軽度者への支援のあり方について


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今回は平成28年7月20日行われた第60回社会保障審議会介護保険部会資料より「軽度者への支援のあり方」について内容を解説していきたいと思います。昨年の4月27日に開催された財政制度分科会にて財務省が要介護1、2の生活援助を原則自己負担にすべきと示唆しましたがそれを受けての内容となります。

介護保険制度の持続可能性の確保

平成30年度の医療・介護同時改定に向けて現在、介護保険制度の見直しにあたっては「地域包括ケアシステムの推進」と「介護保険制度の持続可能性の確保」という2本の柱を軸に社会保障審議会において議論が進められてきております。

下記資料に記載されている通り、2本の柱の中にさらに細かい項目にわかれて議論が進められています。各テーマにおける詳細については「厚生労働省が示す介護保険制度見直しにおける主な検討事項について(案)」というコラムにて記述させて頂いておりますのでこちらをご確認ください。

今回の第60回の社会保障審議会介護保険部会においては給付のあり方として、軽度者への支援のあり方と福祉用具・住宅改修における内容の議論が進められました。大テーマとして「介護保険制度の持続可能性の確保」というものがありますから、現状の制度では持続可能が難しいということを指しています。そのため当然、今回の内容については給付の抑制もしくは廃止(全額自己負担)などといったところが焦点となっています。

これまでの議論と対応

介護保険制度の創設時から生活援助については給付の対象とするかどうか議論があり、結果、要介護状態の積極的な予防や自立した生活への支援につながるような形で提供していくことが重要であるとの観点から最終的に給付の対象となりましたがその後、制度改正を経るたびに60分以上の生活援助をなくしたり、45分未満のいわゆる生2を設けたりという過程がありました。こうして振り返って見てみると当初より生活援助についての給付については議論がされており、だんだんと縮小されてきている経過がわかりますね。

そして、下記資料に記載されているように経済財政運営と改革の基本方針等についても軽度者への支援のあり方については昨年の段階では給付の見直しの検討を行うとされてきておりましたが、直近の6月2日に出されている内容では給付の適正化を着実に実行していくという表現に変わってきています。

国がよく使う適正化という言葉は基本的にはマイナス改正を意味していることが多いですから次期改定では確実に変化があるということです。

ちなみに今回の資料の中には、介護保険制度においては、軽度者について要支援・要介護度の区分による定義は設けていないという公式見解が書かれております。これは資料に記載されている文言だけなのでどのように解釈するかが難しいところですが、中重度者を要介護3からとしていることを考えれば、軽度者は、要介護2以下になると考えるのが一般的だと思われます。しかし、一概にそのような単純な意味にも取れない微妙な表現であるかなとも思います。

訪問介護における生活援助について

訪問介護のサービスにおいては入浴、排せつ、食事等という「身体介護」と掃除、洗濯、調理等といった家事を提供する「生活援助」の2つのサービスに分けることができます。

下の資料をご覧いただくとおわかりの様に、要介護度別に訪問介護の内容類型別受給者数の構成割合を比較すると、要介護度が高くなるにつれて身体介護中心型の比率が高くなっています。

これは訪問介護事業を行っている事業者さんからすれば特に違和感のないお話だと思います。重度者になればなるほど身体介護の必要性がでてきて、そちらに単位を割かれるため生活援助を入れることが難しいということです。反対に軽度者については単位を使い切ることも少ないですし、そもそも身体介護の必要性が重度者よりも低いため生活援助が中心となります。

ただ、これも表現の仕方にもよりますが、穿った見方をすれば軽度者の使用頻度が高く、重度者の使用頻度が低い生活援助が本当に必要なのか? といった論調に持っていくためと捉えることが出来ます。

さらに資料のなかでは訪問介護事業所の管理者が考える生活援助(掃除・洗濯・衣類の整理等)に求められる専門性については、「介護に関する知識、技術をそれほど有しない者でもできる」又は「介護に関する基本的な知識、技術を備えた者であればできる」(いずれも介護福祉士の資格を取得していない者でもできるとの回答)が8割を超えているが、介護福祉士の約7割がこれらの業務をほぼ毎回(毎日)実施している、との調査結果がある。と記載されております。

これは介護サービスを提供する人材不足が露呈しているなかで人材の専門性などに応じた担うべき業務の類型化・機能分化が必要となるのは確かにその通りなのですが、現場では生活援助の中で利用者さんと何気ない会話や接し方をしながら些細な変化がないかを感じとったりすることも介護のプロとしての専門性が必要とされるところではあると議論もして欲しいところです。

論点

論点としては下記の資料に記載されているように4つの内容があげられています。この中でも、4番目に書かれている予防給付の訪問介護、通所介護の総合事業への移行が、平成29年3月までを経過措置期間としており、現在、市町村においてニーズ把握や関係者の認識共有に努めていただいている状況であることをどのように考えるか。

この内容が「軽度者への支援のあり方」についての方向性について大きな影響を与えると思っています。総合事業の狙いなどはコラムで何度か触れていると思いますが、本来はこの予防給付の移行がスムーズに行えていれば生活援助を含む、軽度者への支援を介護保険の給付からはずしたところで受け皿が出来ているという状態なので問題なく行えるところです。

しかし実際は各保険者では手さぐり状態で対応に追われ、現在のところ実施状況が半分もいっていない状態ですから平成30年度の改定時点でしっかりと受け皿が出来ており、実施していいものかどうか未知数というところでしょうね。

個人的には訪問介護における生活援助部分においては、平成29年4月からは各市町村で総合事業が実施されますから当然平成30年4月の段階では1年経過している状態ですので改革を進めていこうとしていけば多少の歪があろうが出来ないことはないため給付を外してくる可能性は高いと思っています。

その他の軽度者における給付についてはまだ下地が整わないため、マイナス改定などで調整といったところが現実的ではないのかと思います。次期改定まで1年半を切りました。改定内容の議論は今後ますます活発になりますので、きちんと情報をキャッチアップしていかなければなりませんね。



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