厚生労働省が示す介護保険制度見直しにおける主な検討事項について(案)


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平成28年2月17日におこなわれた第55回社会保障審議会介護保険部会。介護保険部会の開催は実に2年ぶりとなります。介護保険部会では介護保険制度の制度設計を議論する審議会となっているため、ここで議論された内容が次回の改定へ大きく影響をしていきます。前回の『介護分野の最近の動向等について』に続き、今回は『厚生労働省が示す介護保険制度見直しにおける主な検討事項について(案)』として解説したいと思います。

制度見直しに当たっての2つの柱

次期介護保険制度の見直しに当たっては、これまでの制度改正の取り組みをさらに進めるということで、(1)地域包括ケアシステムの推進、(2)介護保険制度の持続可能性の確保に取り組むことが重要と考えられています。

 

この辺のお話については過去のコラムでも何回も取り上げさせていただいていると思いますが、国としては2025年までに社会保障費の抑制、バランスを保つ地域包括ケアシステムを是が非でも成立させ、介護保険制度を持続させたいという意向を持っています。反対に言えば、今なお地域包括システムの推進はあまり進んでおらず、このままいけば介護保険制度を持続させるどころか社会保障制度の持続が困難な状況であるということです。だからこそ、制度改正という誰しもが従わなければいけない強制力のあるところで取り組むことが重要となってきます。

地域包括ケアシステムの推進

下の図を見ていただくとおわかりのように地域包括ケアシステムの推進としての具体的な項目は4つあります。

1つめは地域の実情に応じたサービスの推進(保険者機能の強化等)です。

 

(1)保険者等による地域分析と対応では、地域の特性に合った地域包括ケアシステムをつくるためには、要介護認定率や、1人当たりの介護費用など、地域差も含めたデータ分析を行い、ニーズを把握した上で、PDCAサイクルの中で、事業計画策定や、適切なサービス提供体制の整備に結びつけていくということが重要と考えられ、こうした保険者などの取り組みを支援するために、どのようなインセンティブを与えていくかということを検討することになります。

 

データ分析に関しては既に3月23日に『介護費の地域差分析について』という内容で公表されており、大阪府が平成26年度の被保険者1人当たり介護費、認定率でともに全国ワースト1位になっているという結果がでております。

 

(2)ケアマネジメントのあり方では、自立支援に資するケアマネジメント、また、多職種協働や医療と介護の連携を推進していくために、ケアマネジメントに対する保険者の関わりのあり方をどのように考えるかということを検討することになります。

 

(3)サービス供給への関与のあり方では、地域包括ケアを進める上で、保険者から見て、必要と考えられるサービスの供給を増やす、あるいは既に相当量が確保されているサービスについては、量のコントロールを図るといった、保険者の関与のための手法のあり方をどのように考えるかということを検討することになります。

 

これらの内容、どこかで見たことあるかもと思っている方は正解です。以前寄稿しておりますコラム、財務省が示す平成30年介護保険改正における方向性とは 【前編】の(1)介護に関する地域差を解消する仕組みの導入で記載している内容と一緒です。前回も書きましたが財務省で議題提起され、経済財政諮問会議を経て、介護保険部会で審議されるという流れです。

 

医療と介護の連携

2つめは医療と介護の連携です。

 

(1)慢性期の医療・介護ニーズに対応したサービスのあり方では主に介護療養型医療施設についてどのような制度にしていくかということです。平成23年の介護保険法の改正において介護療養病床の廃止・転換の期限が、平成29年度末まで延長されましたがそれがついに期限を迎えるため、現在は下記の図のような選択肢の整理案を作成しておりこれらを具体的に検討することになります。

(2)在宅医療・介護の連携等の推進では前回改正で、地域支援事業に位置づけられ、市町村主体の取り組みが始まっていますがこの取り組みをどの地域においても着実に進めるために、どのような方策が考えられるということを検討することになります。特に平成30年度は、地域医療構想を踏まえた初めての医療計画の見直しとなり、同時に都道府県が策定する介護保険事業支援計画と、市町村が策定する介護保険事業計画についても第7期計画が策定される予定であるため、これらの計画を整合的に策定するための視点が必要になります。

 

地域支援事業・介護予防の推進

3つめは地域支援事業・介護予防の推進です。

 

(1)地域支援事業の推進は地域支援事業については、前回改正において充実が図られ、予防給付のうちの訪問介護、通所介護が移行するなど、大きな見直しがされました。この施行状況を踏まえながら、この事業の更なる推進を図っていくために、どのような方策が考えられるかを検討することになります。

 

(2)介護予防の推進については、先進的な取り組みが各地で実施されているためそれらを横展開していくために、どのような方策が考えられるか検討することになります。

 

(3)認知症施策の推進については、認知症の方の増加が見込まれる中、現在、新オレンジプランを推進しており、認知症の方と、その御家族が、住みなれた地域のよい環境で自分らしく暮らし続けられるような取り組みを進めるために、どのような方策が考えられるか検討することになります。

 

コラムでも何度か書いておりますが、個人的にはこの地域支援事業・介護予防の推進こそ地域包括ケアシステムの成否のカギを握っている部分だと思っております。

サービス内容の見直しや人材の確保

4つめはサービス内容の見直しや人材の確保です。

 

(1)ニーズに応じたサービス内容の見直しについては、現在の利用状況などから見て、ニーズに応じ、規制緩和や基準の見直しなど、現行のサービス内容のあり方を見直したほうがよいと思われる点はないかを検討することになります。

 

(2)介護人材の確保については、現在、参入促進、労働環境・処遇の改善、資質向上の取り組みに加え、負担軽減のための生産性向上に取り組んでいますが、今後、人材確保の取り組みを推進していくために、どのような方策が考えられるか検討することになります。

 

この辺に関しては以前のコラム、厚労省が示す2020年代初頭に向けた介護人材確保対策の方向性で記載している内容とリンクしてくると思います。

 

介護保険制度の持続可能性の確保

1. 給付のあり方については軽度者に対する生活援助サービス・福祉用具貸与等やその他の給付のあり方について、どう考えるか検討することになります。

 

ちなみに議事録のなかで辺見振興課長が軽度者については、これまで中重度者といったような議論に際して、要介護3以上で線を引いて加算を設けるといったような実例があるため中重度者以外のところは、軽度者という考え方もあるが、要介護度1、2、3、4、5、要支援1、2に対して、どこのところが重度で、どこのところが軽度かという明らかなスケールがあるわけではないため、ここで言っている軽度者というのは、必ずしもどこかのところを特定していくというほど厳密ではないと考えていると発言しております。

 

また生活援助サービスについては、訪問介護のサービスの中で、身体介護と家事援助と分かれる中で、家事援助のサービスを生活援助等と呼ばれているため、そこのところが想定されていると思いますが、対象となるのは、訪問介護のところだけではなくて、いわゆる検討の対象という意味で、その他給付ということでカバーをされていて、実際に、どういう方向で検討していくのかというのは、まさに今後の議論ということかと考えておりますとなんとも不穏な発言もしておりました。

 

2. 負担のあり方についての(1)利用者負担は高額介護サービス費制度や利用者負担のあり方をどう考えるか検討することになります。

 

(2)費用負担については、費用負担の公平という観点から、社会保障改革プログラム法で検討事項とされた総報酬割の導入、また、地方分権に係る閣議決定で、検討事項とされた、調整交付金制度の見直し等についてどう考えるか検討することになります。

 

その他課題としてはいわゆる保険者の業務簡素化、市町村の限られた人員が、地域包括ケアシステム構築により一層取り組めるようにするために、既存の介護保険業務について、事務負担の軽減を図れるものがないか検討することになります。

 

被保険者範囲については前回も書きましたが保険料を負担する人口が、2021年以降減少すると見込まれることを踏まえて、支払い年齢の範囲をどのように考えていくのか検討することになります。

 

文章量が多くなってしまいましたが財務省が示す平成30年介護保険改正における方向性をなぞっていることが良くわかります。これからまさに具体的な話がどんどん出てきますので注目しておかなければいけませんね。

 

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