介護現場で起きる事故について考えるVol.2 介護事故の最新調査を読む


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介護事故の最新の調査結果

前回は医療現場で起きた事故から介護施設で起こりうる事故についてピックアップしました。介護分野では現在、医療事故調査のような全国的なデータはありません。
しかし厚労省のグループや都道府県単位において実態を把握する動きが出てきました。その幾つかから今回は介護現場で実際に起きた事故のなかで多い、転倒・転落と嚥下事故についてみていきましょう。

 

介護現場で最も多い転倒と転落事故

平成二十三年度に世田谷区が報告している事故で最も多いのは転倒によるものでした。また転落事故は転倒よりも報告件数は少ないものの、全体重が身体にかかるため衝撃が大きく大腿骨骨折や頭部打撲といった大きな怪我へつながる可能性があります。こういった大きな事故が起きたとき、利用者がその先の人生を寝たきりで過ごさなければならないケースも少なくありません。
起こりうる全てのリスクを考え対策をする必要があります。

 

[内容]

転倒・転落事故はトイレ内・ベッド周辺で移動の最中に発生していることが多く、その時間帯は七時から八時の早朝が多いと報告があります。

 

[原因]

「身体が目覚めず朦朧としたまま移動をしようとした際、またトイレへと移動を急いでいるときに足元にふらつきが起こったりスリッパが滑るなどして発生しています。

 

[対応・対策]

早朝は利用者の意識が覚醒しているかどうかを確認し、声掛けをしながら介助を行いましょう。また日頃から、「靴は足にあっているか、靴底はすり減っていないか」「床に段差はないか、手すりは手の届く範囲にあるか」といった環境的なチェックも必要となります。転倒・転落が起こりやすい早朝の時間帯は、一対一での見守りの徹底、歩行可能な利用者も車いす移動をしてもらう、といった対応をするのも有効といえます。

 

利用者の尊厳に関わる摂食での対応

転倒・転落よりも発生回数は少ないものの摂食は生命に関する問題で、誤嚥や窒息が起きると死亡事故にも繋がります。食事は利用者の尊厳を支えるケアとしても非常に重要な場面なので、誤嚥防止を追求するだけではなく出来るだけ長く利用者が経口で食事を楽しめる対策をする必要があります。

 

[内容]

平成二十五年度に北海道で調査された事例によると、汁物やパンなどむせやすいものでの誤嚥が多かったようです。食事介助が必要な利用者だけではなく自力摂取での利用者の事故発生も多数報告があります。また季節食やイベント食で出された寿司や団子など日常食べなれないものでの誤嚥やむせもみられました。

 

[原因]

誤嚥しやすい汁物を飲む際の見守りや、パンなどを小さくカットして提供するといった配慮が足りなかったようです。介助利用者に集中をしすぎ、自力摂取の利用者への見守りが徹底されていないことも原因となっています。

 

[対策]

食事介助は、職員ひとりにつき利用者二人までを限度とし、利用者の姿勢や食べ方に逐一目を配るという対策がなされています。食事介助に入る前に、意識が覚醒していること、適切な姿勢を保持できていること、適切な食形態が検討されていることを確認しましょう。全老健が出しているhttp://www.roken.co.jp/risk/dl/m_goengoin2010.pdfなどの資料も意識を高めるきっかけになります。

 

イベント食などでは内容確認を怠らず、利用者の気持ちの高ぶりなども加味して見守りを強化しなければなりません。他に、STと連携し口腔ケア対策職員を決め、口腔運動や口をゆすぐなどのケアを習慣づけることも有効です。万一事故が起こったときのために吸引器を食堂やリビングに準備し、定期的に職員に使用方法や救命処置法を習得させるという危機管理も行われています。

 

以上は実際の報告からその対策について述べました。しかし事故が起こってしまったときに再発させないよう以下のような考察が必要となります。

事故の根本原因は?

例えばベッドからの転落事故があったとき、「観察を頻繁に行う」といった解決策では転落の不安は変わらず根本的なリスク回避法の最善策とは言えません。起こった事故について因果関係を整理し真の理由まで掘り下げなければなりません。SHELや4M4Eといった分析方法はすでに多くの現場でも使われています。この考えを用いて香川県の公共団体が実践し報告している事故対応集も参考になるでしょう。

 

今回取り上げた転倒や誤嚥といった事故は、職員の観察力で未然に防げていたケースが多く、普段から利用者の行動を観察することでリスクの高い利用者をリストアップでき、効果的な見守りや早めの対応をとることができます。このためには全ての職員がリスクへの意識を高めることが必要です。アセスメントの段階から根本的な原因を職員全体に周知し気づきを深めること。そして介護技術の向上こそが一番の事故防止策となると言えます。

 

介護サービスを提供する職員として、介護事故は発生させてはならない事故です。しかし介護事故の発生をゼロにすることは困難であり、施設を運営するにあたり考え続けなければならない問題です。職員にリスクマネジメントの重要性、スキル向上の機会を与え安全な施設運営に取り組みましょう。

 



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