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アルファ碁の勝利が示す『介護』の生き残り策


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先日、人工知能「アルファ碁」が、プロ棋士に勝利したニュースが話題となった。無理だと思われてきた直観力を備えることが可能となったからだ。介護の現場でも、人手不足の折、ロボットの活用が推進されて久しい。ただ、人への愛情や思いだけはまだまだロボットには身に着けられまい。逆に言えば、そういった特性こそ、介護職に身に着けてほしいと筆者は言う。

衝撃的だった人工知能「アルファ碁」のプロ棋士への圧勝

どこまでコンピュータは進化するのか。

 

先日、韓国で開催された人工知能(AI)と世界のトップ級のプロ囲碁棋士との5連戦(グーグル・ディープマインドチャレンジマッチ)で人工知能側(「アルファ碁」)が4勝1敗と圧勝したことは、筆者にとっても衝撃だった。それは私たちの働き方、社会のあり方を変える、介護というビジネス、介護という仕事のあり方も間違いなく左右することになるのではないか。それを実感させられた出来事だった。

 

筆者にとって囲碁には格別な思い入れがある。

 

小学生のころだったろうか。父親が碁を打つのを見よう見まねで覚え始めて半世紀、囲碁だけは倦まずたゆまず続けてきたおかげでアマ7段となり、暇を見つけては今も地元の碁会所に通う。

 

オセロやチェスなどのゲームではコンピュータの計算力により人間に勝てるようになった。さらに複雑な将棋もコンピュータが人間を上回ろうとしている。しかし、囲碁は違う。9路盤の将棋に対し、囲碁は19路盤であり、1兆倍を14回繰り返すほど複雑といわれる。囲碁は単なる計算力によるだけでなく、全体を見通す大局観、構想力が求められる。どんなデザインを描くのかという感性の力、直観力も求められる。すぐれたプロ棋士ほど、その直観力が鋭い。1990年代に囲碁ソフトは開発され、人間に挑んできたがプロ棋士にはなかなか勝てなかった。

 

計算力こそコンピュータはすぐれていても、人間に特有な感性、直観力までコンピュータは身に着けられまい。そう思い続けてきた。

 

直観力まで身に着けた人工知能。しかし、コンピュータの力を使いこなせるのは人間のみ

ところがアルファ碁には、坂村健・東大教授によると(3月11日付け毎日新聞朝刊)ニューラルネットワークという技術で、いわば人間の直感を身につけさせた。ニューラルネットワークは「神経回路網」という言葉どおり、人間の脳をまねる技術で、それを開発した英国のディープマインド社は、ここにさらに強化学習という手法を組み合わせた。経験から学習できるので、人間の棋譜を学ばせた後は自らのコピーと延々と戦わせ、独自の囲碁力を開発した。

 

コンピュータの相手をした韓国のイ・セドル九段は、日本のトップ棋士もなかなか勝てない、まぎれもない世界トップ級の棋士だが、4局目にようやく一矢報いただけで、最後の5局目も、コンピュータはその敗戦を学習して、また勝った。

 

徹底した学習力により、人間の複雑な脳の回路も学習できる。わが身を振り返っても、人間は自分の過ちや反省をなかなか学ぼうとしない。飛躍するようだが、戦争や紛争を繰り返す人間社会の歴史を見ていると、それを痛感する。失敗の過去を学ぼうとしない人間の愚かさやこだわりがコンピュータにはない。

 

その点ではコンピュータに及ばない人間だが、このコンピュータの力を使いこなせるのは人間だけである。しかも開発されたコンピュータのソフトはいくらでもコピーできる。

 

そのコピーをどんどん使えばいいのだ。

 

介護ロボットは介護現場にも普及しているが「愛情」や思いは人口知能といえども持つことはできない

介護の現場でもこの力は活用できるし、しなければならない。

 

コンピュータの力を使った介護ロボットは北欧を中心に徐々に広がりつつある。深刻な介護労働力不足に悩む日本もいずれはこの介護ロボットは普及し、さまざまなITも介護の現場でさらに使われるようになる。

 

幸いというべきか、介護の現場にはコンピュータにとって代われないものがある。

 

それはコミュニケーション力と人への思いである。要介護となった高齢者にとって、介護者に求めるのは身体介護の技術だけではない。何より、人とのふれあい、コミュニケーションを求めている。一人暮らしとなった高齢者はとりわけそうだが、認知症高齢者にとっても大事なのは人とのふれあいである。

 

言葉を換えれば「愛情」が認知症高齢者を元気づける。

 

コンピュータは学習すれば、一定のコミュニケーション力は持てるようにはなるが、人への思いも、愛情も持つことはできない。それを持てるのは人間だけである。

 

それをアルファ碁が改めて教えてくれたと受け止めたい。

 

介護の現場は人手不足の中で、どんなに忙しさに追われても、このことだけは片時も忘れずに利用者と接してもらいたい。

 



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