療養病床のあり方などでの医・介連携 2018年医療・介護ダブル改定を読むー6


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今年国会審議が予定される介護保険法の見直しでは、介護療養病床のあり方が焦点の一つとなります。また、先の介護保険部会の取りまとめ意見では、特養ホームの外からの医療サービスの必要性も掲げられました(両論併記あり)。こうした改革は、介護側の対医療連携にどのような影響を与えるのでしょうか。

介護療養病床の新たな新類型について整理

まず、介護療養病床のあり方について、専門の検討部会で示された方向性を整理します。周知のとおり、介護療養病床は平成29年度末で廃止に向けた経過措置の期限が訪れます。その介護療養病床機能の維持・確保を目的として、今回、新たな受け皿が提案されました。

具体的には、新たな施設類型として示されたものが2つ。その他に、居住スペースと医療機関を併設させたスタイル(医療外付け型)について、従来の有料老人ホーム等の特例として要件緩和等を行なうことが想定されています。設置根拠については、前者が介護保険法となるのに対し、後者のうち居住スペースは介護保険法と老人福祉法、医療機関は医療法という位置づけが示されています。

検討会で示された床面積基準については、前者が現行の老健に相当する8.0平方メートル、後者が現行の有料ホームにおける1室あたり13平方メートル以上となっています。そのうえで、前者の新施設類型は想定される主な利用者像によってI・IIと分かれます。Iは現行の機能強化型療養病床に相当(重篤な身体疾患を有する者および身体合併症を有する認知症高齢者等)し、IIはIよりも容態が比較的安定した人が対象となります。人員配置もIは現行の療養病床相当、IIは老健相当以上となっています。

新類型が予想以上に増設された場合の懸念

さて、新たな施設類型等については、経過措置期限が訪れる介護療養病床からの転換が最優先されるのは間違いありません。注意したいのは、医療療養病床や一般病床、さらには完全な新設も3?6年程度の参入制約を設けつつ認めるという意見も出ていることです。

こうしたビジョンについては、新施設類型I・IIが介護保険法に基づくものという点で、介護保険財政を圧迫するという懸念が出されています。また、医療外付け型については「過剰な医療の提供を招く」という危惧も示されました。加えて、医療・介護連携という視点では、「医療による患者の囲い込み」が進んでしまうのではという点も懸念材料となります。

たとえば、居宅介護サービスを使いながら生活していた人が急性期で入院した後、上記のような新施設類型の流れに取り込まれれば、入院前の担当ケアマネなどとのつながりが途切れるわけです。転換・新設に向けた制度上のさじ加減にもよりますが、長い目で見れば医療側の対介護連携のモチベーションを低下させ、介護側も対医療連携の道筋が狭くなるという状況を生み出さないとも限りません。

特養ホームでの外からの医療をどう見るか

この点を考えたとき、地域医療・連携にかかる会議や合同研修会などの場を通じ、地域の医療機関が今回の介護療養病床のあり方について、どのようなビジョンを描いているのかを確認しておくことが必要です。また、介護給付費分科会での具体的な報酬・基準にかかる議論においても、「利用者が新施設類型などに入所・入居した場合の医療・介護の情報連携のしくみはどうなるのか」といった点に注意を払っておくことも求められるでしょう。

さて、介護保険部会の取りまとめでもう一つ注目したいのが、特養ホームに「医療系サービスが外から入るしくみ」が提案されていることです。これについては、指揮系統の混乱や過剰な医療提供をもたらすという視点での反対意見も併記されていますが、給付費分科会の議論の流れによっては「条件付きで認める」という可能性もゼロではありません。

ここでも、やはり介護現場における対医療連携のノウハウを深めることが、さまざまな弊害を食い止めるうえで必須となります。と同時に、診療報酬の議論をつかさどる中医協側の議論にも目を凝らすことが重要になるでしょう。では、さまざまな連携課題に向けて、中医協の議論はどうなっているのか。次回は、そのあたりを掘り下げることにします。



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