介護を公益事業にした先駆者に学ぶ


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こぶし園の小山さんの先駆的取り組みから学んだ地域包括ケアシステム

 

筆者はシンポジウムで何度がご一緒させていただいた程度で、そんなに深い付き合いがあったわけではない。小山さんの取り組みを知るにつれ、まさにいま進められつつある地域包括ケアシステムの先進的な取り組みの一つではないか、と改めて気づかされた。

 

30年以上前の1982年、在宅で生活する高齢者を受け入れるショートステイを特別養護老人ホーム内に80床も作ったのを皮切りに、特別養護老人ホームのサテライトで24時間体制で供給できる介護、看護サービスを徐々に整備、毎日3食の配食も始めた。

グループホームや小規模多機能居宅介護も設立、2002年からは、サポートセンターという拠点づくりを開始、これまでに15カ所のサポートセンターを作り、18万人の長岡市をカバーするエリアを決め、24時間安心して暮らせるサービス提供システムを作り上げた。2014年には、山の上にあった100床の特別養護老人ホームを廃止、それを見届けるかのように自らの人生を終えた。

 

高齢者が望む在宅での生活を支えるということ

 

数々の名言を残した。

「登山者(利用者)のニーズは山頂に登ること(暮らしの継続)で、 山小屋(施設)に入ることではない。登山道 の復旧(在宅サービスの拡充)が求められている」という言葉もその一つである

特養は一部の高齢者しか利用できず、しかもほとんどがその利用を望んだものではない。高齢者が望む在宅での生活(暮らしの継続)を支えることが、小山さんがめざした取り組みだった。それを登山に例えて説明した。

 

ご一緒させて頂いたシンポジウムで、自身の取り組みについて「簡単なことなんですよ」とこともなげに言いきった。見方によっては不遜とも受け取れる言葉ではあったが、在宅で暮らし続けたいという利用者の思いを受け止め、それに対応できるようサービスを創設、拡充してきた改革は、小山さんにとって自然の成り行きだったのだろう。2011年3月11日の東日本大震災直後、現地に乗り込んだ小山さんは体育館でユニットに仕切られ、「やむなく一時避難してきた」被災者状況と施設での高齢者生活と類似していることを見抜いた。

 

時代とニーズをとらえる感性と行動力を持つ事業者に

介護事業に関わる人々にとって、小山さんの取り組みをどう受け止めるべきだろうか。

2000年に介護保険が始まってから、まだ満14年しかたっていない介護事業は繰り返される法改正の中で、ビジネスモデルが確立したわけではない。

 

2015年度から本格的に市町村で始まる地域包括ケア体制。その構築が始まったいま、事業者にとって介護保険始まって以来の正念場を迎えている。

 

一つは介護という専門性のあり方が問い直されていることである。

2015年度介護報酬改定は介護事業者にとっては厳しい2.27%のマイナス改定とはなったが、在宅医療・介護の推進という立場から、認知症対応の通所介護や重度者対応の短期入所、さらに高齢者リハ見直し加算をした。在宅サービスでの認知症対応や中重度者への対応ができる専門性を持つ事業所にとっては、不利にならない改定であろう。

その意味では、認知症ケアや中重度者への対応についてより専門性を持つ事業者が地域で評価される方向が加速されよう。

 

要支援1と2へのサービスのうち市町村に移行する訪問介護、通所介護も含めた日常生活支援総合事業は、介護予防や認知症ケアの専門性を持つ事業と、専門職の配置を緩和したサービスや専門職ではない人々による生活支援もできるサービスの導入も認める。

事業者にとっては、地域に密着した柔軟なサービスを専門資格を持たないスタッフを活用して展開できるのかというマネイジメントも問われることになる。

 

目先の動きや利益にとらわれず、ビジネスと公益性を両立すること

 

何より大事なことは、目先の動きや利益にとらわれず、地域や利用者が何を求めているのか、それをとらえるアンテナを持ち、それを具体化する行動力であろう。

 

ビジネスと公益性とを両立させることが介護という事業の信頼性を高め、経営の安定にもつながる。それを実現した小山さんの取り組みは、これからの介護事業の確かな方向性を示してくれているように思われる。

 



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