「介護しながら仕事続けてる!」今こそ声を上げよう……ー2

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年間10万人にものぼる介護離職を減らすためにはどうしたらいいのでしょうか。介護離職の理由で一番多いのは「自分以外に介護をする人がいない」からです。我が家も長女の私が母の介護や弟妹の世話をするしか選択肢はありませんでした。母が倒れた時、私はちょうど高校3年生。もし1年早く母が倒れていたら高校を卒業するだけで精一杯で大学進学ははじめから考えられなかったと思います。また、逆に1年遅かったら……私の人生の歯車は音を立てて崩れ、もしかしたら10万人の中の1人になっていてもおかしくなかったのです。

夢は未来を照らす“光”に……

介護保険制度の無い中で「どうして介護と仕事が両立できたのか?」と質問されることがあります。もちろん家族のサポートがあったから実現できたことでしたが、もう一つ大きな理由があります。アナウンサーになることは子供の頃からの夢でした。そのアナウンサーになれたことが私の精神的な支えとなったからです。

 

自分の睡眠時間を削りながら母や家族のために多くの時間を費やさなければなりませんでしたが、体力的に辛い時でも困難を乗り越えるだけの精神的なバランスや心の強さを持つことができました。育児と違い介護には終わりが見えないと言われますが、それでもやはり必ず終わりが来ます。しかも、介護は大切な家族が居なくなるという形で。

 

もし仕事を辞めていて経済的にも親の年金を頼りに生活していたら……介護が終わった後に、自分の手の中に何も残っていない状況を想像してみて下さい。だからこそ、介護に直面している時から“介護、その後”を考えて、介護サービスを上手に利用しながら自分の人生も大切にして欲しいと思います。人は夢を食べて生きていくことはできないと言いますが、“夢”や“希望”を持ち続けることは、先の見えない道を歩く人間にとって未来を照らす光になると信じています。

 

両立の鍵は「柔軟な働き方」

確かにアナウンサーは勤務時間が不規則な仕事で大変な面もありました。ですが20年前にすでに「フレックスタイム」の働き方を出来たという点で介護との両立に向いていたと言えます。それぞれ担当する番組によって出勤時間や退社時間が違ってきます。例えば私が早朝番組を担当していた時は、夜中2時前にタクシーが家に迎えに来ましたが、その代り遅くとも夕方には帰宅でき、それから買い物や家族のご飯を作ることが出来ました。母が寝ている間に仕事をこなすことで、日中は母と過ごす時間をつくることが出来たのです。

 

また全員が同じ時間に働いていないので「私だけが介護を理由に早く帰っている」という申し訳ない思いや罪悪感を持たなくて済んだことも大きかったと思います。これからは全ての人が介護に直面するのだから申し訳ないと思う必要はありません。介護と仕事の両立を実現するためにはどうしたらいいのか、その答えは明白です。一日も早くその人のライフスタイルに合った“柔軟な働き方”を導入することなのです。

 

ですが現実に目を向けてみると介護休業を取得している人はわずか3.2%(2012年度)です。93日という短さに加え、要介護になった家族1人に1回しか取れないという使い勝手の悪さが影響しているのは間違いありません。また介護のために転職した人の中で、正社員として働けている人は男性で3人に1人、女性で5人に1人という調査結果もあり、多くの人の収入は半分になっています。

 

そんな中、「介護離職ゼロ」を目指し大企業を中心に柔軟な働き方を導入する動きが出てきています。93日しかない介護休暇を365日に拡大したり、分割して休みを取れるようにするなど。介護離職している年代は40代から50代が多く中間管理職にあたる人材です。介護離職は個人の問題ではなく、会社にとって“人材流出”という大きな損失であるという自覚が広がっているのです。

 

99%の男性の意識改革を!

一度、手離したキャリアを取り戻すことは容易ではありません。国の制度が変わるのを待っていては離職者を減らすことは出来ません。今こうしている間にも苦汁の選択を迫られている人がいるのです。そして、未だに介護離職している人の多くが女性であるということも忘れてはなりません。

 

個人の努力には限界があり柔軟な働き方を実現するためには会社のトップや職場の管理職の意識を変える必要があります。全国の女性社長の割合は確かに増えていて、2014年には1割を超えたそうです。ですが上場企業の中で女性が社長なのはわずか1%にも満たない現状を見ると、日本では男性がリーダーシップを握っているということになります。国は2020年までに指導的地位に占める女性の割合を30%以上という目標を掲げていますが、これも絵に描いた餅になるのは想像に難くありません。「99%」の男性が意識改革をすることが出来るかどうか……。

 

こうしてこの原稿を書いている間にも、男性だけに介護や育児と仕事の両立の問題を任せてはおけないという認識を新たにしています。これまでも、そして現在も多くの女性が制度や意識の壁と闘ってきています。何も全ての女性が社長にならなくてもいいと思います。自分の人生を大切にしながら育児や介護を両立している人を1人でも増やしていきたいと思います。

 

私も道なき道を歩いた1人ですが、細いながらもすでに道は出来ていると思います。その道を行く人が増えれば必ず大きな道になり、後から続く人が生き易い世の中に繋がるはずです。当事者の声ほど大きな力を持つものはありません。「介護しながら仕事続けてる!」今こそ声を上げましょう。

 

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