次期改定に向けた福祉用具のあり方について


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今回は平成28年7月20日行われた第60回社会保障審議会介護保険部会資料より「福祉用具」について内容を解説していきたいと思います。前回のコラム「軽度者への支援のあり方について」と同様に介護保険制度の持続可能性の確保に向けた、給付のあり方における焦点の1つになっている内容です。

福祉用具の現況

福祉用具は、要介護者等の日常生活の便宜を図るための用具及び要介護者等の機能訓練のための用具であって、利用者がその居宅において自立した日常生活を営むことができるよう助けるものについて、保険給付の対象とされています。

下記資料をご覧いただくとお分かりのように平成26年度の福祉用具貸与の費用額は約2,755億円(対前年比約7%増)となっております。また、要介護度別の給付件数を見てみると要介護2以下の方の給付件数が約6割を占めていることが見て取れます。

これは重度者が施設などに入所する割合も多く、在宅で生活している場合においては比較的単位数の余る要介護2以下の方のほうが貸与しやすい状況にあるのと、軽度者が良く使う杖や歩行器具などの割合が多いためだと思われます。

一方、特定福祉用具の購入状況を見てみると平成26年度においては年間140億2,000万円となっておりますが、平成23年度が138億円となっており4年間において1.3%程度の伸び率となっています。貸与が4年間で22%伸びているのに比べると停滞気味であることが伺えます。また、要介護別の給付数では、要介護2以下の者が約7割を占めております。貸与、購入ともに軽度者の割合が多いことが伺えます。

福祉用具の4つの課題

課題の1つ目としては価格設定があげられます。福祉用具の価格設定については、通常、製品価格のほか、計画書の作成や保守点検などの諸経費が含まれていますが、介護保険では唯一の事業者による自由裁量によって価格を決めることが出来ます。そのため、同一製品であってもかなり高額な金額で貸与等をしているケースがあるとのことです。これらの対応としては一部の自治体においては、福祉用具貸与適正化のため独自に価格を公表するなどの取組をしているところなどもあります。

課題の2つ目としては保険給付の対象となる種目の範囲があげられます。下記資料には現在の貸与及び販売における対象種目と範囲が記載されておりますが、現在議論されているものとしては「価格が比較的安価で、軽度者の利用が多く、結果的に長期間の利用となる福祉用具種目(歩行補助つえ等)」を「貸与から販売の移行」または「貸与と購入の選択制」を導入してはどうかとされています。福祉用具貸与の種目別割合は、手すり(33.18%)、特殊寝台(19.63%)が大きな割合を占めておりますが、要介護度別に見ると、歩行器や歩行補助つえは、他の種目に比べて要支援者の利用が多いこともこの議論を後押しする形となっております。

課題の3つ目としては福祉用具の適切な利用の促進があげられます。福祉用具の利用に当たっては、ケアマネがケアプランに記載するだけでなく、福祉用具専門相談員が専門的知識に基づき利用者又はその家族に助言をしながら利用開始時に適切なアセスメントを行うとともに、利用者の状態を考慮した定期的なマネジメントを適切に行い、利用すべき福祉用具が決定される必要があるとされています。

平成24年度より、福祉用具専門相談員に対し、福祉用具貸与計画の策定を義務化したり、平成27年度より、福祉用具専門相談員の指定講習カリキュラムの見直しや自己研鑽の努力義務化を行ったりしていますが更にそれらを強化していくといったところです。

課題の4つ目は利用者負担があげられます。他のサービスと同様、1割負担(一定所得以上の者は2割負担)となっていることについてどのように考えるかということです。財務省が示す、具体的な改革案においては原則自己負担(一部補助)とし、軽度者の福祉用具貸与に係る保険給付の割合を大幅に引き下げるとされております。下記資料をご覧いただくと、介護度別・種目別でかなりの偏り傾向がみられますのでこのなかでも比較的安価で軽度者の重要が高いものについては原則自己負担となりそうですね。

論点

今回の審議会においては下記資料の内容が論点として掲載されております。

このような書き方をされていると抽象的な感じであまりよくわからないですが、先ほどの記述にも少し書きましたが財務省が示す、具体的な改革案においては、下記のように明確に3つ記載されております。

(1)貸与価格の見直し

対象品目の希望小売価格等から減価償却期間等を考慮して算定した標準的な利用料を基準貸与価格として設定する。真に有効・必要な附帯サービスについては、厳格な要件の下に、貸与価格とは分けて標準的な保守管理サービス等を別途評価する枠組みを検討し、事業者間の適正な競争を促進する。また、行政や利用者にとって取引価格や製品性能等が比較可能となるよう情報開示(見える化)を進める。

(2)貸与機種のスペックの在り方の見直し

利用者の状況・ADLの維持向上の必要度等に見合った貸与品の選定を推進するため、要介護区分ごとに標準的な貸与対象品目を決定し、その範囲内で貸与品を選定する仕組みを導入する。

(3)負担のあり方の見直し

介護保険給付を中重度者に重点化する観点、民間サービス事業者の価格・サービス競争を促す観点から、原則自己負担(一部補助)とし、軽度者の福祉用具貸与に係る保険給付の割合を大幅に引き下げる。

軽度者の支援の在り方と同じで内容をかなり絞ってくることが予想できますね。販売においては29年度末には駆け込み需要がありそうですが、軽度者の貸与については非常に厳しくなりそうです。事業者さんとしては方向性を見据えてしっかりと対策をしていかないといけませんね。

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