次期改定に向けニーズに応じたサービス内容の見直しについて


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今回は平成28年8月31日行われた第62回社会保障審議会介護保険部会資料より「被保険者の範囲の在り方」と「ニーズに応じたサービス内容の見直し」についての内容を解説していきたいと思います。最近のコラムと同様に次期改定に向けた議論の1つになっている内容です。

被保険者の範囲の在り方

前回のコラム「利用者負担のあり方について」でもお伝えしましたが、介護保険費用の財政構成は公費50%、保険料50%の負担割合になっております。保険料50%の内訳は第1号被保険者(65歳以上)が22%で2兆1,000億円、第2号被保険者(40歳以上?64歳以下)が28%の2兆7,000億円となっております。前回のコラムでは「利用者負担のあり方」について次期改定の論点は2点あり、(1)65歳?74歳以下までを2割負担にするかどうか? (2)自己限度負担額を4万4,400円から引き上げるかどうか? ということでした。

今回は被保険者の範囲ということで、現在40歳?64歳以下と位置づけられている2号被保険者の年齢引き下げをして介護保険料を40歳以下からも徴収すべきかどうかの議論がされました。下記資料をご覧頂くとおわかりのように保険料負担者である40歳以上の人口は2021年をピークに減少していきます。一方で、緑の部分である65歳以上の人口は2042年まで増加を辿ります。負担者の人口は減るけど、使用者の人口が増えれば当然、負担する保険料があがりますよね。保険料負担が増えるとしてもそれで賄いきれるかといえばそうではないです。当然、介護保険制度の持続可能性の観点から考えれば、この対象範囲を広げることは必然的であるといえます。

審議会においては、対象範囲の拡大においては反対意見が続出したとのことですが、対象範囲拡大をしなくても解決できるような革新的な方法がなければ今回は見送られたとしてもそれは解決策のない延命措置ですから、いずれは着手されることとして考えておいたほうが良いでしょうね。

ニーズに応じたサービス内容の見直し

ニーズに応じたサービス内容の見直しとしては、次の4つのテーマで内容が議論されております。

(1)自立支援・重度化予防を推進する観点からのリハビリテーション機能の強化

(2)中重度者の在宅生活を支えるサービス機能の強化

(3)安心して暮らすための環境の整備

(4)「我が事・丸ごと」地域共生社会の実現

正式なテーマ内容ですと少しわかりづらいので私が勝手に意訳させていただくと次のようになりました。

(1)通所リハビリテーションとデイサービスにおける役割分担と機能強化

(2)小規模多機能、看護小規模多機能、夜間定期巡回の強化

(3)特養の更なる役割分担と有料老人ホームのあり方 選択できるような環境整備方法

(4)同一の事業所における介護保険サービス及び障害福祉サービス提供の一体化

大きなタイトルとしては『ニーズに応じたサービス内容の見直し』となっておりますが、個人的には地域包括ケアシステム推進における中核的サービスの重点化と効率化と書いていただくほうがスッキリとします。

自立支援・重度化予防を推進する観点からのリハビリテーション機能の強化

介護保険費用の増加抑制において、健康寿命を出来るだけ延命し重度化を防ぐという観点において、リハビリテーション機能の強化は重要な課題です。そんな中において、下記資料をご覧いただくとおわかりのように通所リハとデイサービスにおける役割分担があまり出来ていないという結果がでております。

審議会においては利用者の状態に応じて適切なサービスを提供していくために、それぞれのサービスがどのように役割分担と機能強化をしていくべきかという内容で議論されたそうです。方向性としてはおそらくですが、専門職の人員配置等により加算を用いる形を敷いてくるのではないかと思います。

中重度者の在宅生活を支えるサービス機能の強化

地域包括ケアシステムを進めていくなかで、国がずっと推している事業が小規模多機能や看護小規模多機能(前改定までの名称は複合型サービス)定期巡回・随時対応型訪問介護看護です。しかし、下記資料をご覧いただくとおわかりのようにこれらの事業数が他の事業と比べても事業所数が伸びていないのが現状です。利用者やケアマネへの周知や、これらを普及させていくためにどうしていくべきかが議論されております。

何回かコラムでも言及しておりますが、小多機や看多機、定期巡回は確かに利用者の視点に立った素晴らしいサービスだと思います。一方で提供する事業者にとっては、施設と異なり、一定の範囲(地域)において365日24時間対応を強いられるサービスのため、人員調整やシフトなどの負担が大きい事業となっております。小多機などは前回の改定においては利用人数の引き上げ(25人→29人)を行いましたが、それでも事業者数が増えないとなれば加算などによる収入増を検討してくるかもしれませんね。特に在宅における中重度利用者を支える観点では看多機を増やしていきたいのが本音ではないかと思います。

安心して暮らすための環境の整備

前回の改定で特養は原則要介護3以上の方の受入をすることになりました。これによって全国での特養待機者が52万人から16万人程度に減ったとされております。また、要介護3以上の受入をすることによって以前よりも重度化することが見込まれておりましたので、看取り加算も新たに創設されました。

下記資料をご覧いただくとおわかりのように特養は介護保険3施設の中においても低所得者の入居割合が最も高い施設となっております。このため特養には低所得者の終の棲家としての期待がされていることがわかります。また、平成37年度までに地域密着型も含む特養におけるユニット型の比率を全体の70%以上とする目標も掲げられております。

こちらも低価格で一定以上の居住スペースという意味では利用者のニーズに沿う環境整備となっておりますが、運営する側としては厳しい内容となりそうです。

(4)「我が事・丸ごと」地域共生社会の実現についてですが、今までは高齢者、障がい者等の対象者ごとに、専門的なサービスを提供してきましたが、一方で、対象者ごとに「縦割り」となっている現在の制度については、利用者の便宜の観点や、サービスの提供に当たる人材の確保の観点などで課題があるためこの辺を融通しようということです。

このようにニーズに応じたサービス内容の見直しについては、利用者視点での内容となりますので、利用者のニーズに沿う場合は加算対応があり、そうでなければ点数を下げられる可能性があり、事業者さんにとってはなかなか厳しい内容となりそうです。

そもそも、介護保険の持続可能性という観点から考えると『ない袖は振れない』けど長い目で見れば介護保険費用の抑制につながる必要なところには加算を用いてでも行っていく。重点化と効率化がますます色濃くなる改定になりそうです。事業者さんとすればそれを踏まえたうえでの準備を今からしておかなければなりませんね。



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