「また働きたい。」再就職が生まれる職場をつくる5つのポイント‐ 遠藤接骨院ヘルパーステーション‐


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神奈川県横浜市にある「遠藤接骨院ヘルパーステーション」は、地域の接骨院としてスタートし、地域のニーズに合わせて、2000年から介護保険事業を始めました。小規模多機能型居宅介護、居宅介護支援、デイサービス、訪問介護の4事業で、7つの事業所を運営しています。

総勢90名の職員の中には、一度退職するも再就職となり、即戦力として活躍している人も多いそう。「また働きたい」と思われる魅力は何なのか、取締役の遠藤かがりさんにお話を伺いました。

採用面接には時間をかける

――現在、何名の職員が働いていますか?
小規模多機能型居宅介護の事業所が4つ、居宅介護支援・デイサービス・訪問介護の事業所が1つずつあり、全部で7事業所です。それぞれの事業所で、社員が20名、パート職員が70名の計90名が働いています。

――パート職員は地元の方が多いのでしょうか。
そうですね。事業所のある地区に住む方で、子育て中のお母さんなど、女性の方が多いです。

――採用のときに気を付けていることはありますか?
各事業所の希望を確認した上で、採用面接は私が行っているのですが、面接時間はしっかり確保しています。たくさんお話する中で、ニーズを細かく確認して、ミスマッチをなくすように心がけています。時間は平均して1時間くらいでしょうか。

――面接に時間をかけることのメリットは何でしょうか。
ひとつは、求職者の方の本当の希望を確認できることです。希望に合わせた働き方を提案できることで、無理をすることがなくなり、長く働いてもらえると思っています。

例えば、先日面接した小学生のお子さんがいる方は、8~15時の勤務時間を希望されていました。しかし話を聞いていくうちに、お子さんが15時15分に帰ってくることがわかったんです。

「14時30分までにした方がいいのでは?」と提案すると、実は長時間働きたいのではなく、別業種の採用面接の経験から、長時間働けるとアピールした方が採用されやすいと思い込んでいたことがわかりました。そこで、本当の希望に沿った働き方を話し合いました。

話し合った内容を持ち帰り検討してもらった結果、9時~12時30分の時間で働いてもらうことになりました。本人の納得感も高く、ちょうどその時間帯に職員を必要としている事業所があったので、うまくマッチングすることができました。

時間だけでなく、給与の部分でも具体的な数字を出してすり合わせをします。ひと月にいくら稼ぎたいのか明確な方もいるので、その場合は、希望の給与に合わせた働き方を提案し、しっかり検討してもらうようにしています。

――時間をかけることで、本音が聞き出せるのですね。
はい。他に、組織の横ぐしの機能である、総務部の存在を知ってもらうこともメリットと言えます。1時間たっぷりお話すると、さすがに顔を覚えてもらえます。

――どういうことでしょうか?
働く中で何か困ったことがあり、それが事業所内のメンバーには相談しにくい内容だった場合、悩みをひとりで抱え込むことになってしまいます。相談窓口として総務部に連絡してもらうことは周知しているものの、見知らぬ相手にはなかなか相談しにくいものです。しかし、面接でしっかりお話していることで、総務部に連絡してもらいやすい関係ができていると思います。

職場からの帰り道、買い物のついでに総務部の事務所に寄って、有給休暇の残日数を確認していく職員もいるほどです。とても気軽に訪問できる場所になっています。

退職した職員にも手厚いフォロー

――希望や悩みを伝えられる環境で、離職者は少なそうですね。
離職率は高くはありませんが、家庭の環境の変化や、時給などを理由に離職が発生してしまうことは、どうしてもあります。ただ、他の事業所で働いてみて、またうちに戻ってくるということも比較的多いですよ。

――どのような経緯で再就職となるのでしょうか。
退職する際に「戻ってくることはウェルカムだよ!」と伝えています。職員との関係性にもよりますが、退職後にも連絡をとって、電話で近況などを聞いたりしています。

先日も退職した職員から電話がかかってきて、勤めている介護事業所の話を聞いていたのですが、話の節々から、「戻ってきたいのかも…?」と感じるところがありました。そこで、再就職を提案したところ、「ぜひ!」と承諾してくれました。その職員は給与を理由に退職したので、再就職となれば現状より給与は下がることになってしまうのですが、それでも納得して戻ってきてくれました。

トップダウンで休暇を促す

――退職した職員が戻りたくなるような職場なのですね。職員の働きやすさについて、気を付けていることはありますか?
創業当初から、休みはしっかりとること、残業は可能な限りしないことを徹底しています。心と身体が健全でないと、いいサービスは提供できない、という考えが根付いています。

――入社したばかりの職員は休みを取りにくいこともあるのでは?
私が各事業所に訪問した際には、休みが取れているか、職員に直接確認することもあります。事業所ごとの休暇の取得状況は、総務部でまとめて確認できるので、取得できていない職員がいれば、管理者に取得を促すようお願いしています。上司が積極的に声をかけることで、有給休暇はほぼ消化できていると思います。

経営状況の共有で給与に納得感

――給与においてはいかがでしょうか。
給与については、毎月の会社の収支を職員全員に共有することで、給与の金額がどのような理由で設定されているのか、わかるように説明しています。もちろん、パート職員には興味をもたない人もいますが、自身の給与に納得感を持ってもらえる要因になっていると思います。

介護職員の人材不足のニュースでは、「介護職員の給与が月額○万円アップしている」など、キャッチ―な言葉がひとり歩きしてしまったように感じます。給与アップのイメージが先行して、自身の給与に疑問を持つ人が増えているのではと思います。

当社は「処遇改善加算」を取得していますが、事業規模からしても、比較的少額になってしまいます。給与の納得感を高めるためにも、どのような事務作業を経て加算を取得し、加算分をどのように分配するかまで具体的に開示して、職員の理解を得ています。

職員の健康管理はおせっかいなほどに

――職員のみなさんのことを考えた様々な取り組みをされているのですね。
当社は「限りなく優しく 深い愛でそっと包み 共に生きる」という理念を掲げています。ご利用者だけではなく、職員や、すぐ近くにいるすべての人に向けた思いです。各事業所で働いてくれている職員はもちろん、退職した職員も大切にしていきたいと思っています。

おせっかいに思われることもあるのですが、職員の健康管理についても徹底しています。

――健康管理とはどのように?
職員に対して、身体状況を確認するアンケートを行うなど、健康状況の把握に努めています。介護職の職業病とも言える腰痛については、職員の希望もあり、ゴムベルトの腰のサポーターを無料で支給しています。ぎっくり腰が一番怖いですからね。

法律で定められる対象者の健康診断はもちろんですが、該当しないパート職員にも、年1回の健康診断を会社負担で受けてもらっています。受診していない人がいれば、おせっかいと思われようとも受診を促しますので、受診率は100%です。

各健診項目の評価について、会社全体の平均値をお知らせすることで、自身の健康に意識を向けてもらっています。心身ともに健全に働いてもらえるよう、今後も取り組んでいきたいと思います。

取材メモ
「限りなく優しく 深い愛でそっと包み 共に生きる」という理念は、遠藤かがりさんの父親である、代表の遠藤昭さんが創業当時に考えられたもの。職員のことを考えた様々な取り組みのもとで、優しく深い愛で包まれている職場だからこそ、一度退職してもまた戻りたくなる、ホームのような場所なのだと感じました。

今回のとなりの介護事業所は?

遠藤 かがり(えんどう かがり)
遠藤接骨院ヘルパーステーション 取締役。横浜市中区にある7つの事業所と、そこで働く90名の職員のマネジメントを行う。経営だけでなく人材採用も担当。より良いサービスを提供するため、職員の働きやすい環境を整えることに尽力している。

遠藤接骨院ヘルパーステーション
遠藤かがりさんの父親である遠藤昭さんが接骨院を開設。通院したことを忘れて1日に何度も接骨院に来てしまう高齢者をサポートできないかと、介護保険制度ができた2000年に介護保険事業を開始。横浜市中区内4箇所の小規模多機能型居宅介護事業所を中心に、地域の介護サービスを提供している。

サービス種別:小規模多機能型居宅介護、居宅介護支援、デイサービス、訪問介護
住所:神奈川県横浜市中区本牧原15-6 グロブナースクエア2C
運営:株式会社 遠藤接骨院ヘルパーステーション

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