高齢職員の労務管理~実務編~


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介護事業所では、多くの高齢者が活躍している。筆者の関与先でも、60代~70代の方が入職してくることも珍しくないが、そこには若者に対する労務管理とは、また違った注意点がある。そこで今回と次回の2回にわたり、介護事業所における高齢者雇用の留意点等についてお伝えしたい。

年齢ごとに必要となる手続きとは?

高齢者(60歳以上)の労務管理では、実務上その年齢ごとにやらなければならない手続きなどがたくさんある。

 

主なものについて整理すると以下のようになる。

では、それぞれのポイントについて簡単に説明してみたい。

 

●60歳

 

【社会保険の同日得喪】

 

60歳以上で退職し、その翌日に再雇用された場合、社会保険の加入資格は継続する。その際給与が下がったとしても、通常4ヵ月間は従前の高い給与での社会保険料が適用される。これを特別に「退職を機にいったん資格を喪失し改めて同じ日に取得した」という扱いにすることで、すぐに下がった給与に対応する低い保険料に変更できるのだ。これを「同日得喪」といい、60歳以上で退職したすべての人が対象である。定年でなくても、60歳以上で辞めた後1日の空白もなく、継続して同じ会社に再雇用されていればよい。

 

【高年齢雇用継続基本給付金】

 

60歳になったときに、雇用保険の加入期間が通算で5年以上ある60歳?65歳の職員の給与が、60歳時点の75%未満になった場合、その一部が支給される(年金との調整有り)。

 

上記のいずれも、年金事務所やハローワークから通知等は来ないため、事業所で対象者を確認しながら手続きをしないと、「むだに社会保険料を支払った」「もらえるはずの給付がもらえなかった」といったトラブルになるので、注意していただきたい。

 

64歳からは雇用保険料が免除になる

●64歳

 

【雇用保険料の免除】

 

4月1日現在で満64歳以上の職員は、雇用保険料が本人負担、事業主負担ともに免除になるので、対象者の給与から雇用保険料を控除しないよう気をつけよう(労災保険料は免除にならない。また、単に保険料が免除になるだけで、雇用保険の加入自体は継続する)。

 

注意したいのは、64歳の誕生日から免除になるのではなく、あくまで4月1日が基準だということだ。したがって、今年度中に64歳になる人であっても、4月2日以降が誕生日の場合、免除になるのは翌年からなので間違えないようにしたい。

 

こちらについてもハローワークからお知らせが来ることはないので、担当者は年度末になったら、64歳になっている職員がいるかどうかをきちんとチェックしよう(ただし、2020年4月からこの免除制度は廃止)。

 

●65歳

 

【介護保険料の給与天引き終了と高年齢者雇用継続給付金の支給終了】

 

40歳から始まった介護保険料の給与天引きは65歳で終了し、今後は各人がその年金から納めることになる。これも年金事務所からの通知はない。

 

また、60歳から始まった高年齢者雇用継続給付金の支給も、65歳で終了となる。

 

【雇用保険の新規加入不可】

 

65歳以上で入職してきた方は、新規に雇用保険に加入することはできない。(2017年1月からは加入可)

 

●70歳

 

【厚生年金の加入資格喪失】

 

70歳になると、厚生年金への加入資格を失うため、その脱退手続きをしよう。ただし、健康保険への加入は続くので、健康保険料の控除はお忘れなく。

 

一定の条件に該当する者については、年金が支給停止や減額になるかどうかを確認するため「被用者該当届」を年金事務所に出さなくてはならない。給与に変動があったとき、賞与を支払ったときなどにも、同様の届をする必要がある。

 

後期高齢者医療制度には「扶養」の概念がない

●75歳

 

【後期高齢者医療制度(長寿医療制度)へ移行】

 

健康保険に加入している職員が75歳になったら、強制的に後期高齢者医療制度への移行が実施される。たとえ在職中でも、健康保険からの脱退手続きをしなければならない。資格喪失日(脱退日)は、75歳の誕生日当日である。

 

後期高齢者医療制度には「扶養」という考え方がないため、それまで扶養に入っていた家族については、以下のような扱いになる。

ここまで、高齢者雇用における実務上の手続きについて確認してきたが、次回は定年とその延長等について考えてみたい。

 

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