最終回……高齢期における「食」と「生きがい」


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昨年、経産省は全国の買物弱者を推定800万人と発表、この5年間で100万人が増加すると言われている。超高齢社会に突入し、国の買物弱者対策にも貢献しているわんまいる。創業28年の御用聞き宅配事業の経験知識を活かし、見守りアプリ作成や大手スーパー、ドラッグストア、ホームセンターなどと提携した買い物代行サービスなど、新しい試みに挑戦し続けている。

離れて暮らす母に宅配弁当や冷凍弁当など試してみたが、食べてくれない……

先日、全国190の自治体のホームページに対し、見守りアプリの作成等を受託しました。

 

データーサーバー管理運営をされている公共クラウドサービス大手の西日本営業責任者の方からの依頼がきっかけとなり、実現に結びついたものです。その方いわく、

 

「一昨年のことになります。離れて一人暮らしている実家の母が、足腰が弱って来て買物に出かけられなくなってきたので宅配弁当を依頼したのですが、美味しくないから、と食べてくれません。他の冷凍弁当も試したのですがだめで、結局、栄養疾患になって入院する羽目になりました。本人は嫌がっていたのですが、しかたなく有料老人ホームにお世話になることにしました。もう少し早くわんまいるさんのことを知っていたらと思い、わんまいるのサービスを弊社の見守りアプリに掲載させていただき、自治体へ提案したいのです」

 

と……。

 

また、元大阪大学医学博士の廣瀬まゆみ先生との出会いも同様です。

 

「一緒に暮らしている母に、私が学会等で外泊する際、宅配弁当を取り寄せても、美味しくないと食べないのです。ほかにもいろいろと試した結果、わんまいるのおかずと出会いました。母はレンジや湯煎解凍をして、袋から取り出してお皿に盛りつけなければならないので面倒臭い、などとぼやきながら、残さず食べて自分で洗い物までするようになりました」

 

経産省の主催のシンポジウムに私がゲストで参加した折に博士自ら、母親みたいな多くの高齢者に、もっとわんまいるを推薦したいと申し出てくださいました。

 

このようなお話を、他にもまだまだたくさんいただいています。

※廣瀬先生と

東京ビックサイトで開催された高齢者生活支援サービス展に行ってビックリ!

先日、東京ビックサイトで開催される高齢者向け生活支援サービス展の招待状が、何社かの皆様から届きました。そこで見学がてら行ってきました。

 

僕はてっきり訪問介護事業者やデイサービス事業、家事代行サービスや見守り、買物支援サービス事業者の方々も多く出店されていると思い、楽しみにしていました。しかし、当日行ってみると、ほとんどそういった方々の出店はなくて、大半が食材、メーカー(海外からの輸入食材卸や食材加工メーカー)と高齢者施設向け冷凍惣菜の卸や製造メーカーさんでした。

 

朝食が1食当り120円~150円・昼食220円~250円・夕食220円~260円、とメニューも似たり寄ったりで、弊社のように、国産の旬の食材を使った季節のメニューなどを考えているところは、私が見る限り見当たりませんでした。

 

ビックリしたのはこの卸価格の食事を倍の500円で提供している所が多いと聞いたことです。

 

ご飯と味噌汁を付けているのかどうかは別にして、完全に値段の競争になっているのだなぁ! とつくづく思いました、これでしたら、食べる側から「美味しくない」と思われるのは当然だと思いました。

 

食材のコーナーでも何点か食べましたが、苦い煮魚や臭くて喉に通らない鶏肉もありました。仕入れて提供している方達は自分でも食べているのかなぁ? と疑問に思いました。

 

そもそも味へのこだわり、商売の目的・理念がまったく違う……

大病院の顧問も引き受けている弊社の顧問のAさんは、ときどきお昼をごちそうになるそうです。病院で出る食事を、美味しいと思ったことは正直言ってない、と話しています。

 

それもそのはず。病院食の下請業者さんは、多くは配食や宅食のメーカーさんですから、美味しくないのはよくわかります。

 

たいがいそういうところでは、管理栄養士が栄養バランスを考え、塩分、糖分、脂質、カロリーを考えて、コストを徹底して抑えた献立メニューを作っています。健康的であってコスト控え目なのが目的ですから、旬の食材を使った産地直送、季節のメニューなどとは、程遠いのは、仕方ないと思いました。

 

僕が酒造りに魅力を感じて独立開業して以来、弊社は全国のこだわりの酒蔵を回り、酒処=米処、こだわり農家を紹介していただき、旬の食材を使った地域名産品を仕入れたり開発したり、県や産地と提携して県産品の販路拡大を頼まれ漁港や網元から直接仕入れ、大阪中央卸売市場へ毎日運ばれてくる便に乗せて仲買卸と提携して場内に卸して一次加工したものを、ホテルや旅館や百貨店などの下請をしている大阪・京都・神戸の仕出し料理や惣菜専門店に直接依頼して料理を作ってきました。

 

ですから、僕が試食して納得のいかない料理は、一流の料理人から指導をしてもらって、納得のいくまで作ってもらうか、駄目なものは取り扱わない方針で、28年間商売を続けてきたのです。その傍ら一流の飲食店の設計デザイナーや施工業者の社長を親友に持ち、これまでも多くの飲食店さんのメニューや経営のアドバイスをして来ました。だから旬や季節やトレンドの食材にはこだわるのです。

 

そもそも僕が商売をして来た経緯と、成り立ちが違うのです。

 

週7日間 朝・昼・夕のメニュー+人気の和惣菜14品+軽食21品+おやつ14品を

最近では、老人ホームやデイサービス、グループホームなど、高齢者施設の皆さんからも利用したいといったお問い合わせを多くいただくようになりました。

 

毎日自分で調理しているが、週に1~2回、わんまいるの商品を利用したいとか、プロの料理人がいないので副菜に使う美味しい和惣菜がほしい、メニューの幅を広げたいのでカレーや麺類、パスタやたこ焼など軽食やデリカを仕入させてほしい。おやつを毎日提供しているので冷凍の和菓子や洋菓子を仕入れたいなど、要望はさまざまです。

 

これまでは営業所の存在しているエリアだけ対応させていただいていましたが、お問い合せが増えたので、この4月1日から卸サイト「健幸厨房」をオープンさせ、ご要望にお応えしています。

 

週7日間の朝食用に洋食&和食のメニュー・昼食にガッツリ食べていただける餃子セットや脂身少なめ柔らかトンカツセットや旬の野菜をふんだんに使ったカレーセットなど、わんまいるならではのお昼メニューを提供します。もちろん夕食は看板メニューの健幸ディナーセットを提供させていただきます。

 

さらに、人気の副菜の和惣菜をお徳用袋で約20品、随時品ぞろえし、軽食デリカは昔懐かしい洋食焼きから豚まんまで幅広い品ぞろえで。おやつは北海道から沖縄まで全国の有名専門店の和菓子・洋菓子を取りそろえて冷凍でお届けします。保存料や添加物を使っていない冷凍のスウィーツは一度食べるとほかでは買えなくなるほど、美味しいです。

 

スーパーやドラッグストア、ホームセンターなどと連携した買物代行サービス

わんまいるのお客様宅に、週一度決まった曜日、時間帯に御用聞きしている担当者を、サポーター(助け人)と呼んでいます。お客様は大きく分けて2つのタイプのシニアに別れます。1つは元気ではあるが、食材から買って調理しても余る、あるいは一人分の料理を作るのが面倒で同じものばかり食べなければならない方。そしてもう1つのタイプは、足腰が悪くて買物に出かけにくい方です。

 

わんまいるでは、創業当時から、お客様の灯油やタバコが切れた際には、サポーター自らがスーパーへも出かけて行き、ついでに買って来てさしあげる、いわば買物代行を長年自然にやってきました。

 

お客様も、僕が独立前からのお付き合いの長い方も多く、80代や90代の方も大勢いらっしゃいます。

 

中には100歳を超えているにも関らず、毎日、日本酒を1合飲まれる元気な方も存在します。

 

お客様の年齢が高まるにつれて、買物代行も増える傾向にあり、これまでは担当者任せあるいは加盟店任せだったものの、ここにきて、さすがに品選びしてレジを通過する時間が馬鹿にできなくなりました。しかし、今さら断ることもできません。

そこで本格的にシステム連携を考えました。

 

食品スーパーさんの商品マスターを、わんまいるシステムと連動させ、加盟店で取り扱いたい商品を選定すれば、注文表としてプリントアウトでき、わんまいるカタログに封入してお客様へお届けできます。お客様が、そこに必要な商品を書き込んだものを、回収してわんまいるシステムに注文入力すれば、データーがスーパーへ飛び、ピッキングリストがお客様毎に出力できて、スーパー側はそれをみてピッキングします。

 

スーパーでピッキングし、用意されたものを引き取りに行って、お客様宅にお届けする実験を行ったところ、週に一度、お刺身やにぎり寿しなどを楽しみに注文される方が多くなり、果物や野菜、豆腐や納豆などわんまいるでは取り扱いにくい商品も注文されて、結構な売上げになりました。

 

これまでは、遠慮して注文しなかったのでしょうか。注文表を封入して「OOスーパーの商品が一緒に買えます」と声をかければ、結構売れることがわかりました。ついでに御用聞きの際に注文表を回収、受注入力してスーパーに後日引取りに行くだけで、多くの高齢者の皆さんから「ありがとう、助かるわ!」と感謝されるのです。今後はこのシステムを使い、ドラッグストアやホームセンターなどとも連携を行って、買物代行サービスを充実していきたいと考えています。

 

地域包括ケアシステムのなかで、民間事業者としていかに地域と連携していくかがカギとなる

公的保険の財源難により、今後さらに介護報酬や総合事業サービスへの報酬が下がってくものと予測されます。

 

しかしながら、2035年までは高齢者人口が増え続け、年々後期高齢者の割合も増えていきます。ところが悲しいかな、それを支える若い世代の人口が減っており、介護ヘルパーさんの離職率も高く、慢性的な人手不足が今後も続くと予測されています。

 

国は、資格を持ったヘルパーさんは介護に徹し、さらに在宅介護・医療へ注力してほしいといった方針を打ち出しており、皆さんもご存じのとおり、買物支援や料理、洗濯、掃除などは介護の専門知識や技術のない一般の人でも十分出来るので、NPOやボランティア、民間事業者に委ねようと計画しております。

 

また空き部屋や空き家を改装したグループホームや小規模多機能といった施設づくりを推奨していて、仲介を行うと報酬を出す自治体もあるようです。

 

わんまいるも、地域包括支援センターや居宅介護事業者が集まる連絡協議会に、自治体から参加を求められるケースが増えてきました。

 

既存のお客様の急変に気づいたり、配達中に認知症のお年寄りの一人歩きを見かけた場合は、連絡ができるように、見守りに関して協定の締結を依頼されるようにもなっています。

 

これまでも年間にかなり多くのお客様を、地域包括支援センターやケアマネージャーさんに連絡させていただき、救急車を呼んだり病院へ連れて行ったり、ご家族に連絡したり、してきました。

 

孤独死に遭遇するケースもございます。

 

高齢期を迎え、夫婦二人、あるいは一人暮らしになって、食材から買ったのでは余る、足腰が悪くなる……など、買物弱者と言われるようになり、わんまいるを利用する。ですから、こういったお客様の背景を考えると、自治体や介護事業者様との連携が必要となってくるのです。

 

これまでは福祉と商売はまったく別物、と分けて見られていましたが、上手く連携することでさまざまな相乗効果が生まれ、シナジーも期待されます。

 

6回に渡り、高齢期における「食」に関して執筆連載させていただき、読んでくださって、まことにありがうございました。

 

農林統計協会にて改訂出版されます、『フードデサート問題 無縁社会が生む「食の砂漠」』茨城キリスト大学岩間教授編著の中でもコメントを出させていただいておりますので、こちらもぜひ一読いただければ幸いです。

 

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