訪問介護事業 成長のカギ・サービス提供責任者に求められる能力Vol.3

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想像力と発想力に対する評価

ヘルパーの方々は、利用者ひとりひとりの環境や背景、能力や嗜好によりケアの方法が異なることを、業務を通して学んでいます。

サービス提供責任者には更に、利用者の意思を汲みとり、あらゆる可能性を考える想像力、新しい方法を提案できる発想力を持つことが次の展開を作るポイントになります。事例をあげてみましょう。

 

利用者Aさんの掛け布団が古くなったので買い替えることにした、とケアマネから報告がありました。買い替える布団にAさんは関心がなく、どんな布団でもいいと言っているようです。

報告を受けたサービス提供責任者は、Aさんの起床介助の際に布団がベッドから落ちていることが多い、とヘルパーから以前言われていたことを思い出しAさんのもとへ出向きました。布団が落ちているということは今までの布団が重いために夜中に剥いでしまっているのかもしれないという想像と、買い物に関心がないというAさんに状況の変化を感じたからです。

 

訪問した際、Aさんのベッドをみて掛布団のサイズが合っていないことに気づきました。掛布団が大きすぎるためベッドから落ちてしまっていたのです。

更に、最近好きなテレビ番組が終わってしまいやる気が出ず何に対しても関心がわかないという心境も訊きました。

 

サービス提供責任者はケアマネと娘さんに連絡をとり、後日Aさんと娘さんはサイズの合った掛布団を一緒に買いに行くことになりました。サービス提供責任者は、そのあとに訪問したヘルパーから、Aさんが「別の好きなテレビ番組を娘に教えてもらった」と嬉しそうに話していたと報告を受けたのでした。

 

このケースでサービス提供責任者がヘルパーに、これまでと同じような布団を買ってくるよう指示を出していてもAさんは特に自覚的な不満は感じていなかったかもしれません。

しかしヘルパーの報告から様々なことを想像し、提案することでAさんの心身の安らぎは増えたことでしょう。

 

様々な可能性を考え提案ができるサービス提供責任者は利用者の生活の質を上げていきます。モニタリングで利用者のもとへ出向く際には介護計画書に載っていること以外にも、エアコンの風量や日当たり、食べ物の好みのブランドといったような利用者の生活が豊かになるよう事柄にも目を向け知り、よりよいプランを提案できるようになることが利用者の満足にもつながっていくと考えられます。

サービス提供責任者のそのような気づきに対して、きちんと評価をできる事業経営者であることが、モチベーションを下げないポイントになるでしょう。

 

介護職員の質を高める役割

サービス提供責任者は事業所内のヘルパー全員とのコミュニケーションが不可欠です。ヘルパーが長く働き成長をし続けていくためには、リーダーであるサービス提供責任者の力量が大きくかかわっているのです。

 

サービス提供責任者と訪問介護員の間で業務上やり取りするものには、仕事の割り振り、援助方法の指示、利用者の状況に関する情報伝達など、コミュニケーションが円滑でないと利用者へのケアの質に影響がでてきます。

ヘルパーの能力を観察し希望を訊き、出来るだけそれに応じた仕事を割り振り、より具体的でわかりやすい援助方法の指示を出すことが望まれています。ヘルパーが安心して業務に取り組むことができると、離職率が低下して、ベテランのヘルパーが増えてケアの質も安定していきます。

また、ヘルパーが業務をしていく中で感じている、苦手なこと、心配ごと、不安などをサービス提供責任者に逐一伝えられるよう風通しのいい関係を築くことも職員育成へと繋がります。

 

利用者のもとへ送るヘルパーの力量で利用者への介護が変わらないようにするためにはどうしたら良いのでしょうか。

訪問介護計画書を作るだけでなく、わかりやすい業務指示書や手順書を用意したり、時には研修会で事例を検討することで、質を高めることができます。

例えば「ご飯をやわらかめに炊く」と計画書に書かれていた場合でも、利用者がどのくらいのやわらかさが好みか、担当ヘルパーがどのくらいの米をやわらかめと認識しているかにより炊き方が変わってきます。

 

この場合は文書で示すより研修会を開き、実際にヘルパーと一緒にご飯を炊いて食し、「やわらかめ」「ふつう」「かため」「おかゆ」といった様々な認識を共通化していくことが大変有効でしょう。またこのような研修会や交流会は日ごろ単独でサービス提供するスタッフの悩みや不安を解消する機会にもなります。

 

最後に サービス提供責任者を育てる

サービス提供責任者の仕事はとてもハードで多忙です。ヘルパー業に追われ、なかなか本来のマネジメント業務に時間をさけないかもしれません。

居宅介護事業で日常生活を支えているヘルパーは最前線を支えていると言っても過言ではありません。

そのヘルパーのリーダーであるサービス提供責任者が、持っている能力を存分に発揮するためには周りのサポートがあってこそといえるでしょう。

 

経営者がマネジメント業務に特化したら、劇的に経営効率が上がったという事例をよく聞きます。マネジメントは非常に重要な業務なのです。サービス提供責任者を育てるのは職員全体のマネジメントに対する理解と、支えによるところが大きいでしょう。

 

マネジメント能力の高いサービス提供責任者は、リスクを早めに見つけて解決に導き、ヘルパーの質を高め、他職種への情報提供を行いながら信頼を深めていく、いわば訪問介護事業所の営業・管理マネジャーです。職員全員がサービス提供責任者の重要性を理解することが最初の一歩かもしれません。

 

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