平成29年度介護報酬改定における処遇改善加算の改定率アップについて


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今回は第135回社会保障審議会介護給付費分科会資料から今年の4月から処遇改善加算の改定率がアップする件について、新たに加わったキャリアパス要件IIIや加算率の比較をした内容をお伝えしたいと思います。

改定における背景

平成29年4月から新たに処遇改善加算の加算率が大幅にアップ致します。過去の例であれば平成30年4月の介護保険改定と合わせて行うことが普通と考えられますが、今回はそれよりも時期が早まっての実施となっております。

これは昨年8月に政府が閣議決定した『未来への投資を実現する経済対策』において、一億総活躍社会の実現の加速における取組で「子育て・介護の環境整備」というテーマが掲げられており、2020年代初頭までに50万人分の受け皿(施設・住宅等)を前倒しして整備し、介護離職ゼロを目指すために、介護サービスを提供するための人材の確保に向けて処遇改善を実現すると方針が盛り込まれておりました。

具体的には、介護保険制度の下で、介護人材の処遇については、キャリアアップの仕組みを構築し、下記資料でも記載されているように他の対人サービス産業と比較して、年収が10万程度低いことから月額平均1万円相当の改善を平成29年度(2017年度)から実施するとされておりました。

改定における論点

今回の介護人材の処遇改善を実施するに当たって論点となった1つめはキャリアアップの仕組みなどの制度設計についてどのように考えるかということ。2つめは介護職員処遇改善加算の在り方についてどのように考えるかということで、こちらは、現行制度においては、加算の算定額は、介護職員の賃金改善に充てなければならないこととなっておりますが、(1)対象となる職員について、介護職員だけではなく、当該事業者に雇用される他の職種の職員に拡大すること(2)対象となる費用について、賃金だけではなく、職場の環境整備や職員の質の向上に資する費用に拡大することについて、どのように考えるか。ということについて検討されたそうです。

事業所を運営している経営者の方々は、1つめの論点よりも2つめの(1)、(2)の行方が気になる所だと思います。処遇改善加算において介護職員の処遇は確かに年々上がってきておりますが、ケアマネさんなどは対象外となっておりますので一部では年収の逆転現象が起こっているところがあったりします。また、環境整備や研修費用などにこの処遇改善が使えればと思っている方々は私以外にも多数いるのではないかと思っております。

しかし、残念ながら今回の改定においては取扱いを維持するということでこちらの(1)と(2)については先送りされてしまいました。ただ、論点には乗っているのでもしかしたら近い将来、これらの内容が認められる日がくるかもしれませんね。

キャリアパス要件IIIの内容について

今回新たに創設された「キャリアパス要件III」ですが、内容は「経験若しくは資格等に応じて昇給する仕組み又は一定の基準に基づき定期に昇給を判定する仕組み」を設けることということになっております。

新設するキャリアパス要件に関する取組の例としては下記の資料のように3つの方法があります。

(1)「経験に応じて昇給する仕組み」

「勤続年数」、「経験年数」などに応じて昇給する仕組み。

(2)「資格等に応じて昇給する仕組み」

「介護福祉士」、「実務者研修修了者」などの取得に応じて昇給する仕組みを。ただし、介護福祉士資格を有して当該事業所や法人で就業する者についても昇給が図られる仕組みであることを要する。

(3)「一定の基準に基づき定期に昇給を判定する仕組み」

「実技試験」、「人事評価」などの結果に基づき昇給する仕組み。ただし、客観的な評価基準や昇給条件が明文化されていることを要する。

昇給のピッチ幅については法人さん毎に決める事が可能となっておりますので必ずしも資料通りの幅で対応する必要はありません。注意しなければいけないのは(2)と(3)のただし書き以降の部分です。介護福祉士資格を有して当該事業所や法人で就業する者についても昇給が図られる仕組みということは介護福祉士の資格以外にも法人の仕組みとして上級の資格を用意する必要がでてきます。(3)の客観的な評価基準や昇給条件が明文化されていることも、現段階で用意することはなかなか大変であるのではないかと思います。そう考えると(1)の要件で昇給する仕組みを整えることが順当かもしれませんね。

加算率について

今回の加算率について、一番大きな影響を受けるのが訪問介護で加算率が8.6%→13.7%と5.1%も上昇しております。介護療養型医療施設の上昇率は0.6%とやや他に比べると低い形となっておりますが、その他のサービス種別においては1.2%以上の上昇となっておりますので取得する事業者さんとそうでない事業者さんにおいての給与差がかなり開くことが予想されます。

処遇改善加算については冒頭でもお伝えしたように政府の肝煎り案件となっており、事業者さんには加算取得をしてもらいたい意向があります。4月から改定されるため、事業者さんとしては「キャリアパス要件III」の制度設計がまだ出来ていないところは早めに準備しておくことをお勧めします。

本来はキャリアパスですから時間をかけて検討する必要があると思いますが、今回は要件が出来上がってないと計画書としては認めてもらえません。一旦、介護スタッフさんに不利益にならない形で制度設計をしておき、提出後ゆっくりと腰を据えてそこに肉付けをしていくような形で作っていくことも良いかもしれません。

加算要件を満たし、加算を取ることは大事ですが、制度改正に振り回されずに自社の人材育成に役立つようなキャリアパスプランを形成することが一番大切にして頂ければと思います。



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