厚生労働省が示す介護保険制度の見直しに関する意見(案)についてー2


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今回は社会保障審議会介護保険部会が、2016年の2月以降16 回にわたって審議を重ねてきた介護保険制度の見直しに関する意見(案)が2016年12月9日に取りまとめられましたのでその内容を、「地域包括ケアシステムの深化・推進」と「介護保険制度の持続可能性の確保」というテーマに沿って2回に渡ってお伝えしたいと思います。

地域包括ケアシステムの深化・推進のための基盤整備等

地域包括ケアシステムの深化・推進のための基盤整備等としては、(1)地域共生社会の実現の推進、(2)介護人材の確保、(3)サービス供給への保険者の関与、(4)安心して暮らすための環境の整備という4つのテーマで見直しの意見が出されました。

地域共生社会の実現とは、元々、高齢者、障がい者、子どもといった対象者ごとにサービスのカテゴリーを作っていましたが、ニーズが多様化してきていることや、高齢化の中で人口減少が進行し、地域の実情に応じた体制整備や人材確保も課題となっていることから、障害福祉サービス事業所が介護保険事業所の指定を受けやすくするための見直しを行うことなどの検討をしていくということです。

介護人材の確保とは来年度から処遇改善加算で1万円アップすることや再就職準備金貸付制度、外国人技能実習制度に介護職が追加されることなどもありますが、それに加えて介護ロボットやICT化、センサーを活用している事業所に対して、介護報酬や人員・設備基準の見直し等を行うべきとされております。

これは介護ロボットなどの導入をすれば介護報酬に対しての加算や人員基準の緩和があり得るということです。具体的な内容はこれからとなりますが、限られた人材を有効に使うことにおいてはこのように基準緩和や加算を用いてくれることは事業所さんとしてもロボットやICTなどの導入をしやすくなるでしょうね。

サービス供給への保険者の関与とは、地域密着デイの指定をしないことができる仕組みを導入することがあげられております。2016年4月から地域密着デイへの移行が始まりましたが、点数が高いことや事業所数が多いこと、そして何より小規模多機能の普及を妨げる観点からこのお話がでております。これが導入されてしまうと今後は簡単には地域密着デイができなくなることとなります。さらにデイサービスにおいては財務省からは軽度者の地域支援事業への移行や単なる利用者の居場所づくりとなっているものについては減算措置をすべきとの厳しい意見もでております。

介護保険制度の持続可能性の確保

介護保険制度の持続可能性の確保という点については、社会保障給付費と密接に関係しており、そもそも医療・介護保険費用はこの社会保障給付費から賄われております。社会保障制度自体が持続の可能性を危ぶまれておりますから、当然介護保険も同じことが言われます。「地域包括ケアシステムの深化・推進」が長い目で見るところの給付抑制のお話でいわば長期戦略にあたる部分となり、一方で「介護保険制度の持続可能性の確保」は限りある財源のなかで直近どのような選択をしていくかということで即効性のある戦略となります。

その中であげられておりますのが、利用者負担のあり方と給付のあり方になります。

利用者負担のあり方については負担能力に応じた負担となるように見直しを行うという方向について意見の一致がなされ、現役並みの所得者の負担を3割、高額介護サービス費の負担上限額についても一般区分の負担上限額を3万7,200円から4万4,400円に引き上げることについて容認の方向ということになりました。

当初言われていたような要介護度別に利用者負担に違いを設けることなどについても議論はされたそうですが賛否両方の意見があったそうです。

給付のあり方

軽度者への支援のあり方については、当初、訪問介護における生活援助を地域支援事業へ移行する話が出ておりましたが、まずは介護予防訪問介護と介護予防通所介護の総合事業への移行や「多様な主体」による「多様なサービス」の展開を着実に進め、事業の把握・検証を行った上で、その状況を踏まえて検討を行うことが適当であるとして、先送りされる形となりました。

これに関して、今回は体制が整っていないので一旦先送りという形に落ち着きましたが、手放しで喜んでいいわけではなく先送りされたがいずれ移行されるという風に念頭に置いて事業を行う必要性はあります。

また、報酬についての議論はこれからとなりますので単位の下げ幅が2015年改訂時の5%程度に収まればよいですが、それ以上下げられる可能性がないわけではないので今後も動向を気にしておく必要はありますね。

福祉用具についても当初、軽度者は全額自己負担へという話も出ておりましたが、国が商品ごとに当該商品の貸与価格を把握し、それを公表する仕組みを創設することや貸与時に利用者に複数商品の提示をすることを義務づけること、貸与価格に一定の上限を設けるべきとするというような形となりました。

利用者負担のあり方と給付のあり方については、事業者さんに大変大きな影響を及ぼす部分となります。給付のあり方についての印象としては当初財務省が掲げられていた内容よりもかなりトーンダウンした感じで落ち着いたと思われます。

今回の内容は社会保障審議会として次期改定における全体的な大きな方向性を打ち出しということで、介護報酬や指定基準の具体的な見直しについては今後、介護給付費分科会で議論されていくこととなります。

今回は厚生労働省が出した介護保険制度の見直しに関する意見ということで、2回にわたりお伝えをさせていただきました。これらの内容を掴んでおくことは非常に大切ですが、同時に大切なのは財務省が出している内容もきちんと把握しておくべきということです。情報がいろいろと飛び交うなかで、先を予測できる情報を仕入れて事業戦略の組み立てを行っていただければと思います。

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