大きく変わる「社会のしくみ」と「社会保障制度」 vol.3


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利用者・地域ニーズを把握するために。他産業に学びたい経営のヒント

医療・介護業界は、規制・制度で守られ(価格保証等)、ビジネスとしての経営感覚は、他産業と比較してまだまだであるのが現状です。これまではお客様・地域ニーズ(患者・利用者・家族・地域住民の暮らし)を把握しきれず、どちらかというと制度に目を向けて経営してきました。他産業では考えられないような経営体質の事業所もいまだに多く、そこが課題ともいえるでしょう。

 

現状・・制度優先!地域住民の暮らしをあまり意識していない傾向が・・

アセスメントできていない以下の例をご覧ください。

 

1.住まいのこと

最近、私が危惧している「住まいの確保と住まい方」です。特にサービス付き高齢者向け住宅等では月額10~18万円の入居費(家賃・食費・管理費)が大半です。しかし中重度者は医療費・介護費の一部負担及び自費分を加え4~8万円で月額(総額)14~26万円の負担になっています。行き場のない人たちですから無理して家族が工面している訳ですが、総額8~15万円以下というのが、多くの場合の地域ニーズです。

これに関しては、入院・入居者(病院・老健施設)からのニーズではなく、経営者側の勝手な解釈によるものであることが問題です。

2.介護のこと

介護保険制度では、利用者等の心身機能・生活実態をアセスメントして介護計画(以下プラン)が立てられ、プランに基づく介護サービスの提供が求められています。しかし、「プランがなくサービスが提供されている」「プランとサービスがつながらない(途切れている)」のが実態です。

 

これからは・・役割分担と責任を明確に!

患者・利用者・家族・地域のニーズに応えるための医療・介護・福祉サービスを実現するためには、下記のようなポイントが重要です。

 

■経営者は?

1.現場や地域を把握する(アセスメントする)

2.2025年に向けた中・長期的なビジョンを示す(現場や地域に向けて)

3.職務基準の作成・実践と職務権限を移譲できるか

 

■幹部は?

1.今回報酬改定を検証し、次期2018年医療・介護の同時改定への対策を描く!

2.地域をマネージメントする(軍師官兵衛役:地域の調整役)

 

■事業所管理者(エリア長)は?

1.周辺地域(日常生活圏域)のニーズを把握し、地域連携(事業所・住民・行政・包括・社協等)を積極的に進める。(現場の業務を主任・リーダー等に任せる:権限移譲)

2.法令の遵守に基づく運営

 

■主任・リーダーは?

1.患者・利用者・家族そして現場(医療・介護・自宅)をアセスメントし、適切な支援計画(原案)を立てる。

2.法令の遵守に基づく支援

 

■一般職員は?

1.患者・利用者・家族をアセスメントし、適切な個別サービス計画を立て、サービスを提供する。(プランなし・見ないでサービスを提供しない)

2.法令の遵守に基づくサービス

 

以上のように、「役割分担と責任」を明確にすることが、利用者や家族・地域ニーズを把握し、それに応えるサービスを考えることにつながります。

 

次回は、地域において365日24時間切れ目のない医療・介護等サービスを提供するにあたっての、地域連携・協働・統合に向けた取り組みを考えていきましょう。

 



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