採用面接時の盲点~反社会的勢力と一線を引くには


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前回に続いて、職員採用関連の注意点を解説します。日本全国、現場はどこも人手不足ですが、勿論頭数さえ足りれば誰でもいい訳ではありません。最近、特養の施設長からこんな相談事例がありました。

若いヘルパーを雇ったら素行不良で周囲を怖がらせている件

半年前、ある若い男性を厨房の栄養士として雇用したのですが、3か月前に業務外で飲酒運転をして免許停止となる事件が起きました。そのときは施設の状況が特に人員不足であったため、辞めさせる訳にもいかず顛末書を提出させて、一応事を収めました。

彼は、普段から素行不良で言葉遣いも悪く、上司に注意されると「俺が何したっていうんだよ!」等とため口ですごんでくる始末です。厨房に入ってきた新人には命令をして威張ってばかりいて、自分は何もしないともっぱらの噂です。

また、飲酒運転の事件後、車での通勤ができないために、彼の「仲間」が迎えに来ていたことがあります。黒塗りの、いかにもといった大型の乗用車がお客様専用駐車場の真ん中に駐車して、他の車の出入りの邪魔になっていました。職員が社用車で帰社した際、「やっとすり抜け駐車したあと歩いてその車のそばを通り抜けようとしたら、ドライバーに凄い形相で睨まれ、怖い思いをした」と報告もありました。

この者は、履歴書を見ただけでは分かりませんでしたが、このような悪い仲間と付き合っていることは法人にとってマイナスイメージにしかならず、早急に辞めてもらいたいと考えています。例えばいわゆる「反社会的勢力」に該当するとして解雇するようなことは可能でしょうか。

反社会的勢力への対策を採用時にも

……いかがでしょうか。「反社会的勢力」という言葉をはじめて見た方も多いかもしれません。これは、いわゆる暴力団等を想定していますが、政府の指針によれば「暴力、威力と詐欺的手法を駆使して経済的利益を追求する集団又は個人」と定義されています(2007年「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針」より)。

こうした勢力と繋がりを持ってはいけないということで、コンプライアンスの観点から反社会的勢力排除条項を対外的取引の契約書等に盛り込む(これを「反社条項」と略称します)ことが、上場企業をはじめとして当然の慣行となりました。

しかし、今回の相談のように、不思議と雇用の場面については盲点となっているようです。読者の皆様の職場ではいかがですか? もしかすると、ご利用者の側の方がその疑いが強い、というケースもあるかもしれませんね。

反社会的勢力には一応定義はありますが、具体的にその人が当てはまるか否かは判断が難しいところです。いかにもヤクザのような恰好や言動をしていたとしても、自分から「どこそこの組の者だ」等と名乗らない限り、反社と断定することは困難と思われます。従って本ケースでも、反社だからという理由で解雇することはまず不可能と考えた方が良いでしょう。具体的に金品等を要求されたことが無く、この程度で軽々に決めつけてしまうと、名誉棄損等と言われ、思わぬところで反撃されることになりかねません。

採用の場面についていえば、まず事業所としてすべきことは就業規則の見直しです。就業規則は職場の秩序を保つ憲法であり、最後の拠り所となるルールブックですので、本来あらゆるトラブルを想定して規定すべきものなのです。例えば「反社会的勢力、またはこれとみなされる組織と関わりを持たないこと」を服務規定等に定め、また入職時の誓約書等に追記すると良いでしょう。

あるいは身だしなみの中で、タトゥー、入れ墨を明確に禁じているかも併せ確認しておきましょう。実際にあったケースで、面接時は長袖なので見えなかったが、採用後ご利用者と接するときに腕に入れ墨があることが発覚し、現場が騒然としたということもありました。面接時には、「タトゥーや入れ墨はありませんか?」という質問をするようにします。

この機会に反社につき各種規定を整備することとし、今回は勤務態度不良、指示命令違反といったスタンダードな方法で普通解雇に向けペナルティを積み重ねていくのが無難と思われます。その具体的方法は次回に解説します。

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