有給休暇付与の条件と運用のポイントについて~その2~


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前回は、有給休暇の付与条件や正しい運用の仕方についてお伝えした。基本的な知識を確認したところで、今回はそのポイントや注意点等について述べてみたい。

時間単位の付与など、ニーズに合わせた制度で取得率・定着率のアップを

有給休暇は、本来心身の健康を保ちいきいきと仕事に邁進できるよう、体を休め、ストレスを軽減させるためのものである。したがって、職員が好きなときに取ることができるのが原則だ。しかし、慢性的に人手が足りない事業所では、施設の都合で希望どおりの日には取得できず、取ること自体をやんわりと断られることも珍しくない。

だが、子育て中の主婦が多く活躍している介護業界では、家庭の事情に合わせて休めるかどうかはその定着率にも影響してくる問題なので、希望日に有休を取りやすくするための工夫が必要だ。そこで、原則として1日単位である有休取得を、時間単位や半日単位で取れるようにしてみるのもいいだろう。家族の通院の付添いや学校行事に参加するため、「せめて数時間でも休めれば」というニーズは案外多いので、それを制度として導入すれば、取得率のアップだけでなく、休みを取ることへの遠慮も軽減されるのではないだろうか。

「半日付与」の場合、ルールを決めてトラブルを回避する

有休を時間単位で付与するには、時間単位有休を取得できる職員の範囲、その日数、1日の時間数などを定めた労使協定を締結する必要がある(時間単位の付与は年に5日まで)。

「時間単位では管理が大変」という場合には、半日での付与にしてもよい。「半日単位での付与については、年次有給休暇の取得促進にも資するものと考えられることから、労働者がその取得を希望して時季を指定し、これに使用者が同意した場合であって、本来の取得方法による休暇取得の阻害とならない範囲で適切に運用される限りにおいて、問題がないものとして、取り扱うものとする」(平成7年7月27日基監発第33号)という通達も出ており、適切に管理・運用がなされるのであれば有意な制度だと思う。

この場合、労使協定は不要だが、「半日」の決め方によっては不公平感が募る(昼休憩をはさんだ午前と午後では、午後のほうが取得できる時間が長いなど)こともあるので、職員とよく話し合って基準を決め就業規則等に明文化しておけば、トラブルを防ぐことができるだろう。

退職時にたまった有休をまとめて取得する場合は注意が必要

このように、いかに有給休暇を取りやすくするかは大きな課題であるが、その取得が退職時に問題となることもある。辞める直前に、たまった有休をまとめて取得する場合などがそれである。

前回お伝えしたように、有給休暇は取得しなければ2年間有効なので、人によっては最大で40日間残っていることもある。これを退職時にまとめて取るとなると、退職者本人は実際の退職日よりも1ヵ月半近く早い時期から出勤しなくなるわけで、人繰りや引継ぎに影響が出ることは容易に想像がつく。当然、退職するまでの社会保険料も支払わなくてはならず、そのことも事業所の負担になる。

しかし、そうした事情があったとしても、法的には有給休暇をとることは職員の「権利」なので、会社はそれを拒むことはできない。また、それだけ有休が残っているということは、休みも取らずに一生懸命働いてくれたということでもあり、そのことに対する労いという意味からも、頑なに取得を拒否するのはどうかとも思う。

「時季変更権があるじゃないか」という意見もあるが、退職日以降に変更する余地はないので、これも難しい。

※時季変更権=業務に支障が出る場合には、事業所が有給休暇の取得時期を変更できる権利

時効や退職により消滅する有休は、買い取りも可能

こうした場合、「事業所が有給休暇を買い取る」という方法がある。

「有休の買い取り」は、「ゆっくりと体を休めてまた仕事を頑張ってほしい」という有給休暇の趣旨に反するため原則としてやってはいけないのだが、時効や退職により消滅してしまう分については、特段禁止されてはいない(あくまでも買い取りが可能ということで、義務ではない)。買い取り金額についてもこれという決まりはなく、事業所側が自由に設定できる(ただし、高すぎても安すぎてもトラブルになるので、その値段設定は慎重に行いたいところではあるが)。

退職する職員にとっても、有休消化を待たずして次の仕事に就くことができる、退職日が早まるため、失業手当受給までの期間がその分短くなる、などのメリットがある。

それでも「買い取りはしない」というのであれば、「きちんと引き継ぎをし、所属長の確認を得た上で有休消化に入る」など、当該職員が有休消化に入った後、さらには退職した後の業務に支障が出ないようしっかりとしたルールを作るなどして、混乱が起きないようにしたい。



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