東日本大震災から考える介護施設の防災対策Vol.1


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東日本大震災では多くの介護施設に被害が

2011年3月11日に発生した東日本大震災では、死者約16000人、行方不明者約3000人に及びました。日本だけでなく世界にとって忘れる事ができない出来事となりました。

 

東日本大震災の特徴は、地震、津波、原子力発電施設の事故などが複合的に重なって被害が拡大したと分析できます。被害を受けた関係者や施設には病院や介護施設も含まれます。

 

厚生労働省老健局のレポートによると、「介護保険施設等も甚大な被害を受け、全壊・半壊した施設が52 カ所、入所者・職員等の死亡者、行方不明者、けがをした者も多数となっている。」と発表がありました。

 

特に介護保険施設や小規模なサービス事業所には、自力で避難することが困難な方々が多くいらっしゃいます。介護事業者にとって万が一の防災対策は人命を守るためにとても必要なことになっています。

 

東日本大震災を受けてその後の分析をしたレポートに厚労省の老人保健事業推進費等補助金による「被災時から復興期における高齢者への段階的支援とその体制のあり方の調査研究事業報告書」(富士通総研担当)※があります。

 

今回はその報告書からポイントをおさらいしてみましょう。

 

※「被災時から復興期における高齢者への段階的支援とその体制のあり方の調査研究事業」http://www.fujitsu.com/jp/group/fri/report/elderly-health/2011support.html

 

災害発生時だけではないケアが必要な時期とは

報告書によると災害発生から3日目までをステージⅠ、4日目から3週間以内をステージⅡ、4週間以降をステージⅢと位置づけています。

 

ステージⅠの災害発生時には、災害からの退避、救命救急等の緊急対応が中心となり、救急処置をしながらも、医療や介護サービスの継続提供のための状況・状態把握が必要になると想定されます。

 

ステージⅡはダメージを受けた状態から日常生活に極力戻そうとする時期とされ、在宅生活での再建や仮設住宅の設置・移住などが始まり、介護事業者においてはサービスの質・量を充実させていく期間とされています。また、ステージⅡでは様々なものを失ってしまった社会的弱者の存在が顕在化すると指摘されています。

 

ステージⅢでは更に日常に戻していく時期として、地域ぐるみで支援体制の構築、仮設住宅からの退去(自宅への帰宅など)が求められ、介護事業者においてはサービスを安定的に供給し、質をさらに向上させる対応が求められるとしています。

 

在宅にいる自立した高齢者こそ孤立する

報告書では災害時に退避が必要な高齢者を3つに分けています。

①施設の要介護高齢者、②在宅の要介護高齢者、③在宅の虚弱・自立の高齢者です。

 

施設入居やサービス事業所を利用中の高齢者は介護事業者に状態を把握されているため、東日本大震災でも早い段階で安否確認がとれ、支援が継続されたと報告されています。

 

在宅の要介護高齢者は、介護事業者にあらかじめ存在は把握されています。東日本大震災でも施設利用者よりは時間がかかり、心身状態が悪化する高齢者が報告されていますが、数日かかりながらも安否が確認されていました。

 

一番安否が確認しにくいのは、在宅で自立している高齢者でした。普段は介護保険サービスを利用していないため、介護事業者にはその存在を把握されていません。家族や近所づきあいが頼りとなりますが、それがない場合には見落とされる可能性が指摘されています。

 

事業所でできること、地域で行なうことを明確に

特にステージⅠに対応するためには人的な量を速やかに確保する必要があります。

 

しかしながら、東日本大震災では県自体の機能保持が困難となり、現場には混乱が生じました。災害時に初めて直面する課題が多かったことも指摘されています。日ごろから出来ていないことは災害時に行うことは困難です。

 

まずは地域で高齢者を支える体制を作る中で防災対策についても連携を構築していくことが重要となっていくのかもしれません。

 

ひとつの事業所で行なえる災害対策には限界があります。自施設でできる取り組みと地域を作る過程で連携していくことをしっかりと分けて認識することが災害を最小限に抑える取り組みに必要となっていくのかもしれません。

 

次回は施設での具体的な取り組みについてレポートします。

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