内宮洋一郎さん(在宅歯科カレッジ 代表) 歯科医が行う多職種連携

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多職種連携が一層重要になっている現状において、介護・医療の双方の従事者の方々がどう連携していくかは常に議論されているところである。今回は訪問歯科の現場で働きながらも多職種連携を推進する歯科医の内宮先生に訪問歯科の現状と多職種連携について伺った。

食支援をキーワードに在宅歯科カレッジを設立

――先生は在宅歯科カレッジという団体を今年の6月に設立されたそうですね。

はい、もともと在宅医療カレッジという組織を運営している医師の佐々木淳先生と接点があり、「食支援に特化した在宅医療カレッジの歯科バージョンを作りたい」と佐々木先生にお話しして賛同も得られたので、私が主導して同組織を設立することになりました。決まってからは一人でFacebookの専用ページ立ち上げや設立記念講演の準備、知人経由での告知をして人を集めました。勿論今も継続して募集しております。今のところFacebookでは850名(2016年8月時点)の同志がいます。

――在宅歯科カレッジとはどのような団体でしょうか?

食支援をキーワードにした多職種が集まる組織ですね。介護の現場を見ていて、在宅・施設の食支援は医師が主体的に先導をすれば楽ですが、医師は大変多忙でそこに中々手をつけられない現実がありました。医師を含めた多職種の方々と連携することを前提として、在宅・施設の食支援分野は歯科医がやろうということで設立しました。

――在宅歯科カレッジの活動内容を教えてください。

今のところは関東を中心に活動していて、年4回の季節ごとに行う勉強会では食支援に関わる人なら誰でも集めて多職種連携について話したいと思っています。また、月1回の勉強会では歯科医師・歯科衛生士・管理栄養士・言語聴覚士限定にしています。勿論Facebook上にコミュニティがあるので、勉強会に参加しなくても皆さんがそこで活発に議論していければいいと思っています。

――在宅歯科カレッジの目指す姿は?

在宅歯科カレッジの目指す姿としては二つあって、一つ目は歯科の多職種連携支援です。患者を取り巻く人たちがどういうことに苦労しているかも察してその方たちと連携ができる歯医者をつくっていくこと。口腔ケアや義歯調整に留まらず、その先までのスキルを見据えたいと思っています。

二つ目は歯科医の訪問歯科支援です。現状の歯科業界は、外来で患者が来なくて困っている歯科医が多くいます。外に出れば困っている患者は多く存在して、訪問歯科という選択肢も検討しても良い状況もあります。でもやはりゼロから始めるのは難しいのか中々踏み出せない。そんな方々に学術的サポートや経営的サポートをしていきたいと思っています。

多職種連携の中での歯科医

――医療・介護の現場で盛んに叫ばれる多職種連携について思うことはありますか?

歯科医は今まであまり他職種と話す機会がありませんでした。私の場合はリハ科を専攻するなど専門科目の関係もあって、他分野の言葉を勉強する癖がついていたし、聞かないとやっていけない現実がありました。でも普通は中々そういった知識を身に付ける場も無いし、率直に周りに聞ける歯科医は多くない。相手の職種は何をしているか、どういうことに気をつけているか、等を理解していくと、その方が歯科に対してどう思っているか分かるので、患者さんへの治療をすすめやすくなるのにそれが出来ていない現場も少なくないんです。

訪問歯科は外来と異なり患者から口頭で得られる情報は少なく、普段どうしているかを聞かないで処置してしまいがちになります。でもスタッフに「食事の量どうしていますか?」などと聞くことで案外その情報が治療に役立ったりもする。あるいは患者と日々接しているスタッフとよく話してそのスタッフがやりやすいようにしてあげることが患者への治療につながります。

――介護関係者に知ってもらいたい訪問歯科の大切なことは何でしょうか?

要介護者はセルフケアつまり歯磨き、うがいなどがうまくできない人が多いので、口腔内環境はたいていの方がかなり悪いという事実があります。要介護者は自分でそのことを伝えられない、あるいは伝えないという人が多く、その要因は認知症・歩行困難・歯医者への恐怖感・訪問歯科そのものを知らないので主訴が少ない、などです。

「主訴が無い」つまり何も言わないからいいでしょ、ということになっていますが誰かが口腔内の環境不良を見つけてくれないと歯科まで依頼が来ません。悪いままの状態が続き、口腔内環境不良が続くと肺炎になりやすく栄養不良にもなります。

要介護者の口腔内はとにかく劣悪で口内環境が悪いから誤嚥性肺炎、噛めないから咀嚼不良で栄養不良になり基礎疾患が悪化するなどがあります。

――介護事業所の管理者・経営者へメッセージをお願いします。

まずは要介護者の口の中を見ていただければと思います。簡単な見方があるのでお教えすることが可能です。是非一度、在宅歯科カレッジに来てください。(在宅歯科カレッジのFacebookページ:https://www.facebook.com/groups/1726578800959273/)

<プロフィール>

内宮洋一郎さん

東京医科歯科大学を卒業ののち、訪問歯科の臨床経験を経て2016年5月に戸田歯科の訪問歯科部門に就任、部署の立ち上げを軌道に乗せるべく奮闘中。患者を取り巻く人たちからも情報を取得しながら患者と向き合うのがモットー。在宅歯科カレッジの代表でもあり、医療・介護の垣根を取り払った多職種連携でよりよい医療を推進する活動を行っている。

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