人材確保のための実践的アドバイス―その15 離職防止・定着促進に向けた具体策

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辞めない人材採用のために必要なこととして、職場体験を通じて仕事内容を理解してもらうことが大事だが、さらに大切なのは離職防止・定着促進に向けた対策である。職員の満足度を高め、働きがいが感じられる職場づくりを考えたい。

職場体験によって雇用側と求職者をマッチング

前回に引き続き、辞めない人材を採用するという意味で、可能であれば、介護事業所にぜひ行っていただきたいことがあります。

それは「職場体験」です。早期離職を防ぐためには、十分効果的だと私は思っています。話だけではわからない部分を、現場を見てもらい、実際に体験していただくことによって、わかるケースが多々あると思います。

岐阜県内のとある法人では、正規・非正規問わず、新規に人材を採用する場合、本人が就職を希望する事業所で、ご本人の合意の上で2日間、ボランティアという形で職場体験の機会を提供しているといいます。

こういった職場体験を通じ、求職者は、就職する事業所の業務をひと通り経験し、希望する仕事が自分の考えているような内容かどうかを、あらためて確認する。一方受け入れる側は、ともに働く仲間としての視点で確認。そして、双方とも合意に至れば正式な採用になる、とのことです。

いったん入職となれば、受け入れる側もさまざまな手続きや準備をしなければなりません。早期離職にならないよう、可能な限りミスマッチを防いでいこうとする意識の表れといえる試みではないでしょうか。

2日間が難しければ、もちろん1日でも構いません。あくまでボランティアという位置づけなので、無理のない範囲で行っていただくことが重要だと思います。

従業者の職務に対する「満足」「不満足」とは?

前回の記事では、「辞めない人材」を採用することが大切であり、離職率の高騰を食い止めることこそが人材確保の近道である、と書かせていただきました。しかしながら、採用活動ばかり頑張っていても、同じようなペースで、もしくは入職以上のペースで離職されてしまっては、元も子もありません。「辞めない人材」を採用することはもちろん重要なのですが、いよいよここからは、離職防止・定着促進に向けた具体策についてご紹介していきたいと思います。

離職防止マネジメントを行うのであれば、従業者の「満足」とは何か、「不満足」とは何か、ということについて、一度しっかりと考えてみる必要があると思います。

皆さんご存知かもしれませんが、「満足」「不満足」について極めて重要、かつ有名な理論があるので確認してみましょう。

米国の臨床心理学者であるフレデリック・ハーズバーグは、人間の職務に対する満足度は、「満足」に関わる要因と「不満足」に関わる要因がそれぞれ別に存在すると主張しています。「満足」に関わる要因を「動機づけ要因」、「不満足」に関わる要因を「衛生要因」と呼んでいます。(ハーズバーグの2要因理論)

彼の理論に従えば、「給与」「福利厚生」「作業環境」などの「不満足」に関わる「衛生要因」は、不足すると職務不満が高まり、離職につながってしまいますが、充足させたからといって、充足に比例して満足感につながる訳ではないと言っております。

逆に、「上司や仲間からの承認」「自分のやりたい仕事内容」「責任ある立場や仕事」「達成感」「自らの成長」などの「動機づけ要因」は欠如していても、不満につながる訳ではないが、満たせば満たすほど、満足度は上がっていくことになり、上限がないともいわれています。

したがって、私が思うに、「衛生要因」については、業界平均レベルか、可能であればもうちょっとだけ上を目ざしていただき、「動機づけ要因」については、可能な限り満たすように心がけていただきたいと思います。しつこいようですが、「衛生要因」は不満につながるリスクが十分にあるので、業界平均レベルを守る、という視点は常に持っていてください。

「働きがい」において重要な達成感と承認

また、ある講演を聞いた際に非常に興味深く、「なるほど!」と思った「働きがい」の定義があります。その文言があるので、ここでご紹介させていただければと存じます。

「働きがいとは」

変化・・・マンネリ化していない。

学習・・・仕事を通じて学びがある。

自律・・・自分で判断できる。

協働・・・仲間と一緒に働ける。

貢献・・・社会、地域に貢献している。

成長・・・仕事を通して成長できる。

「働きがい」に関して、さらに付け加えたいのは「達成感」と「承認」と「期待理論」です。

まず、「達成感」についてですが、しっかりと目標を決め、特定の期間にその目標を達成したときの「充実感」は、何かをやり遂げた経験のある人ならば、ご理解いただけると思います。このあたりは「目標管理制度」などを効果的に活用されるとよいのではないでしょうか。

一つだけ注意点を申し上げれば、目標は「ストレッチ目標」といって、努力すれば実現可能というレベルにしていただきたいと思います。

簡単に達成できる目標では、まったく面白味に欠けてしまうし、そのような目標に「達成感」を感じないと思います。

かといって、難しすぎる目標では、そもそも「達成」ができないし、「達成」の現実味が感じられなければ、頑張る気も萎えてしまうと思います。

こういったことを考慮しながら、絶妙なレベルの「ストレッチ目標」を意識して決めるようにしてみてください。

また、「目標」はぜひ、数値化していだきたいと思います。数値化することによって、より具体的に目標を把握することができます。

次回のコラムでは、「承認」と「期待理論」について触れていきたいと思います。

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