浮かびあがった2018年度からの第七期介護保険改正の課題


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昨年12月初頭に、介護保険部会で2018年度改正に関する取りまとめに向けた意見書が明らかにされた。そのなかでも地域包括ケアの推進と深化は大きなテーマとして挙げられている。これに関して筆者は、昨年11月に開かれたシンポジウムをもとに課題を整理した。

地域包括ケアの推進をどう加速させるか?

課題が山積する中で、2018年度からの第七期介護保険制度改正の論議が、厚生労働省社会保障審議会介護保険部会で本格化しつつある。筆者が副会長を務めるNPO福祉フォーラムジャパン主催による「どうなるどうする介護保険改正」をテーマにしたシンポジウムを11月5日、東京で厚生労働省の竹林悟史・介護保険課長を招いて開催、次期制度改正の論点を議論した。改正の柱となる課題がほぼ明らかとなったが、今回もまた、抜本改革にはほど遠い改正にとどまる可能性も強い。国まかせにせず事業者、関連専門職、さらに住民も加わり、地域での議論を深めていきたい。課題は次のようなものとなるだろう。

2015年度から本格的に始まった地域包括ケアの推進は当然、次期改正の柱となるが、それをどう加速させるのか。要支援者への訪問介護やデイサービスでの住民主体のサービスや生活支援サービスの推進、医療・介護の連携などの点で、その進捗度合いは地域、市町村において明らかに格差が出つつある。

地域格差をどう埋めるかと、ケアマネジメントのあり方見直しが柱に

竹林課長は、保険者である市町村自らが他市町村と比べてどう異なるのか、地域格差を埋めていく必要性を強調。多角的な分析を進めていくための指標も厚生労働省として作りつつあるとした。

その一つとして、モデルとすべき自治体を紹介。すべての高齢者を対象にした圏域ニーズ調査を実施し、地域ケア会議などを通じて個別の高齢者の状況に応じたきめ細かい対策を講じ、自立支援に大きな効果を挙げている埼玉県和光市や大分県の取り組みを挙げた。

埼玉県和光市の取り組みはすでに周知のものであるが、大分県がその和光モデルを参考に市町村支援を積極的に取り組み、成果を挙げつつある。これは都道府県としては画期的である。保険者である市町村が地域包括ケアの構築に四苦八苦しているのに比べ、都道府県は国と市町村の間にはさまれた「中二階」のような存在ともいわれ、そういわれても無理からぬものがあった。しかし大分県は、リハ職の派遣や地域ケア会議の支援、専門職員研修など、そのレッテルを返上させるような支援を展開。要介護認定率の引き下げ、保険料の抑制など目覚ましい成果を挙げるに至っている。

さらにもう一つ、改正の柱となるのはケアマネ、ケアマネジメントのあり方の見直しである。

日本の介護保険制度の特徴の一つは、介護保険サービスを提供するうえで、ケアプラン作りを担うケアマネ(介護支援専門員)を中心に据えたことだ。ただ、スタート時から特定の介護事業者に属するケアマネが、利用者にとって最も適切なケアプランを作れるのか、という議論があり、介護保険が始まってからも、ケアマネジメントの公正・中立性の確保は大きな課題として残された。

2006年に新設された「特定事業者集中減算」は、利用者へのケアプランが特定の事業者に集中することがないように、特定の事業者への集中が80%を超えた場合に介護報酬を減算するという仕組みだった。しかし、制度が始まってから10年後の2016年3月、会計検査院から「ケアマネジメントの公正・中立性を確保するという本来の目的から見て、有効な施策とは考えられない」として制度を見直すよう指摘された。

この指摘を受けて、「集中減算」制度をどう見直すのか。

さらに入退院時、医療機関とケアマネとの連携が十分に取られていない点は厚生労働省調査(2015年度介護報酬改定の効果検証及び調査研究に関わる調査)でも明らかにされている。ケアマネジメントの利用者負担、さらにさまざまな支援策も介護保険給付部会で議論されてきた。

具体策はこれから詰められるが、ケアマネジメントの中立性の確保、それを進めるケアマネへの支援策も次期改正の柱となる。

介護職員の人材確保における多方面からのアプローチも課題

介護職員の人材確保もさらに進めていかねばならない課題である。

2020年に向けて、利用者がとりあえず12万人増えるのに対応するための基盤整備として約5万人分の介護人材の確保が必要だ。さらに20万人~25万人の介護人材の確保を目標として掲げる。潜在的な人材の呼び戻し、新規参入の促進と離職防止・定着の促進を図ろうと再就職準備金の貸付や介護福祉士の養成校に通う学生への奨学金制度などの政策を2015年度から実施してきたが、慢性的な人材確保を解消するためには、思い切った待遇の改善が必要である。

人材確保のための新たな取り組みとして、三重県の老人保健施設協会が取り組む「元気高齢者を介護助手に」として導入する取り組みをモデルに、介護助手制度導入を検討しつつあるという。

そのために、消費税の引き上げ等による財源の確保は、どうしても必要であろう。

以上のように次期改正には、一挙に解決できない難問もあるが、高齢化の加速する中でなんとか解決策を見出したい。そのためには現場の実態に即したきめ細かい議論をそれぞれの地域で積み上げ、利用者、地域住民の理解を得ることが重要であると強調したい。

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