よいチームづくりの第一歩……ほめてお互いのよいところを認め合う
介護現場では「ほめ言葉」をうまく利用者さんの自立支援に結びつけている人たちが多い。一方で、職員同士になると、なかなかお互いをほめ合うことが難しくなる。それはなぜか? お互いのよいところを認め合うことで何が生まれるのか? 同僚に対しての心配りが何よりも大切だと、筆者は語る。
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利用者さんに対してはできても、職員同士でほめ合うことはなかなか難しい
ほめるって難しいですね。それが心からのものでなければ、ただの社交辞令になりかねませんし、逆に不快にさせることもあります。介護現場でも、なかなか職員同士がお互いをほめ合うという場面を見かけることはありません。
どうしたら、ほめ言葉をうまく取り入れて、職場環境がプラスの方向に向かっていけるのか? そのためには日々のちょっとした工夫と意識の変化が必要になるのかもしれません。
介護現場では、利用者の方に対して、ごく自然にほめ言葉が出てきたとしても、同僚や上司に対してはなかなか難しいと感じることが多いかもしれません。
もちろん利用者の方には満足してもらいたい、仕事上必要だから、という点もありますが、一緒に働く人間同士もお互いのよいところを認め合うことが必要ではないでしょうか?
できていないことを指摘し合うのではなく、お互いを認め合う環境づくり
連携がよいチームをつくるには、できていないところを指摘し合うのではなく、できていることを伝え、よいところを認めたうえで課題となるところをどう克服していくのか? という視点が大切です。忙しない業務に追われる日常では、ついなおざりになりやすいですが、より多くの職員がその点を意識できるかどうかで、長い目でみた関係性には大きな違いがでてきます。そして、職員の満足度、人材の定着というところにも大きく関わってくるところだと考えます。
利用者の方の満足と職員の満足は比例していることが理想ですし、双方がハッピーでなければ、本当の意味でよいケアの提供は望めません。そのためにも、お互いを認め合う、ほめ合うことが当たり前、といった環境づくりを進めていかなければなりません。
ただ、「ほめる」とひと口に言っても、無理に思ってもいないことを言うのは得策ではありません。とってつけたようなほめ言葉は逆に嫌な思いや不信感を招くこともあるからです。身近な存在であり、長年一緒に働いている者であるほど、急にそのような言葉をかけるのは困難です。だとしたら、まずは相手のしてくれたことに対して、素直に「ありがとう」と感謝の気持ちを伝えてみてはいかがでしょうか。
日本には古くから、「あうんの呼吸」とか「暗黙の了解」といった、目に見えない心のつながりを表す言葉がありますが、今の時代は一つひとつを言葉にしなければ、伝わらない時代になってしまったのかもしれません。キチンと言葉にしてまずは「ありがとう」とシンプルに伝えることから始めてみてください。
同僚に対しても、わかりやすい外見の変化などについてリアクション
そして、利用者の方が職員から「若いですね」とか「その服、似合ってますよ」と言われると嬉しいように、同僚に対しても、わかりやすい外見の変化などについて同様にリアクションしてみてはいかがでしょうか? 意外と抜け落ちている視点だと思います。
そして、「手伝ってくれて助かったよ」とか「この前、利用者の方があなたのことをほめていたよ」など行動をほめたり、他人が間接的にほめていたことを伝えたり。ちょっとしたプラスアルファの心配りを忘れないことが必要です。
利用者の方のアセスメントを取るのと同様に、一緒に働く職員についても、仕事をしながら、休憩時間や飲み会で、出身地の話題や好きなこと、こだわりについてなどもさりげなく情報収集していくことも大切です。長年働いているにも関わらず、どこの出身で今どこに住んでいるのかも知らない、ということはないでしょうか?
誰でも「気にかけてもらいたい」という気持ちは皆同じです。利用者の方にしているように、職員についてもアセスメントし、強みを引き出し合えるような関係性を時間をかけてつくっていきましょう。その積み重ねによって、よりよいケアができる環境がつくられていくのだと考えます。そしてそのような風土を率先してつくっていける人材こそが、その職場にとってなくてはならない存在になるのではないでしょうか。
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執筆者:高瀬比左子