訪問介護事業 成長のカギ・サービス提供責任者に求められる能力Vol.1

投稿日: 更新日:

 

生活こそがリハビリであるという視点

利用者の目標に向かい最適なケアを実施するうえで、サービス提供責任者は心と身体、両面のバランスを考えた視点が必要になってきます。身体の病気や介助の知識ももちろん大事ですが、日常生活を営む利用者の精神状態を把握し、利用者や家族からの訴えに耳を傾けることで、本当に必要なケアが見えてくるでしょう。

 

あるとき歩行のリハビリを進めていた利用者に、「歩けたからといって何の意味があるのだろう、行くところも会いたい人もいないのに…」と言われてしまったヘルパーがいました。どんなにリハビリテーションやトレーニングに意味があっても、ついた筋力や能力が利用者自身の日常生活や人生と結びついていなければ、生きていくうえでそれは不要なものになってしまいかねません。

 

ICF(国際生活機能分類)(参照http://www.geocities.jp/zizi_yama60/base/ICF.html)の考え方を理解し、リハビリを日常生活に置き換える方法を提案、実践することで利用者の自立支援が成立していくと考えましょう。

介護の勉強会では、デイサービスにおいて「腕が上がらない」と言ってラジオ体操をしない利用者が、家ではヘルパーと洗濯物をするときに腕を上げ洗濯物を干しているといったケースなどが報告されています。生活こそがリハビリであり、生活行為に勝るリハビリはないでしょう。

 

例えば、下肢筋力が低下し家に引きこもりがちの利用者の買い物を訪問介護員が代行する、といったサービスは、要求には応えられているかもしれませんが、解決すべき課題にはアプローチできていないと考えます。この場合、利用者とヘルパーが一緒に買い物に行き、下肢筋力の維持向上や社会との接点を図るなどすることで心身の支援になり生活機能が底上げされていくという視点を持ちましょう。

 

多方面から自立を支援する視野の広さ

ひとつ障害者のケースをご紹介します。

ある重度の身体障害を持つ男性が「着替えは自分一人で出来るのだけど30分以上かかってしまう。サービス管理責任者(障害者分野でのサ責)の方は残存能力維持のため出来ることは自分で、といってヘルパーは着脱の介助には入ってくれません。でも僕は早く仕事に行きたいのです」と訴えていたという事例があります。これは高齢者ケアに置き換えても起こりうる問題と考えられます。

 

この場合、「身体的自立」ばかりが着目されてしまい自己決定の行使としての「精神的自立」や仕事場に遅れることで影響が起こるかもしれない「社会的自立」「経済的自立」の視点が欠けていたと思われます。利用者の生活に寄り添い介護計画を作成するサービス提供責任者には、利用者を様々な角度からみてニーズの本質を探る視野の広さが必要です。

日々のケアから気づいたポイントをケアマネや他職種に報告、相談をすることで、チームとしての連携がとれてきます。他の職種からの信頼が厚くなれば、様々なケースに対して相談がくるようになるでしょう。

 

利用者自らが意欲的に実行できる方法で最適なケア方針を常に考える。そのような動きがサービス提供責任者に求められています。

 

-

執筆者:

関連記事

no image

地域づくりで一歩先を行く武蔵野市 総合事業担当者の吉田さんにインタビュー 総合事業の介護への影響とは?

在宅医療を支える新しい製品開発とは?日本のイノベーションを支えるNEDOの取り組み 重度者・認知症者に関しては介護保険で、介護事業者が中心となる方向性が強化されていきますが、調理、買い物、掃除などの生 …

no image

介護にまつわる身近なテーマをもとに集い、自由な対話を楽しむ―未来をつくるKaigoカフェVol.1

目次1 私たち介護職がもっと自分らしくいきいきと働くために2 カフェは、勉強会や研修会ではなく自由な対話形式で進めていくのが特長3 肩書や役職を外して語り合うことで生まれる情報発信力やチーム力4 コミ …

no image

共に学び、共に歩む在宅医療カレッジ〜未来を変えるために今出来ることを〜ー1

月一回のペースで開催している医療法人社団悠翔会の佐々木淳先生が主催する「在宅医療カレッジ」。住み馴れた地域や我が家で最期まで暮らすためにはどうしたいいのか、職種を超えて学んでいます。今回は先月日経ホー …

no image

介護の専門性とは何か?

目次1 本人の想いを尊重することが支援の基本では?2 自分のものさしで測ってはいけない、支援する相手の選択肢を狭める結果に3 生活をみていくには多面的な関わりが求められ、多くのスキルが必要4 現場で一 …

no image

利益よりも夢ー夢のみずうみ村の取り組み

目次1 人生の現役養成道場2 ネーミングの妙と工夫3 制度の矛盾をどう克服するか 人生の現役養成道場 「夢のみずうみ村 新樹苑」には、連休明けの5月晴れの日に訪れた。静かな住宅街の世田谷・八幡山の一角 …