株式会社若武者ケア(横浜市港南区) Vol.2 一般企業でいえば専門職と総合職。キャリアパスの両輪を創る


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訪問介護・看護における深刻な人材供給不足、サービスの属人化による品質のバラツキ、介護における医療・看護および生活支援に関する知識不足。若武者ケアの代表取締役社長・佐藤雅樹さんは、訪問介護業界の現在の問題点をこう指摘する。解決の道をひと言でいえば「急がばまわれ」。Vol.1で見た新卒採用への取り組みは、その大きな布石となっている。

2014年から准看護師資格取得支援制度をスタート。介護と看護のシームレスなサービス提供を目ざして

昨年、佐藤さんは人材育成に向けて新たな制度を導入した。今後、継続的に2~4人ずつ介護職員を准看護師の養成校に通学させるというものだ。

いうまでもなく、学費は全額会社負担。本人の希望と適性、勤務態度に加えて選抜試験も実施するが、仕事もしながらの通学だから、なによりもやる気がものを言う。准看護士取得後、訪問看護師として経験を積んでもらい、数年したら、さらに正看護師取得のために夜間に通ってもらう。この費用も会社が負担する。

 

また、今のところは1名だけだが、PT(理学療法士)の資格取得制度も始めている。「PTの修業年限は4年と長いのが辛いところですが、夜間になるので、勤務に支障はきたしません」と、佐藤さん。

 

介護職としての経験を積みながら、並行して医療知識や技術を身につける。実は、ここには2つのねらいがある。

 

一つは、3年計画で介護と看護のシームレスなサービス提供を実現するというもの。そのために、資格取得支援制度にとどまらず、看護師資格保有者の中途採用を積極的に実施。昨年度の3人採用を皮切りにリハ職も含め、今年度は10人を見込んでいる。3年後には、制度利用者も含めて17人の看護師及びリハ職を確保するという。そのなかにあって、介護と医療双方の知識や技術を持つ社員の存在は、ともすれば会議やミーティングに終わりがちな「連携」を、より実体のあるものにしていくといえそうだ。

 

もう一つが、キャリアパスの構築と優秀な人材の確保である。

「そのためには企業自身が努力しなければならない。もちろんコストもかかりますが、優秀であればあるほど、入社後のステップアップや将来の可能性が見えなければ、長くは続きません。当然のことで、今までの一般の企業が当たり前にやってきたことをきちんと実践しているだけですよ」(佐藤さん)。

 

訪問介護が連携するリハビリデイをスタート。生活支援に向けた専門職の活躍の場を広げる

設立9期の始まりである今年、若武者ケアは新規事業として、「理学療法士による短時間制リハビリデイサービス 港南の樹」をスタートした。午前と午後にそれぞれ3時間、PTによるリハビリテーションを行うというもので、PTのほか、看護師、生活相談員、リハビリテーションスタッフを配置する。今後は、現在12ある訪問介護事業所のすべてに併設していく方針だ。

 

「食事や入浴といった介護はやりません。トイレや入浴の練習、口腔機能の向上、個別機能訓練など、利用者が少しでも長く在宅で暮らしたり、日常生活の向上に向けてお手伝いするのが目的です」と、佐藤さんは説明する。

 

そこで欠かせないのが訪問介護スタッフとの情報の共有だ。「具体的には、個々の利用者について、介護スタッフから必要なリハビリテーションの提案や相談を受けると同時に、デイスタッフが介護スタッフに在宅でのリハビリ支援や留意事項を伝え、利用者の生活状況の変化などをチェックするなど、デイと訪問介護の双方向で生活支援をしていくことになります」(佐藤さん)。

 

つまり、ここでも医療と介護のシームレスな連携を創造しつつ、PT、看護師、介護職といったスペシャリストが活躍する道を広げることになる。介護職としてより専門性を深めたい社員には、認定介護福祉士や主任ケアマネジャーといったキャリアパスが用意されているのは、言うまでもない。

 

人材育成面から見れば、リハビリデイの開設は、介護職として入社した未経験の社員が、専門職としての将来の姿をイメージしながら方向を定めていく手がかりともなるはずだ。

大きな樹が描かれた「港南の樹」入り口

 

新規事業と事業所の立ち上げを担う醍醐味。成功へと導く体験が、経営幹部の資質を育てていく

ところで、この「港南の樹」の立ち上げから携わり、オープン後のマネジメントを一手に引き受けているのが、Vol. 1で紹介した細谷和樹さんだ。サービス提供責任者を経て、訪問介護事業の管理者へとステップアップしてきた、その経験と実績をベースに、もう一歩上のステージへと飛躍したといってよいだろう。

 

「管理者になって学んだのは、一人一人のスタッフに何ができるか、向いているか、モチベーションはどうかなど、『ひと』を見ることの重要性ですね。何か壁にぶつかっているようならいち早く察知して相談に乗ることも必要です。自分のスキルを高めるより以上に、人間的な成長が大切だと痛感させられました」と、細谷さん。

 

「港南の樹」の場合、PTや看護師といった専門職をまとめていくことになるから、ひとのマネジメント力はさらに求められることになるが、細谷さんに不安はない。

「もちろん、最低限の医療知識や問題意識は必要ですが、専門職の方を尊重すればこそ、わからないことは率直にわからないと言って教えてもらえばいい。一緒に考えて一緒に勉強していくことで信頼関係は築けると考えています」

 

細谷さんにとって重要なのは、自らの成長よりも、この新規事業を軌道に乗せることにある。

「今後、事業所ごとにリハビリデイを展開していくための先駆けとして、なんとしても成功させたい。訪問介護とデイサービスの制度的な違いも含めて戸惑うことも多いし、勉強することもいっぱいですが、充実しています」

 

一般企業でいえば、「介護職」というより、むしろ総合職。未経験の介護スタッフ採用から始まった若武者ケアの人事制度は、企業経営に欠かせない専門職と総合職という車の両輪が機能し始めている。

歓談スペースの奥にリハビリ機器が並ぶ「港南の樹」

 

今回の取材先:株式会社若武者ケア(横浜市江南区)

 

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