柏市の取り組みを追うVol.1 柏北部地域包括支援センター 地域の課題に向きあいネットワークを広げていく


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柏北部地域包括支援センター設立の経緯は?

現在の千葉・柏たなか病院の前身である田中農協病院が平成12年介護保険創設の際に在宅介護支援センターをはじめデイサービス、訪問介護、デイケア、訪問看護等の事業をスタートしたことに端を発します。平成18年に法改正にて地域包括支援センタ―の設置が義務づけられ、柏市より現法人「社会福祉法人葵会」に委託をうけ柏北部地域包括支援センターの開設につながりました。

 

シニア男性の孤立を予防しています

現在でも、前身の在宅介護支援センターの頃からの取り組みを継続していることが多く、できるだけ地域に根ざした活動をして行ける様、心がけています。

 

その中でも、男性の地域参加を促す活動には力を入れています。男性は仕事を辞めた後に、地域参加することに戸惑いを見せる方が多いのです。企業戦士として働いてきた方に、急に地域のサロンに出席しましょうとお誘いしてもなかなか参加につながりません。

 

当センターでは、平成22年に男性の方でも集まりやすい男性のみの場所として男性交流会「柏葉メンズクラブ」を立ち上げました。年に4?5回の交流会はコアメンバーが企画運営するようになり、私たちから独立した組織へと成長しました。柏市では一、二を争う規模で、毎年恒例の花見に60名ほど集まります。そのほかソムリエさんをお呼びしてワインのテイスティングやそば打ちに挑戦したり、本格的カレーづくりではナンを焼いたり、千葉大の植物園や医療連携センターの見学会など、様々な企画に広がりをみせています。

 

「柏葉メンズクラブ」は地域の多くの男性の方々がいきいきと活動する場となりましたが、やはりそんな中でも奥様を亡くされおひとりで生活されている方の中には閉じこもりがちになり、うつ傾向となりやがて廃用症候群となり介護をご利用になるパターンが少なくありません。「柏葉メンズクラブ」のような躍動的は会に参加するには抵抗があります。

 

そこで立ち上げたのが男性のおひとり様の方の会「男一会」です。とりあえずゆったりとお食事でもしながらお話しましょうとお誘いし、最初は三人からはじめました。昨年は年間4回開催し徐々にメンバーも増えてきています。

 

地域の介護従事者と共に介護ロスに対する取り組みを始めます

日々の活動の中で見えてきた地域の課題にその都度向き合い解決に向けての支援策を検討してきました。介護者支援では介護者交流会を開催し介護者同士で悩みや相談、介護方法などを共有する場とし男性介護者のみの集まりと合同の会と会を重ねております。

 

今年度はあらたな取り組みとして「介護ロス」のサポートを検討中です。

 

介護をされているときには、毎日の様に医師や看護師やケアマネージャーやサービス事業者がかわるがわる出入りし、相談したりご支援をうけたり一緒に携わっていきますが、その方がお亡くなりになったと同時にまるで波がひくように退散していってしまいます。レンタルしていたベッドや車椅子も引き取られ、残るのは大きな喪失感です。

 

すこしでも悼みをわかちあえればそして少しずつご自身の生活を取り戻していただきたい・・そんな想いが募って開催にむけて準備しています。身近な地域でのグリーフケアって大切だと思います。

まずは顔を合わせて、多職種が繋がることが大切

地域包括支援センターには、多職種との連携を深め地域のネットワークを広げていく役割があります。そしてケアマネさんや介護サービス事業者さんは地域包括ケアシステムを支える大切な役割を担っています。

 

そこで、例えばケアマネジメントの質を向上させるための勉強会を二ヶ月に一度開催しています。地域のケアマネージャーさんに事例を出していただき、スーパービジョンを実施、テーブルを取っ払い、椅子を並べて肩寄せ合ってサービス事業者さん等にも参加いただき毎回20?30人の方が参加されています。訪問リハの観点、福祉用具の観点、デイサービスの観点、一つの事例をとってみても、色々な関わり方ができることを、ケアマネジメントに反映できることを再確認し、多職種があつまり地域一丸となってより良い介護をめざすよう頑張っています。

 

また、ケアマネの方には、ケアマネ協議会に入ってもらうことを勧めています。加入すると、協議会が窓口となってウェブサイトやメールなどを発信し様々な介護の情報を得ることができます。

柏市にはサービス事業者協議会というのがありますが、訪問介護や通所介護などの単体のサービス独自の団体はありません。これからは、職能団体として事業者同士横の連携を強めて、切磋琢磨してサービスの質を底上げしていければいいと思います。

 

住民の意識の高さが、地域力に繋がる

今年度の介護保険法改正の柱の1つに「地域包括システムの構築」が掲げられています。

柏市では全国にさきがけて「地域医療連携センター」という在宅医療の拠点を作り、柏市と医師会と東大が協力し地域包括システムを進めております。

 

市民の皆様に「住み慣れた家に居ながらにして適切な医療を受けられる」仕組みを周知して行く必要があり地域全体で作り上げていかなくてはなりません。

支えるご家族のかたにも医療・介護に関する情報そして地域にある資源やネットワークをお繋ぎして行く必要があります。包括支援センターもその一助となるべく活動しております。

 

医療連携センターでは病院の医療連携室、地域のサロン、自治会や老人会などにも在宅医療の説明に出向いています。市民向けに「我が家」という情報誌を年間3回、出版しています。その媒体のすごいところは、第4号から柏市の皆様の寄付金によって成り立っているところです。市民の方の意識が高さは、その地域のケアの質も向上へと反映します。そのような好循環を作ることができたらいつまでも地域でいきいきと暮らしてくことができる社会が実現できると思います。

 

【柏市の特徴 柏市のウェブサイトより】

参考:柏市について

千葉県の北西部に位置する柏市は、下総台地を中心として市街地や里山を形成する都心のベッドタウン。また、つくばエクスプレス等鉄道3路線が通るとともに、手賀沼などの自然環境、手賀の丘公園やあけぼの山農業公園などの緑にも恵まれ、都会の街並みと自然の豊かさが調和。

柏市では人口減少がすでに進む全国と異なり,人口は平成37年(2025年)に41万9千人まで増加し,その後は徐々に減少することが見込まれています。しかし,本市の高齢者数は平成62年(2050年)まで増加していき,高齢化率は上昇し,平成37年(2025年)には27.0%,平成62年(2050年)には33.1%になると予測されます。

柏市の高齢者数は平成28年には10万人を超える見込みですが,以後の増加率は逓増の状態が続きます。しかし,高齢者人口の内訳をみると,前期高齢者(65歳以上74歳以下)の割合は減り,後期高齢者(75歳以上)の割合は増え,平成32年にその割合が逆転して要介護者が急増してくることが予測されます。

●人口 410,495人 (平成27年5月1日現在)

 

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