2018年ダブル改定を見据えて『介護事業者が準備しておくこと』


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 今回は4月から全ての保険者で開始となった地域支援事業を中心に、来年度に差し迫ったダブル改定を見据えて介護事業者が準備しておくべきことをお伝えしたいと思います。

日本が抱える問題

 日本は現在3つの大きな問題を抱えています。1つ目は社会保障費の増大。2つ目は人口減少問題。3つ目は地域ニーズの増大です。

 1つ目の社会保障費の増大についてですが、社会保障費は大きく分ければ年金・医療費・介護費になります。年金・医療費・介護費は主に高齢者に使われるものです。2025年に向かって75歳以上の人口が増加するなかでこの社会保障費が増大していく形になります。というのも75歳以上になるとそれまでに比べて介護費では10倍、医療費では2?3倍増える傾向になっております。2017年度においては社会保障費は120兆円ぐらいですが、団塊の世代が全て75歳以上となる2025年には150兆円ぐらいになるという試算がされております。

 2つ目の人口減少問題ですがこれはピーク時には1億3,000万人近くいた日本の人口が、2060年には8,500万まで減少するという問題です。50年間で4,500万人前後の人口が減少する試算となっております。この問題でのポイントは4,500万人という人口が減ることが1つですが、もう1つはその4,500万人のうち3,500万人が生産人口と言われる15歳?64歳以下の人口が減少するという問題です。3,500万人もの生産人口が減少すれば当然、税収入が減る形となります。社会保障費が増大していく中で、社会保険料収入は減っていく流れとなります。

 3つ目の地域ニーズの増大ですが、人口が横ばいで75歳以上人口が急増する大都市部が出てくる一方で75歳以上人口の増加は緩やかだけれども人口は減少する町村部など、高齢化の進展状況には大きな地域差がある問題です。それ以外にも若年者人口が増加する場所や産業が集中していることによって働き手が集まらない地域なども出てくることとなり、国としては画一的な施策が打てない状況となっております。

介護業界の今後の流れ

 介護業界においては、先の3つの問題が密接に関係し今後の流れとなっていきます。社会保障費は無限にあるものではなく、当然有限です。しかし、それが年々上昇していく傾向となっており、さらには人口が減少して社会保険料収入が減少すれば制度自体の継続が難しくなります。

 現状はそれが明確に見えているため、社会保障制度については、社会保障の機能の充実と給付の重点化及び制度の運営の効率化とを同時に行い、税金や社会保険料を納付する者の立場に立って、負担の増大を抑制しつつ、持続可能な制度を実現するというテーマが掲げられております。裏を返せば、現状の制度はすでに持続可能ではないということになります。

 大本がこの状況ですから介護業界にも当然影響を及ぼすこととなり、次期介護保険改定でも主題となっているテーマの1つが『介護保険制度の持続可能性の確保』ということになっております。支出が増えて収入が減ることがわかっていれば当然抑制をするしかありません。

 次期改定においてもう一つ主題となっているものが『地域包括ケアシステムの推進』となっています。これは前述した地域ニーズの増大に対する施策となります。地域包括システムは端的に言ってしまえば、社会保障費の給付抑制システムです。病院や施設に長期滞在されるよりも社会保障費の支出が少なくて済む「在宅」を基点としたシステムであり、保険者である市町村が地域の自主性や主体性に基づき、地域の特性に応じて作り上げていく必要があります。国の施策としては非常に合理的なシステムではありますが、これを進めていかなければならい保険者としてはどこから手を打っていいのかがわからなく戸惑っている状態となっております。だから、皆さんも実感しているように「地域包括ケアシステム」はあまり進んでいません。しかし、それでは当然困りますので強制的に進めていく手立てを取ります。その一つが地域支援事業の開始です。

 下記資料の視点の中に「大きなリスクは共助・小さなリスクは自助」というものがありますが、大きなリスクとは要介護3以上のことを指し、共助とは介護保険や医療保険を指します。小さなリスクとは軽度者のことでいわゆる要介護2以下です。自助とは自分で自分のことをすることやサービスを買うことを指します。地域支援事業はこの軽度者の方のサービスを引き受ける受け皿の役割があります。増大する給付費を効果的に使っていくためには、重度者に重点配分する以上、他の部分では抑制を敷く体制を整えなければいけないからです。

地域支援事業について

 地域支援事業については4月より全保険者にて実施される運びとなりました。介護事業者さんにとって影響があるのは生活援助型訪問サービスや短時間型通所サービスなど、いわゆる基準緩和型とされる事業について踏み込むかどうかということになります。現行相当型については、基本点数は今までと変わらない保険者がほとんどですが、基準緩和型は保険者での点数がバラバラですし、保険者による研修受講が必須な地域もあれば、社内教育だけで良いといった形で形態にバラつきがあります。

 経営層からすれば単価が下がった分、かける人件費も下げられると判断できれば良いですが実際にはそんなに上手くいく話かと問われると難しい部分があるかと思います。

 4月から開始される地域支援事業で影響を受けるのは訪問介護と通所介護だけとなっておりますが、昨年末に麻生財務相と塩崎厚生労働相が折衝した中では2021年度に向けて、要介護2以下など相対的に状態の軽い高齢者への給付を縮小する構想を、引き続き俎上に載せていくことが確認されておりますし、市町村が運営する「地域支援事業」に移すサービスを増やす案を改めて協議するという話がでております。

 前述したように給付抑制を図るなかにおいては軽度者のサービスを地域支援事業に移していく必要性があります。事業者さんとすればこの事業を短絡的な視点でみるのではなく長期的な視点で見ることが求められます。

 下記の資料のようにいずれ地域支援事業の領域が広がっていくことを考えなければいけません。当然現実的に考えれば今の体制からの脱却を図り、いち早く次の体制を構築する必要があります。

改定に向け準備しておくこととは

 現在出ている改定の方向性は、当初議論よりは小幅な改定と言えそうですが軽度者はいずれ地域支援事業への移行をされる公算が強いです。訪問介護の生活援助については介護保険に残りますが、人員基準の緩和をすると明言されておりますので単価が大幅に下がることを予想し今から対策を立てておく必要性があります。人員基準の緩和ということは順当に考えれば無資格者での提供です。これは地域支援事業の基準緩和型とあまり変わらないですよね。これらを考えて現在の生活援助の売上が10%~20%下がる試算をしておき、今から対策を練る必要があります。

 また、デイサービスにおいては居場所だけのデイは削減対象となる公算が大きいので、こちらも今のうちから機能訓練を行う方向性にシフトしていくなどの必要性があります。

 上記の記載内容は準備し備えておくことは非常に重要ですが、これからを考えれば改定は3年に1回やってくることを考えれば、前述しているような日本の状況、社会保障制度の状況を踏まえた上での長期的な視点に立っての戦略が必須となります。戦略を考える上で大切なことが3つあります。(1)利用者獲得(2)スタッフ採用(3)スタッフ教育です。すでに実践している事業者さんからすれば当たり前の話となりますが、これらをどのように仕組みづくっていくかが今後のポイントとなります。

 利用者獲得は要介護者・軽度者という枠を飛び越え、自立者を狙っていく必要があると思っております。もちろん急にそんな一足飛び的なことは出来ないという話になる事業者さんも多いと思います。大切なことは自社の経営資源と地域の実情を鑑みて考えることです。地域支援事業や保険外ビジネスという言葉に捉われるのではなく、高齢者がお金を払ってでも必要と思えるサービスを供給していくことが大切です。それを行っていくためには地域の実情やそこに住む高齢者のニーズ把握をすることが重要となりますし、それを行っていこうと思うとスタッフを教育することは非常に重要となってきます。

 保険制度下の事業を行っていく中で情報の取得は大切ですし、情報を早く仕入れて戦略、戦術に組み込んでいくことが大切ですが(1)利用者獲得(2)スタッフ採用(3)スタッフ教育が出来ている事業者さんは少々のことがあっても困りません。改定に備えながら組織体制の強化を行っていただければと思います。



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