、真鍋さんが通った専門学校の後輩で介護実習も同社で受けた。当初は多くの同期生と同じように特別養護老人ホームなどへの就職を考えていたが、アイビーで実習した際に「与えられる介護の仕事をするだけでなく、自分も楽しめる仕事をつくりだしたい」と実感したという。そうした志で仕事に取り組んでいることもあり、努力や能力が給与に評価されるアイビーでは、佐藤さんの月給は一般的な介護職より1.5倍増しで支給しているという。

 

「入社してからの1年は、介護職としての知識と技術などを覚えていくことだけで精一杯でした(苦笑)。今、ようやく生きがい支援の始め方を学びはじめたところです。訪問介護の利用者さんとのコミュニケーションを通じてニーズを掘り起こし、生きがい支援へとつなげていく流れについて、どのように企画してプランニングしていくか教えてもらっています。

 

現在は競馬が好きな男性利用者さんと一緒に競馬に出かけるという計画を練っているところです。また、アイビーでは、一人の利用者に対して、社長を含め、すべてのスタッフが関わっていきますから、特に新人の私はいつも助けられています。わからないこと、悩みなども先輩たちに気軽に相談できる、風通しのいい社内の雰囲気がとてもありがたいです!」(佐藤さん)

※生きがい支援事業のプランについて楽しそうに語ってくれた 入社2年目の佐藤さん

 

今回の取材先:株式会社アイビー(東京都葛飾区)

 

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